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UBSウォーバーグ証券会社・経済調査部チーフエコノミストの白川浩道さんは今日のポイントとして、「全ては金融危機宣言にかかっている」を挙げる。
<奥田発言も、前提は政府の「金融危機宣言」> 週末、日経連の奥田会長、自民党山崎幹事長から、日銀による株式( ETF)、土地の購入が必要ではないか、との発言があった。しかし、「確認しておくべきことは、日銀による非伝統的な資産購入は、政府による金融危機宣言が前提になる、ということである」と語る。これを行えない限り、日銀の政策は大きく変わり得ない。政策の方向性とすれば、@銀行に対する株式保有制限導入期限の延長や 、A早期の補正予算導入の方が進みやすい環境にある、と見ている。
<日銀の株式・土地購入は、「平時対応ではない」> 株価下落に歯止めが掛からない状況下、再び、日銀に対して非伝統的な流動性政策を求める声が強まっている。しかし、「日銀による株式や土地の購入は、危機対応であり、平時対応ではない」と言う。政府の危機宣言(金融危機宣言)なくして、簡単に進む性質のものではない。これまでに何度も繰り返し指摘してきたことであるが、以下の通りポイント(ほぼ原文通り)を改めて整理しているーー。
(1)現行の日銀法では、通常業務(33条に規定)として、株式(ETF)や土地を購入することはできない。
(2)日銀による株式(ETF)や土地の購入は、@日銀が要請し政府から許可をも らう(第43条)か、A政府が要請する(第38条)か、のいずれかの形態をとる必要がある。
(3)このいずれの場合においても、金融システムが危機的な状況にあることを政府が認める必要がある。第38条については「信用秩序の維持に重大な支障が生 じるおそれがあるとき」と明確に規定されている。第43条についてはそうした規定はないが、昨年9月に個別株式の買取りを決定した際と同様に、日銀とすれば、「金融機関保有株式の価格変動リスクが、金融機関経営の大きな不安定要因 となっている」ことを正面切って宣言する必要がある。このことは、「現行の株価水準では銀行が過小資本状態に陥るリスクが高い」ということを暗に認めることに等しい。いずれにせよ、金融危機宣言とほぼ同義である。
(4)しかし、現在の政府には、銀行の過小資本状態を認める用意も、金融危機宣 言を行う用意もない。銀行に対する公的資本注入の議論を蒸し返す可能性も低い 。金融庁の基本認識は「株価8000円割れでも銀行は過小資本に陥らない」というものである。
<日銀の流動性供給イメージが変わる「過程」>
(5)そうであれば、日銀による非伝統的な資産購入は、基本的には前進しない。 金融危機宣言→公的資本注入→不良債権処理の加速、といった一連の動きがあってはじめて、日銀の流動性供給のイメージが変わるのである。「まずは危機宣言ありき」、である。
(6)福井新総裁は、政府による危機宣言を望んでいる。そして、それがあれば、 ETF等を購入する準備はあるとみられる。問題は、金融システムの健全性に関する評価を第一義的に所管する官庁は金融庁であって、日銀ではない、ということである。政府・金融庁が動かずして、日銀は動けない、あるいは、政府・金融庁は、日銀が勝手に動くことを望まない、のである(日銀内部では新副総裁に就任する武藤氏が、福井氏や事務方による「金融危機宣言を行うべき」といった動きを牽制することになろう)。奥田氏や山崎氏の発言は、そうした縦割り行政を無視したものとなっている点に留意がすべきである。