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UBSウォーバーグ証券会社・経済調査部チーフエコノミストの白川浩道さんは今日のポイントとして、「ECB利下げは(改革論者にとって)良い兆候」を挙げる。ECB(欧州中央銀行)が市場介入金利を年0.25%引き下げ、同2.5%とした。同社では、 年内に更に0.75%の利下げが行われ、目標金利水準が1.75%になるものと予想している。結論から言えば、「ECB利下げは良い兆候である」と語る。なぜなら、「世界的な金融緩和モードの強まりは、日本における財政出動の拡大=財政破綻確率の上昇=市場主導での経済システム改革圧力の高まり、といったサイクルをもたらす」からである。現状維持を決め込む政府・日銀に対する「目覚まし」となる可能性が期待される、と言う。
<世界的な金融緩和モードが強まる様相> 「世界的な金融緩和モードが強まる様相にある」と言う。起点は、米ドル相場下落と、世界的な金融システム脆弱化、の2点に集約される。米国経済に対する不信感(地政 学的なリスクも背景)は、米ドル資産からの趨勢的な資本流出が継続するのでは ないかとの懸念をもたらしており、これが米ドル相場の軟化を招いてきている。 欧州としては、「ユーロ相場の持続的な上昇を予防することが急務になってきた」のである。また、「世界的なディス・インフレの進行は、世界中の金融機関の収益力を低下させており、欧州もこの例外ではない」
<「金融緩和は実体経済の回復には殆ど無力」が世界傾向> 今回のECBの緩和措置については、ユーロ相場の安定化と、金融システムにお ける流動性危機の回避が、その主たる目的となっていると評価している。これは 、日本がまさに実践してきたことである。米国におけるFEDの緩和も、米ドル の緩やかな調整と、流動性の拡大による市場安定化・金融システム安定化を狙っ たものであると考えてよい。逆に言えば、「中央銀行には、世界的にどこをみても 、金融緩和で景気回復を演出できると考えている先はないのではないか」。なぜな ら、世界的な完成品価格の下落傾向が反転する可能性をなかなか見込めない中で、金融緩和によってインフレ期待を高めることがかなり困難であることがわかっ てきたからである。ディス・インフレ期待に大きな変化がない以上、「金融緩和 は実体経済の回復には殆ど無力である」との見方が中央銀行の間でシェアされつつある、と考えても差し支えないであろう。
<低迷する世界経済が欲するのは、むしろ財政刺激策> その意味で、低迷する世界経済が欲しているのは、「むしろ、財政刺激策の導入で ある可能性が高い」と言う。しかし、各国政府は、財政の追加出動に後ろ向きである。こ れは日本に限ったことではない。米国では、先の減税プランに対する否定的な見方が根強い。また、欧州でも、マストリヒト条約に基づいた財政規律を見直そう という動きが加速する気配はない。先進国の1つのコンセンサスとして、「財政 の肥大化は民間部門の活力を低下させ、中長期的に生産性を抑制する」という見方が根強いのである。