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東京 3月7日(ブルームバーグ):「ゼロ金利の解除は、現在でも、当時の経済情勢をみても妥当だと考えているし、その後に取った措置も間違っていなかった」−−。速水優総裁が7日、定例会見としては最後の会見を行ったが、判断を誤ったと言われるゼロ金利政策の解除について、最後まで「間違っていなかった」と強弁した。
総裁はまず、当時の経済情勢ついて「2000年初めから秋にかけて、情報技術 (IT)バブルで関連株価はすごい値段が出て、国内総生産(GDP)、生産、売上高経常利益率、株価、いずれも上がっていた。こういう状況のなかで、早くゼロ金利を解除して金利機能を働かせようと願っていたが、沖縄サミットがあったり、大きな破綻企業が出てきたり、結局、8月にゼロ金利を解除をした」と述べた。
そして、ゼロ金利解除後の経済情勢について「米連邦準備制度理事会(FRB)も11月には、これから良くなるかどうか50対50だと言っていたが、12月になって、IT関連の在庫超過が少しずつ分かってきた。それで、FRBが翌1月2日に政策金利を下げて、日本も主要国にならって下げた」と、当時の経緯を振り返った。
世界中が間違っていた
速水総裁はその間の経済情勢の変化について「その少し前からアジア諸国の輸出も減っていたので、何かおかしいという感じはしていたが、IT産業は新しく起こった産業であるだけに−−マクドノーNY連銀総裁が翌年になってから話してくれたが−−、在庫が非常にみにくい」と指摘。さらに「モノが小さいので、新品か中古品の区別がなかなかできないので、どの程度の在庫過剰なのかつかめない初めての生産物だった」と述べた。
総裁はそのうえで「見方が間違っていたという言う人もいるが、そういう新しい製品の在庫状況がつかめなかったのは世界中のことだ。わたしたちも、過剰在庫になっていることをつかめなかったのは確かだが、世界全体が少し見過ごしてしまったことがあったのかもしれない」と語った。ゼロ金利政策の解除についての発言はここでいったん終わったが、5年間の任期を振り返っていたところで事務方がメモを差し出して、再び話題はゼロ金利解除に戻った。
速水総裁はそこでおもむろに、先月25日に都内で行った講演について、翌日の読売新聞が「見込み違いを認めた」と書いたことを取り上げ、「(わたしが)ゼロ金利解除は間違えたと(言ったと)書いた新聞があるので、ここだけはもう1度繰り返して言わせてもらう」として、次のように述べた。
あのことは上ぼり坂だった
「(当時は)景気も良いし、いろいろな数字をみても、あのころは上り坂だった。それでゼロ金利の解除をやったが、それは間違ってなかったし、もう少し早かった方が良かったとは思うが、それは政治的な、あるいは社会的ないろいろな要因があってできなかった」−−。
総裁はさらに続けて「8月に解除して、翌1月に金利を下げたではないか、あるいは3月に量的緩和をやったではないかと言われるが、これは先ほどから言っているように、世界全体が新しいITバブルのピークを過ぎて、ITバブルが潰れるという新しい事象に対応して、わたしたちは金利を下げ、それでも足りないので、量的緩和に切り替えていった」と説明した。
そのうえで「あのときに見通しを間違ったとは思っていない。金融政策はむしろ、そういうふうに変わっていく世界市場の変化にスピーディに反応して、手を打っていくことが正しいのであって、(情勢を)見誤ったと言ったわけではない。ゼロ金利の解除は現在でも、当時の経済情勢をみても妥当だと考えているし、その後に取った措置も間違っていなかった」と断言した。
「間違っていなかった」が公式見解
事務方がメモを差し出して読売新聞の記事に注意喚起したことからも、日銀としては「ゼロ金利政策の解除は間違っていたと公式に認めることはできない」というスタンスを維持したことになる。組織として、過去の政策を間違っていたと認めることは、公の機関であればそう簡単にできるものではない。それに、わずか 0.25%の利上げが景気の足を引っ張ったという批判に対して、日銀としては当然、反論もあるだろう。
しかし、速水総裁がITバブルに言及したくだりは、どう解釈しても「見通しを誤った」と認めているとしか取れないだろう。世界中が見通しを誤っていたからといって、日銀の見通しが間違っていたことを正当化できるわけではない。世界中が見誤ったのだから仕方がない、というのでは、小学生の言い訳と取られても仕方があるまい。コミュニケーション下手といわれた速水総裁だったが、最後までその点は変わらなかったようだ。
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