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ニューカナーン(米コネティカット州) 3月5日(ブルームバーグ):就任早々のスノー米財務長官が、早くも失言をやらかした。4日に下院歳入委員会の公聴会に出席後、ドル下落について記者団に尋ねられ、「特に懸念していない」と答えたのだ。
もちろん、外国為替市場でドルは攻撃にさらされ、ユーロに対して丸々1セント下落した。米財務長官の口先の何と偉大なことか。
長官の側近が、財務省の強いドル政策に変更はないと後から付け加えなかったら、もっと大変なことになっていただろう。スノー長官のドル政策は議会の指名承認公聴会で説明した通りとの財務省のコメントを受けて、ドル下落に ――少なくとも今のところは――ブレーキがかかった。
長官自身も5日、新紙幣の記念式典で「強いドルを支持するということを、あらためて申し上げておく」と火消しに努めた。
何だ、大騒ぎするほどのことはなかったではないか、と言うかもしれない。多分そうだろう。が、同じようなことは恐らく今後も起こる。というのは、新長官には市場というものが分かっていないからだ。
機関士
スノー長官は金融界の出身ではない。鉄道会社の出身だ。機関士は市場の信号を見つめてはいない。米財務長官が口を開くとき、ドルは鉄道と違って前にも進めば、後ろにも進む。
前任のオニール長官にとっても、市場は謎だった。前長官も産業界(製紙とアルミ)の出身だ。もうお手上げとなった前長官はあるとき、「なぜわたしの言うことをいちいち気にするのか」と嘆いた。
理由を説明しよう。為替トレーダーは買い持ち、または売り持ちのポジションを作っている。これらのポジションの一部は、顧客の売買に応じた結果だが、一部は相場をめぐる「賭け」だ。
バネ
相場のわずかな動きも、大きな損失や利益を生む。例えば、ユーロが1ユーロ=1.09ドルから1.10ドルに動けば、100万ユーロにつき1万ドルの損失につながる。これはまさしく、スノー長官の発言によって起こったことだ。
大した額には思えないかもしれない。しかし、外為市場での取引は額が大きい。1億ユーロの取引なら、わずか1、2分の間に100万ドルが吹き飛ぶことになる。要するに、市場というものは、縮められるだけ縮めたバネのようなものなのだ。
上出来
4日の公聴会で、エネルギー市場についてのスノー長官の発言は、為替に比べれば上出来だった。長官は原油価格について、「テキサスやオクラホマなどで新油田が開発されている」ことから供給が増え、「価格上昇が節約志向をもたらす」ことから需要が減ると、まるでミクロ経済学の教科書のような答えをした。
この分析に間違ったところはない。エネルギー市場は、時間の経過とともにほぼ長官の予言通りに動くだろう。明らかになったことは、スノー長官は全体像を描くのはうまいが、短期金融市場や外国為替市場のような精密画を描くのは苦手なのではないかということだ。(デービッド・デローザ)
(デローザ氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)