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UBSウォーバーグ証券会社・経済調査部チーフエコノミストの白川浩道さんは今日のポイントとして、「強まるデフレ的均衡」を挙げる。10−12月期の法人企業統計が発表された。内容は良くない。日本経済におけるデフレ的均衡が強まる可能性が示唆されるとして、「持続的成長の展望は開けない」と語る。
<全産業ベースでの人件費削減も加速する可能性> 今回の法人企業統計に関する第1のポイントは、「製造業と非製造業のパフォーマンスの格差が広がったこと」である。製造業は、堅調な輸出に支えられ、売上高が7四半期ぶりに前年比プラス(+2.6%)に転じたが、これまでの合理化努力の効果から、売上高経常利益率が4.4%に改善(前四半期は3.0%)した(経常利益は 前年比72.7%増)。他方で、非製造業は、国内におけるデフレ圧力の継続を背景に、売上高に改善がみられない(前年比−8.0%)うえ、相対的な合理化の遅れが影響して、売上高経常利益率も回復していない(2.2%、前四半期は2.1%)。 こうした状況で、「非製造業(卸小売、サービス)には、今後、さらに厳しいリストラ圧力がかかることが予想される」と見る。全産業ベースでみた場合、人件費の削減は 、ここ数四半期について、前年比5−7%のペース(10−12月期は−6.7%)で行われているが、「これが幾分加速する可能性がある」と予想する。
<企業のバランスシート調整意欲の強さが確認された> 第2のポイントは、企業のバランスシート調整意欲の強さが確認されたことである。設備投資(ソフトウェアを除く)が前期比で3.9%増になったことを強調する向きがあるが、「これは注目するに値しない」と言う。設備投資は、4四半期の深い調整を経て、なんとか下げ止まったに過ぎない。しかも、そうした下げ止まりに寄与したのは、サービス業、不動産業といった一部の非製造業(全体で+2.4%)であり、製造業(−10.8%)については、下げ止まりが確認できたか、疑わしい。 驚くべきことは、「設備投資のキャッシュフローに占める比率が、製造業、非製造業ともに依然として低下を続けていること」である 。特に、製造業の設備投資意欲の減退が著しいことが注目される。利益率の改善がみられない非製造業について、設備投資の持続的回復を望むことはできない。 そして、合理化によって何とか利益を出している製造業が設備投資に消極的であるとすれば、「趨勢的な設備投資の削減が止まる可能性は低い」。企業部門は、全体として、バランスシート調整を継続させているし、また、そうしたバランスシー ト調整が終了する兆しはない、と言う。
<企業のバランスシート調整続く間、デフレ的均衡> こうして、「人件費の持続的な削減と設備投資の構造的な抑制は、当面、継続しそうである」と見ている。 企業の合理化・バランスシート調整が継続する間は、政府の財政赤字ファイナンスに大きな支障が生じることはない。デフレ的な均衡が維持されることになる。 しかし、「そうした均衡を、未来永劫、維持することは不可能である」と警鐘を鳴らす。資産デフレが強まるもとで、金融機関や企業の資本が毀損されていけば、どこかで、両部門ともに大規模な資本増強が必要となる。その時、「国内家計貯蓄に余力がなければ 、日本は海外資本に本格的に頼らなくてはならず、今の低金利は維持できない」。そして、経済システムには大きなショックが入ることになる。問題は、そうした 経済システムへのショックが簡単には生じないことである。つまり、「ジリ貧シナリオがしばらくは継続する」