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「政治的リスクの高まりで経済の先行きを読むことが一段と難しい」―アラン・グリーンスパンの2月11日の上院銀行委員会における証言はその慎重さが目立った。実際、イラク危機の成功裡の解決が米国経済の急回復につながるだろうと保証するのに前向きでない程、グリーンスパンは用心深くなっている。
とはいえ、グリーンスパンもその同僚も2003年の米国経済の見通しについては依然、緩やかな回復基調を見込み、今年第4四半期の前年比成長率は3%かそれ以上と予測している。
だが、設備投資の回復の遅れがFedを慎重にしている。グリーンスパンはこれまでも経済は弱含んでいるとの見方を示したが、彼の見方は一段と慎重さを増している。今は一時的な後退とみえる動きがイラク問題の解決と共に、一時的とは判定しがたい持続的な緊張と不均衡、と判明する可能性を認めた。
仮にそうだとしたら、グリーンスパンは、政策当局は財政と金融政策を通じて、経済を刺激する通常の方策を検討しなければならなくなるだろうし、同時に経済の柔軟性を一段と高める努力をしなければならないだろう、との見方を示した。他方で、Fed議長はより自由な世界貿易、経済の規制緩和、情報技術の革新等が米国経済のショックへの抵抗力を高めてきたと確信している。
ブッシュ大統領も議員も、減税政策や歳出拡大政策が経済の柔軟性に影響を及ぼすとグリーンスパン氏が論じても驚かないだろう。とりわけ、議長がこの発言に続けて政治家に財政規律の建て直しを求めたのであるから、尚更である。グリーンスパン氏は彼の見解では、景気刺激策は時期尚早で、イラク戦争の懸念が米国経済に及ぼすインパクトの程度がより明らかになるまでそうである、という立場を示した。
しかし、ブッシュは2004年度予算の中核となる大幅減税と景気対策を通過させるために議会を説得しようと懸命である。グリーンスパンは、ブッシュの目指す配当の二重課税廃止の支持を表明した。しかし、大統領の景気対策は大幅な赤字につながるが、財政赤字はグリーンスパンが懸念を明確に表明している事柄である。
Fed議長は政治的手腕に長けており、用心深く彼の証言を長期的な視野に焦点をあてたものとした。彼は現在の予算見積もりは政府の将来の負債を過小評価している点に注意を促した。
結局、グリーンスパンは、経済成長を阻害しようとも政府は常に増税はできるし、また増税を迫られることもある、とみている。歳出削減に反対する政治的抵抗のために、常に歳出カットの方が増税より難しい。それゆえにグリーンスパンは今こそ歳出、財政赤字の抑制への行動を要請しているのだ。
グリーンスパンの証言がいかに巧みに細心の注意を払った言葉使いになっていようとも、彼のメッセージの基調−緊縮財政の必要性−はブッシュの耳に届くであろう。
(英エコノミスト2月11日)