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小泉首相の言動に元気がない。歯切れの良さが売り物だったはずなのに、「大したことない」発言以来、慎重な物言いに終始している。大向こう受けを狙った“抵抗勢力”との対決やサプライズ(驚き)の演出も、最近はさっぱりだ。
■スタンスを変えた■
「国際政治は複雑怪奇だ。(米英などが提出する新決議案が)採決された後にイラクがどうするかも見守らないといけない」
首相は3日の衆院予算委員会で、米国がイラク攻撃に踏み切った場合の日本の対応について聞かれ、こう答弁した。
「新決議案が採決されるかどうかも情勢が流動的な中で、米国支持を言明できるわけがない」(外務省筋)のは確かだ。だが、あいまいな答弁はイラク問題だけではない。
北朝鮮情勢であれば、「日朝平壌宣言の誠実な履行を北朝鮮に求める」、デフレ対策を聞かれれば、「あらゆる政策を動員する」という具合に、決まったフレーズが返ってくる場面が目立つ。その場で質問者に切り返す機転や歯切れの良さは、首相の持ち味だったはずだ。
発言ぶりの変化について、首相は先月27日夜、自民党の麻生政調会長や同党部会長らを前に説明している。
「国会答弁で一つ一つ真剣に対応していくのは得策ではない。はっきりモノを言うスタンスを変えた。正面から(質問者と)ぶつかろうとしても評価されないから」
■施政演説が虎の巻■
答弁スタイルを変えたきっかけは、1月23日の衆院予算委で菅民主党代表を相手に「(公約違反は)大したことではない」と失言したことだ。この時以降、菅氏らから「棒読みばかりで元気がない」と挑発されても、慎重な答弁に終始している。
だが、発言に勢いがなくなったのは昨年暮れから、との指摘もある。
官邸関係者によると、首相の発言は1月31日の施政方針演説での表現が圧倒的に増えた。演説は昨年暮れから草案づくりを始め、推敲(すいこう)を重ねたため、年頭記者会見(1月6日)や自民党大会(1月16日)の総裁あいさつも、演説で触れる予定だった表現がにじみ出たという。
「首相は演説のフレーズをそらんじている。何を聞かれても演説をベースに答えるので、どうしても棒読みの印象を与える」と、官邸関係者は指摘する。
■憶病ライオン■
首相の変化は、政治スタイルにも及んでいる。
先月27日の党部会長との会食に加え、7日には党行政改革推進本部の幹部メンバーとして橋本元首相や古賀誠・前幹事長らとの会食を予定している。先月27日に構造改革特区で医療分野の株式会社一部参入を決定した際も、事前に日本医師会の坪井栄孝会長と会談し、一応の仁義を切った。
内閣支持率が低落傾向にあることや、9月の自民党総裁選を控えて、無用な党内摩擦は控えたいとの思惑も見え隠れする。いずれにせよ、「抵抗勢力や業界団体を敵役にして『改革』を絶叫していた昨年とは大違い」(橋本派幹部)というのが自民党内の受け止め方だ。
日銀総裁人事でも、当初もくろんだサプライズを演出できず、本命視された福井俊彦・元日銀副総裁に内定した。他に適任がいなかったことが大きいが、途中で福田官房長官任せにしたのは、「日銀総裁人事で金融政策の大胆な転換を図るという意気込みが首相になかった」(自民党幹部)側面は否定できない。
英エコノミスト誌の最新号は、日銀総裁人事を論評し、首相は勇気あるライオンから「オズの魔法使いの憶病ライオン」に変わった――と皮肉った。
(2003/3/4/01:35 読売新聞 無断転載禁止)