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株式日記と経済展望:2年経っても景気回復しない小泉改革  愚者は経験でしか学べないのか
http://www.asyura.com/2003/hasan22/msg/818.html
投稿者 あっしら 日時 2003 年 3 月 03 日 21:04:34:


2003年3月3日 月曜日

 
高橋は矢継ぎ早に、デフレ対策を行った。まず「金輸出の解禁」を止め、さらに平価の切下げを行った。最終的には約4割の円安になった。そして積極財政に転換し、その財源を国債で賄った。さらにこの国債を日銀に引受けさせることによって金利の上昇を抑えた。実に巧みな経済運営である。1932年に国債の日銀を引受けを始めたが、物価の上昇は、年率3〜4%にとどまっている。1936年までに日銀券の発行量は40%増えたが、工業生産高は2.3倍に拡大した。そしてこの間不良債権の処理も進んだのである。

今日の日本政府の経済運営はミスの連続であるが、昔は賢明な政治家もいたものである。高橋是清は日本人の誇りである。なにしろケインズの一般理論が世の中に出たのが36年の12月であり、実にその5年前に既にケインズ理論を実践したのが高橋是清である。今日でこそカルトまがいの経済学者がよくノーベル経済学賞を受賞しているが、もっと昔からノーベル経済学賞があったら、高橋是清こそこの賞にふさわしい人物である。筆者は、昔から、くだらない経済学者より、実際に経済界で活躍し、人々に貢献した政治家や実業家にこそノーベル経済学賞は与えられるべきと考えている。

学者の中には高橋是清の政策を軍需インフレ政策と指摘している者もいる。たしかに軍事費は増大したが、これも当時の国際的な緊張の高まりを考えると、簡単には否定できない。また世界恐慌の脱出のために軍事費を増やしたことは列強各国に共通している。しかし本格的に軍需支出が増えだしたのは37年以降である。むしろ経済があまりにも順調に回復したので、インフレの徴候が現れ、是清は引締め政策に転換し、軍事予算を削ろうとした。このため軍部の反発をかい36年の2.26事件で殺されたのである。つまり軍事費が本当に増えだしたのは、高橋是清の死後である。

高橋是清は、軍事予算を増やすと同時に地方での公共事業費を増やしている。学者は、これは土木業者だけが潤ったと、いつも通りのパターンの批難をする。しかしこれによって失業が減ったのは事実である。少なくとも高橋財政政策によって、有効需要が増え、設備投資も増え、都市部の勤労者は潤った。年に10%の実質成長率を達成できれば、かなりの経済問題が解決の方向に向かうのは当然である。

歴史学者は、高橋是清の政策は、インフレの目を残す政策と言っている。たしかに急速に景気が回復したため、イフンレの徴候が現れた。そこで高橋是清は一転、金融引締めに動いた。日銀が引受けた国債の90%を市中に売却し、余剰資金の回収を行ったのである。実に柔軟な経済運営である。たしかに日銀の国債引受けによる資金調達と言う手段は、軍備拡張を可能にし、インフレの種なったのは事実である。しかし先ほど申したように、軍需予算が急増したのは、高橋是清が暗殺された以降の話である。
(経済コラムマガジンより)

インフレターゲット政策についての日銀と学者達の議論を聞いていると、金融政策についての見識が疑われるような議論に出くわします。デフレ状況になってから5年以上経つのに、デフレ対策の議論がなかなか前に進まない。橋本内閣で財政再建に失敗したにもかかわらず、小泉内閣は財政再建に再び取り組み、小渕内閣で回復しかけた景気を再びデフレ経済にしてしまった。

「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」といいますが、小泉首相は経験にすら学ぼうとしない。デフレ下で財政を引き締めれば余計にデフレになってしまうことが、2年経ってやっとわかり始めたようだ。財務省官僚や日銀官僚の無能ぶりは救いようが無い。景気対策を小出しにするから、アクセルとブレーキを両方踏むような結果となり、エンジンはオーバーヒートして、車を壊そうとしている。

賢者ならば歴史に学ぶようにすべきであり、その為には高橋財政を学ぶべきである。日銀の国債引受と聞いただけで、ハイパーインフレを呼び起こすという学者や日銀の官僚たちの単細胞ぶりは救いがたい。終戦直後のハイパーインフレと現在の経済状態の違いすらわからないのだろうか。新聞紙面の文化人達の経済論議を見てみると、自分の経験からものを言っている。

日銀の国債引受は金利上昇を防ぐ働きをする。だからこそ長期国債の買いきりオペを行えば、金融緩和と金利低下の両方の働きをする。それでも効かなければETFなどの株式まで広げれば市場への資金供給につながる。同時に積極財政で資金の流れを付けていくべきだろう。この事によってデフレ状況は脱却できても、景気そのものは良くする事は難しいだろう。

日本は人口が減ってゆくし、景気の牽引役となるような新製品の開発も難しい。携帯電話のような新製品はなかなか出てこない。液晶の大型テレビが安くなれば、今までのブラウン管テレビの買い替えで売れるようになるだろう。私も金さえあれば買いたい物が沢山あるのだが、使える金が無いから買わないだけだ。大型商品だって金回りがよくなれば売れるようになるはずだ。テレビで学者が買いたい物が無いから物が売れないという論理は間違っている。


軽視される高橋是清の業績 経済コラムマガジン:http://www.adpweb.com/eco/


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