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竹中平蔵氏主導の特別検査は、意外にユルい? メガバクの首脳は胸をなで下ろすが、日本再生は遅々として進まない
金融庁は大手銀行の資産を厳格査定する特別検査を実施中だが、これが何とも大アマで見かけ倒しのようなのだ。戦々恐々のメガバンクからは「厳しいどころか、むしろユルい」との声が漏れる。特別検査で不良債権処理損失が急増し、公的資金注入による国有化危機に備え、外資も頼みに大増資に奔走し、株式市場が「赤信号」を送るメガバンクには「(増資計画の)目標額を達成しなくても、何とかなりそう」と安堵(あんど)感も漂い始めている。
昨年度に続く2度目の特別検査は、竹中平蔵金融・経済財政担当相(51)が昨年10月にまとめた金融再生プログラムに基づいて実施されている。
巨額の不良債権を抱え、ヘトヘトの銀行を再生させる手順を示したもので、銀行の資産を厳しく査定し直し、不良債権をキッチリ処理したうえで、自己資本の強化を迫るものである。
不良債権処理の加速で自己資本が大きく毀損(きそん)する銀行が出た場合、公的資金を再注入する。最後に、健全な銀行経営を行うためのコーポレートガバナンス(企業統治)を確立させるといった具合である。
銀行の資産を厳格査定する特別検査は、第1ステップの作業となる。
「金融再生プログラムは銀行国有化を強く印象づけるものだった。大手銀行グループは、折からの株安に加え、特別検査もかなり厳しいものになるだろうと想定し、国有化回避の大増資に走った」(金融アナリスト)
特別検査で不良債権処理損失が膨らみ、本業の儲(もう)けの業務純益を上回る損失は自己資本から差し引かれる。
株価下落で銀行が保有する株式の含み損も拡大しており、この含み損も差し引くことになる。
自己資本が大きく目減りし、銀行の健全性を示す自己資本比率が国際ルールの8%を割り込むと、「公的資金注入=国有化」が待ち受ける。
当然、そうなると銀行経営者の責任も厳しく追及されることになる。
特別検査は2月3日ごろから、東京三菱銀、三井住友銀、みずほコーポレート銀、UFJ銀の順でスタートした。
増資計画を打ち出したメガ4は、固唾(かたず)をのんで成り行きを見守ったが、いざフタを開けてみると、どうも様子が違うという。
大手銀幹部は「拍子抜けの感じは否めない」と前置きして説明する。
「大手銀同士で情報交換を密にしているが、他行も想定よりユルいようだ。中には『うちに来た検査官、やる気があるのかないのか分からない』というところもある」
「劇薬コンビ」の竹中氏と日銀OBの木村剛氏が中心となって取りまとめ、鳴り物入りで登場したプログラムである。
大手銀の首脳らが竹中氏に猛反発したこともあったが、ユルユルの大アマ検査のようなのだ。
与党の金融担当議員はこんな解説をする。
「政府の産業再生機構に買い取られる貸付先企業が内々である程度決まっていて、そういう貸付先にはユルい資産査定をしているんでしょう」
「肝心の親方(竹中氏)が『ETF(株価指数連動型投資信託)は絶対に儲かる』と発言して大問題になるくらいたるんでいるから、現場も推して知るべしだよ」
産業再生機構は、銀行から金利減免などの支援を受けて「要管理先」に分類されている企業の債権を中心に、再建可能と判断したものを銀行から買い取る機関である。
今国会で関連3法案の審議が始まり、設立予定は今春。実際に債権を買い取るのは今年8、9月ごろからとみられる。
「単に、銀行救済が目的の不良債権の飛ばし先だ」(信用調査機関幹部)との批判も根強い。
金融界からはこんな声も漏れる。「増資目標額を達成しなくても、何とかなりそう。不良債権の処理は来年度も続く。何が何でも増資枠を埋めようとはせず、来年度にとっておいてもいい感じだ」(メガバンク幹部)
メガ4の増資計画にも、ちょっぴり余裕が出てきたようで、こうした状況は、昨年度の特別検査のときと酷似する。
大手スーパーのマイカルが平成13年9月、突然に破綻(はたん)し、銀行の資産査定の甘さを露呈した。
金融庁が資産査定の厳格チェックに乗り出した最初のケースが、昨年度の特別検査だった。大口融資先149社(債権額約13兆円)を対象に実施された。
うち71社の査定(債権者区分)が格下げとなり、大手銀は計1兆9000億円の追加処理損失を迫られ、14年3月期の不良債権処理額は総額7兆8000億円となった。
「前回も不良債権の抜本処理をうたいながら、銀行の体力の範囲内で処理して問題を先送りし、市場不信が強まった」(別の金融アナリスト)
今回の特別検査の対象は、前回より5割増の約200社とみられる。
だが、検査自体がこのままシャンシャンと進めば、またも問題の先送りとなり、「日本再生」は遅々として進まない。
小泉内閣の構造改革で痛みを強いられ、倒産と失業、リストラ、給与カットにあえぐ庶民がまたしても、泣きをみる。