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UBSウォーバーグ証券会社・経済調査部チーフエコノミストの白川浩道さんは今日のポイントとして、「開けない展望」を挙げる。「財務省の日銀支配が決定的になった」とした上で、「日銀人事は失望である」と語る。政策は今までの延長線で何も変わらない、またデフレ循環の構図も変わらないと言う。「日本経済の持続的成長に関する展望は開けない」
<財務省主導の「改革を避け、時間稼ぎ」シナリオ> 政府と日銀の政策アコードとは何であろうか。それは、経済構造改革の実現に向けて政府と日銀が一体となって努力すること、などでは決してない。「その正反対である」と言う。「安定性維持の名目の下に、経済システムと金融システムの現状維持を図り、改革を避け、時間稼ぎをすること」である。ジリ貧を甘んじて受け入れるシナリオである。そして、そのシナリオの主導権を握っているのが財務省だと言う。財務省の最大の目的は財政破綻の発生を可能な限り先送りをすることであり、そのためには、「長期金利の上昇を避けることが最も重要な政策課題となる」。長期金利 が現在の水準から上昇しなければ、向こう4−5年程度は国債費の大幅な拡大を抑制することができるからだ。
<長期金利の上昇リスクをもたらす政策を全て嫌う> 財務省は、長期金利の上昇リスクをもたらすような政策を全て嫌う。逆に言えば 、「財務省は、日本国債に対する壮大なPKOを、今後も、数年、いや数十年に亘って継続させていく構え」にある。国債PKOの本質は、(1)日銀による輪番オペの持続的拡大と、(2)銀行保護行政の堅持として集約される。そして、銀行保護行政とは 、@ペイオフの全面解禁凍結と、A不良債権の抜本的処理の先送りに代表される。銀行部門の流動性減少は、国債の安定的な消化に大きな障害となるからである。財務省にとっては、不良債権処理の先延ばしと預金保護の継続によって預金者心理の 安定を維持することが極めて重要である。そして、国債保有に対するリスク・ウ ェイトをゼロとするBIS規制を維持すれば、銀行が国債を買い続ける構図に変 化は生じない。日銀と一体となって、「国債に優しい金融行政・政策」を継続さ せるという戦略である。
<武藤氏は将来の総裁含みの「10年プレイヤー」> 今回の日銀総裁・副総裁人事は、「こうした財務省の意向に沿ったものである」と言う。今回の人事によって、「日銀の中央銀行としての独立性は地に落ち、財務省支配が一段と強まることが明らかになった」。福井氏の気概に期待したいところであるが、形勢は不利である。なぜなら、武藤氏は将来の総裁含みで送り込まれた「10年プレイヤー」であるからだ。「5年プレイヤー」である福井氏に対する日銀内での支持は相対的に弱いものに止まる可能性が高い。行財政改革、不良債権処理、産業構造調整、規制緩和、等のミクロの政策を積極的に推し進めることによって日本経済の再生を図ろう、という福井氏の政策哲学は高く評価すべきものである。 しかし、「そうした福井氏の政策路線は、長期金利の上昇リスクに直結する」。福井氏 のアイデアは、武藤氏とその背後にある財務省の力によってことごとく潰されて いく、と予測する。