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仙台 2月27日(ブルームバーグ):金融審議会の「地域金融機関の在り方に関する作業部会」(座長・堀内昭義東大教授)は26日午後、地方銀行や信用金庫など地域金融機関や、融資先企業などとの懇談会を仙台市内で開催した。企業からは「銀行は、取引先企業でなく、金融庁ばかりを見て仕事している」(佐伯昭雄・東北電子産業社長)などと行政や金融機関に対する厳しい批判や怨嗟(えんさ)の声が相次いだ。
地域崩壊も懸念
企業側からは、最近の傾向として、不良債権処理加速の影響で、コミュニティーの崩壊に危惧を示す声が出た。金融庁の検査が厳しくなってから、金融機関が事務的になり、本来の地域金融機関の使命である地元企業との長期的な強い関係が壊れてしまった、といった意見だ。
佐伯氏は「金融機関を見ていると、ほとんど金融庁のために仕事をしている。そのような時間があるならもっと取引先のことを知るために時間を使うべきで、それでこそ、リレーションシップ・バンキングではないか」と指摘。政府の不良債権処理加速の方針や、金融検査マニュアルを盾に、金融機関が後ろ向きな処理に時間と労力を割かれ、本来の役割を果たしていないとの危惧を示した。
横山芳夫建築設計事務所の横山英子専務も、「金融庁の指導により、担保貸し出しが突然、打ち切りになることがある。急に言われても対応できず、倒産するところがある」といったケースを取り上げた。
このため、メガバンクとは異なる検査・監督が望ましい、とする意見のほかに、行政に対して「極論ではあるが、地域金融機関向けの金融庁検査は3年間凍結してもよいのでは。日銀考査で十分だ」(佐伯社長)という注文も出た。
「われわれは逃げられない」
同時に、借り手側にも甘えがあり、これまで金融機関との間に「馴れ合い」の関係があったことも認めつつ、地域金融機関に対しては「取引先の再生や育成にもっと力を入れるべき。どんどん地域の中に入り、関係作りをすべきだ」(宮城運の高田登志江専務)といった要望が多かった。
また、地域金融機関側からは仙台銀行の日下睦男会長が「地域金融機関はその地域から逃れられない。その地域がおかしくなったら、われわれも同じ運命だ」と主張した。
東邦銀行の瀬谷俊雄頭取も、「不良債権処理を一定期間内に減らすのは反対。経済が傷んでいるのだから、資産が劣化するのは当たり前。企業と共生し、とことん面倒をみるのが地銀だ」と語り、地域金融機関は地域との運命共同体であると強調した。
画一性への批判
懇談会終了後に記者会見した堀内座長は「行政の対応として、全国一律、あるいはメガバンクと同様の基準で健全経営を求めるのはおかしい、といった意見があった」と述べ、融資先の間で、金融検査マニュアルがいまだに画一的に運用されている、といった批判が根強いとの認識を示した。
金融行政への批判が相次いだことに関し、T&Dアセットマネジメントの衣川明秀ファンドマネージャーも「金融庁が担保ではなくて、企業の事業計画や将来価値をもとに査定をするような体制を作らないかぎり、銀行側も本来の仲介機能を果たせない」としたうえで「日本の不良債権問題は大企業の問題ではなくて、中小企業の問題だ」との見方を示した。
作業部会は3月末までに報告書をとりまとめることになっている。今後の作業において、中小企業向け融資に対する金融機関の「姿勢」に関し、大手行とは異なる考え方を明確に打ち出し、特に不良債権処理に際しては、具体的な手法に何らかの「差」を設けるべきかどうかなどの点について、検討を進める方針だ。
この日の懇談会には、パネリストとして、企業側から6人、金融機関側から4人、金融審のメンバーは5人が、それぞれ、参加。会場では約200人が傍聴した。
東京 岩崎 まり子 Mariko Iwasaki
中島 三佳子 Mikako Nakajima