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ニューヨーク 2月25日(ブルームバーグ):消費者信頼感指数は9年ぶりの低水準なのに、住宅販売は過去最高。消費者の言っていることとやっていることが違うのはなぜだろう。
住宅は人生最大の買い物だ。いざ購入するとなれば、頭金を支払い、最長 30年ローンの返済のために十分な収入を稼げるか、職業を維持できるか、解雇された場合に次の仕事に就けるかなど、将来に対してある程度の信頼感が必要だろう。
だが、明らかにそうした状況にはない。米民間調査機関コンファレンス・ボードが25日発表した2月の消費者信頼感指数は前月から14.8ポイント低下の64と、9年ぶりの低水準に落ち込んだ。低下幅は同時多発テロ事件のあった 2001年9月以来最大。同じく25日発表の1月の中古住宅販売件数が過去最大を記録したこととは、矛盾しているように思われる。
矛盾
全米住宅建設業者協会(NAHB)のエコノミスト、カーライナー氏は、こうした矛盾について「過去数年みられている状況で、信頼感統計が住宅投資の先行指標になるとは言い難い」と説明する。同氏によると、10年ほど前、連邦準備制度理事会(FRB)の1人の職員が信頼感と住宅購入との関連について調査し、NAHBの住宅購入調査が消費者信頼感指数をはじめ他の指標に比べ優れた先行指標であることを発見した。NAHBが調査をまとめて指数化し、月ベースで発表始めたころの話だ。
この矛盾を理解するには、最新2月のほぼリセッション(景気後退)並みとなった信頼感指数の水準と、それ以前のまずまずの水準とを区別することも1つの方法だ。コンファレンス・ボードの消費者リサーチ・センターの責任者、フランコ氏は、1月までの半年間、「信頼感指数は平均87とそんなに低くはなかった」と語る。ただ同氏は、現在の景況感を示す指数が「向こう数カ月、現在のような低水準にとどまれば、小売売上高は減少が見込まれる」との見方を示した。
消費者は現在にも将来にも悲観的で、現在の景況感を示す指数も半年後の景況感を示す指数も大幅に低下している。職探しは厳しい状況だと回答した消費者の数は9年ぶり高水準に上った。
不安
雇用と景気見通しも芳しくはないが、所得見通しとなるとさらに暗い。フランコ氏によると、所得増を予想する割合は2月15.2%と、調査を開始した1967 年以来最低にとどまった。所得に関する見通しが本音に基づくものだとすれば、現在の苦境からさらに厳しい状況に陥ることを意味する。
ただ、実質可処分所得は過去1年で平均5.8%増と景気拡大局面の多くと比べ高めの水準だ。カーライナー氏は、住宅購入を考える場合は「信頼感より、可処分所得の増加が問題となる」とし、「加えて、失業率もまだ低い」と語る。失業率は5.7%と2000年4月の3.8%からは上昇しているものの、失業者数は 70年代以降の景気循環の中でみると、ピークよりは底に近いのだ。
消費者信頼感が消費に先行するか、それとも両者は同時なのか、エコノミスト間で意見が分かれる。ミシガン大学の消費者マインド指数は景気先行指標総合指数(LEI)の構成項目であるから、われわれは同指標にはある種の先行性があると認識している。
消費者が今なお住宅を購入しているのは良いニュースで、3年連続で下落している株式に比べれば良い投資先だった。信頼感は低下しているが、依然として消費者の購入意欲を少しも損ねてはいないようだ。
だがカーライナー氏は、最近の消費マインド指数と消費者信頼感指数の大幅な低下は「家計消費の面でプラスの兆候ではない。個人は政府部門以外で唯一カネを使っている部門だ」と指摘している。(キャロリン・ボーム)
(ボーム氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
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