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米英軍によるイラクへの武力行使は時間の問題と見られている。米国景気の先行き不透明について、グリーンスパン議長を含むFRB関係者は、「地政学的リスク」を、その一因に挙げている。これが払拭されれば、今日よりも生産・投資環境は良くなり、景気の拡大テンポは高まると期待されている。しかし、UFJつばさ証券・金融市場調査部長の斎藤満さんは、「ポスト・イラク戦争の米国経済については、少なくとも2つの重石がかかる」と語る。
<短期終結でも治安維持等で巨額コスト強いられる米国> 1つは、イラクへの武力介入が仮に短期間で終了したとしても、その後の治安維持・中東全体の安定確保に、米国はかなりのコスト負担を強いられる。しかも米国とその同盟国に対するテロの脅威が払拭されるわけではない。むしろ、「イラク」前よりも、報復テロのリスクが高まる懸念さえある。「こうした負担まで計算して米国が準備を進めているとも見えない」とした上で、こう続ける。「結局、戦勝ムードで消費や投資が盛り上がるわけではなく、戦後の駐留コストで経済が疲弊し、しかも引き続き、テロ不安によって、消費マインドが抑圧され、投資の不透明性も拭えない」ちなみに、コンファレンス・ボードの消費者コンフィデンスは、2月に64と、すでにこの10年で最低水準まで下げている。
<今米国景気下降の契機は、9・11テロでもイラクでもない> また、2つ目。今回の米国景気下降のきっかけになったのは、「9・11テロでもイラク戦争の脅威でもない」と言う。それ以前から、米国はITバブルの崩壊もあり、「企業の過剰設備、過剰雇用、過剰債務という、日本がこの10年苦しんできたのと同じ要素によって、バランスシート調整に入ったことが大きい」。これに対して、「テロ戦争」を大儀に、財政から巨大な需要追加がなされたが、「このギャップは埋まらない」。この間、通信業界や空運での大型経営破綻が相次ぎ、金融市場ではクレジットの悪化、信用リスクの回避、不良債権が広がり、これが資金の流れを悪くして実物経済を圧迫するようになっている。「これも、イラク戦争の終結が解決してくれるわけではない」と言う。
<アラブ産油国との関係悪化は米赤字ファイナンスの不安高める> さらに言えば、今回の紛争を契機に、米国とアラブ産油国の関係が悪化し、欧米間でも溝が深くなってしまった。「これらは、世界最大の債務国である米国にとって、赤字ファイナンスの不安を高めることになりかねない。オイル・マネーがドル資産から本格的に引き揚げるだけで、ドル資産の価値下落を誘引する」。これも、米国の投資には大きな制約となる。