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経営再建中の長崎県佐世保市の大型リゾート施設運営会社ハウステンボス(森山道壮社長)は二十六日、臨時取締役会を開き、会社更生法の適用を長崎地裁佐世保支部に申請する。入場者数の伸び悩みなどで売り上げが低迷し、巨額の借入金が経営を圧迫。これまで二回にわたって総額約五百三十億円を上限とする債権放棄に応じた主力取引銀行、みずほコーポレート銀行の新たな支援は難しいため、同法に基づき再建を図ることにした。申請後も営業は継続する。
負債総額は二千億円を上回り九州では過去最大規模とみられる。同社は同法適用を受けることで債務を大幅にカットしたうえで支援企業(スポンサー)を選定する方針。申請後、現経営陣は退陣し裁判所が選任する管財人の下で更生計画(再建計画)をまとめる。
九州の大型リゾート施設の経営破たんは二〇〇一年二月のフェニックスリゾートなどシーガイアグループ三社(宮崎市など)以来。最盛期には海外を含め年間四百万人以上を集客し「リゾートの成功例」とされたハウステンボスの破たんで九州の基幹産業の一つである観光業界は戦略の転換を迫られる。
ハウステンボスが業績不振に陥ったのは(1)バブル崩壊の影響で分譲別荘地の売却が進まず、初期投資の回収が計画通り進まなかった(2)新しい顧客を開拓する施設の更新や建設ができなかった―などのため。
同社の再建に向けては〇〇年に二百二億円、〇一年に約三百三十億円を上限に、いずれも日本興業銀行(現みずほコーポレート銀行)が債権をカット。〇一年六月に社長に就任した森山氏は遊休施設の売却や関連施設、長崎オランダ村(長崎県西彼町)閉園などのリストラを実施した。
人件費削減も進め、今年三月期で、実際の現金収支を示す償却前利益は二年連続の黒字を確保する見込み。昨年末以来入場者数は回復傾向にあるが、客単価の減少が響き、借入金の元本部分の返済が滞る見通し。このため債権の約半分を持つ同行に支援を求めたが、三回目の債権放棄は難しく、会社更生法申請に踏み切ることにした。
■宿泊受け付け通常の態勢で イベントなども
会社更生法の適用を申請するハウステンボスは申請後もこれまで通り営業を継続する。今月八日から始まり、年間で最も多くの入園者を集める「チューリップ祭」などのイベントや宿泊予約受け付けなども通常の態勢で実施する。
チューリップ祭は四月二十日の閉幕まで、百万本のチューリップが咲く園内でサーカスやオペラなどを展開。同社は期間中約百万人の入場を見込む。三月末までの園内ホテルの予約状況は約60%(二月二十日現在)で、約四万四千人が宿泊する見込み。九月末までに園内ホテルで開かれる学会や会議などのコンベンションの予約も約七十件入っている。
同社は同法申請でマイナスイメージが広がらないよう、サービスの質の維持・向上に努める。
■デフレ下苦渋の決断
【解説】ハウステンボス(長崎県佐世保市)が会社更生法の適用申請に踏み切る方針を固めたのは、巨額の負債を一気に解消したうえで事業存続を図るためのギリギリの決断だといえる。そして、その背景に主力取引銀行の“台所事情”があることは見逃せない。
約二千二百億円を投じて開業したハウステンボスを支えてきたのが、合併前の日本興業銀行(現在はみずほコーポレート銀行)。これまで計五百三十二億円を上限とする債権放棄を行い、全力を挙げて経営立て直しに協力してきた。
しかし、みずほグループは今年一月中旬、〇三年三月期決算の不良債権処理額を二兆円と大幅に積み増し、経営が低迷する大口貸出先への査定強化に踏み切った。融資残高約一千億円とされるハウステンボスにも、厳しい目が向けられ、抜本的な再建策が水面下で検討されることとなった。
経営再建ではデフレが誤算だった。「人員削減など合理化は予想以上に進んだ」(主力行幹部)が、客単価の下落で利幅は縮小。再建計画通りの数字をあげることができなくなった。みずほ側は計画未達成企業の見極めを迫られるかたちとなったといえる。
みずほ側は「ハウステンボスの灯は消したくない」と、支援企業探しなどで再建に協力する姿勢を示している。再建は地域経済の盛衰にかかるだけに、みずほ側の今後の具体的対応が焦点となる。
■ハウステンボス
オランダ語で「森の家」の意味。オランダ王室の宮殿「パレス・ハウステンボス」を再現したことから施設名となった。長崎県西彼町のテーマパーク長崎オランダ村の社長だった神近義邦氏が、同県佐世保市針尾地区の工業団地用地152ヘクタールを買収し1992年3月に開業。みずほコーポレート銀行や長崎県、佐世保市が出資する第三セクターで、資本金30億2500万円。アミューズメント施設や美術館、ホテルなども。入場者数は99年以降400万人台割れが続き02年は約352万人。02年3月期の売上高は約320億円。従業員1145人(昨年10月末現在)。(西日本新聞)