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宮崎正弘の国際ニュース・早読み
平成15年(2003)2月24日 B(月曜日 増大号)
通巻508号
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また景気回復の劇薬=「円安」誘導は果てしなく遠のいた
G7合意の「地政学的な不確実性」って何だ?
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▲イラク情勢が深刻化したらドル安になる?
7カ国財務相・中央銀行総裁会議は21日からパリで行われた。
初日の夕食会では、「テロ資金対策強化」で各国は合意したが、肝心要の本会議では「イラク情勢の緊張で世界経済が悪影響を受けかねない」とする状況分析のあと「市場動向を引き続き注視し、各国が適切な対応をとる」。
通貨戦争の危機感は各国が共有する認識とはならず、とくに日本が説得しようとして円安誘導への理解は皆無。加えて「イラク危機が深刻化した場合」には「金融緩和」圧力が欧州から持ち出された。このため日本は孤立感を深めた。
いったい、なにが決まったのか、これでは良く分からない。
パリでのハイライトと言えば、日米財務当局の首脳が初めて顔を合わせたことだ。去りゆく速水日銀総裁とグリーンスパンFRB議長の存在感は薄く、替わって指名されたばかりのスノー・米財務長官が国際舞台へデビューした。
塩川正十郎・財務相とスノー米財務長官はパリのホテルでおよそ30分間会談し、「地政学的リスク」に対応し、「世界の二大経済である日米が協力し、景気回復に向け最善の努力をする」とした。
また塩川財務相は「日本はデフレ克服に全力を挙げる決意」を表明した。
財政金融政策を駆使してデフレを阻止してきたと考える欧米から見れば「デフレは日本の問題」とかたづけられ「円安」誘導への合意はとうとう得られなかった。
G7は22日夕、共同声明を採択して閉幕した。
世界経済について「(イラク情勢を反映して)地政学的な不確実性が高まっている」との認識で一致し、「原油価格の高騰や為替相場の乱高下といった市場の混乱や景気減速を回避するために各国が必要に応じて対応する」と、景気の下振れリスクに備えることでの合意があった。
▲事前の「円安」への根回しは失敗した
前段がある。
ケネス・ダム財務副長官がニューヨークにある「ジャパン・ソサイティ」で記念講演し「日本は通貨供給量を高め、デフレを克服せよ」として大幅な円安を容認する発言をしたのは2月13日だった。
これはブッシュ政権の対日金融政策の百八十度旋回を意味し、「強いドル」政策を打ち切るともとれる画期的発言だった。
ところが。
翌日の財務省サイトをみると、みごとに円安容認のパラグラフが欠落していた。突如、ダム副長官の演説テキストから削除された理由は、スノー財務長官がデビューする直前でもあり、また米国は国連の動きを脇に見ながらイラク情勢を重視するあまり、日米経済論議を先延ばししたからである。
日銀の山口泰副総裁は、G7の直前(2月20日)にロンドンで講演、日本経済がデフレから脱出するために日銀がインフレ目標を採用すべきとする意見に対し「守れない目標を決め、国民に約束することは望まない」と強く反論を展開していた。
ただし輸出競争力を回復できる「円安を日本の政府・日銀が市場介入によって誘導したところで国際金融市場で動く資金の規模を考えるとあまり効果がない」と注釈をつけた。
山口副総裁はまた「金利がゼロまで下がった局面で、市場に供給する資金量を単に追加するだけで日本が景気を刺激することは困難であり、しかも(G7参加国のなかで)日銀だけが継続している“ゼロ金利”は、今後の効果が懐疑的となり、「この(低い)金利水準状況で、中央銀行が単独でとれる政策には限界がある」などとした。
市場は日銀の弱気を織り込み済で、前月中旬には1ドル=117円台の4カ月ぶりの円高をつけた。
溝口善兵衛・新財務官の下で財務省と日本銀行は、密かに市場で「円売り・ドル買い」の覆面介入を実施してきた。
しかし人為的な円安・ドル高は長続きせず、その後のマーケットでは、再び「円買い・ドル売り」のほうへの圧力が高まって、G7期間中は、むしろ1ドル=118円台を付けていた。
週明け、ドルはもうすこし下がるだろう。
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中国は原油確保に強き見通しを崩さず
国内外に油田確保をいそぎ、その勢いはとうに日本を抜いている
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▲石油資源は79年で枯渇する
日本石油鉱業連盟は「石油や天然ガスの埋蔵量に関する報告書」を発表したが、そのなかで「石油と天然ガスの可採年数はそれぞれ79年、106年になるだろう」とした。
これは最新のデータをもとにして世界の有力な調査報告とも相対的に比較検討したもので、既に開発されている油田ばかりか未開発油田の潜在埋蔵量を算入したものである(02年11月26日)。
▲中国は世界第三位の石油消費国
中国の02年の原油輸入量は前年比15%増の6941万トン。輸入原油総額は127億万元に達している。01年に中国の石油消費量は二億トンを超え、2010年には三億トンを上回る。いずれ2020年に20億トン分のエネルギーが必要になり、石油・天然ガスの輸入量は三億1600万万トンに達しよう。
要するに中国の石油消費は日本を事実上、追い抜いた。
中国は将来のエネルギー確保に血眼だが、同時に極めて強気の見通しを持っている。
中国石化集団・経済技術研究院は「中国の第一次エネルギー消費に占める輸入石油比率はわずか7%でしかなく、米国、日本、西ヨーロッパ諸国の(第一次エネルギー消費に占める)割合よりもかなり低い」と指摘している。
「もちろん、原油値上がりが中国経済に大きな影響を与えることはありえないが、ゼロというわけでもない」。その理由は「中国のエネルギー消費構造にあ」り、現状のまま「経済の急成長が続けば、輸入大国になり、いまの情況は変化する」
▲これだけの開発プロジェクトが進んでいるが。。。。
シベリアから中国の東北地区・大慶油田あたりまでの天然ガス輸送プロジェクトは、良質の天然ガスが輸送されるようになり、石炭および石炭ガスなど従来の鉱物燃料の使用量が減る。
中ロ両国の協定に依ると2008年にシベリアからの輸送が始まる予定で、年間輸送量は200億立方メートルの見込みという。(「人民網日本語版」2002年11月23日)。
中国海洋石油総公司(CNOOC)はオーストラリアのパースで、オーストラリア北西大陸棚の天然ガス採掘プロジェクトに参入している。この天然ガス採掘事業には、豪ウッドサイド社、ロイヤル・ダッチ・シェル、BPなど錚々たるメジャーを含む国際コンソシアム。
中国海洋石油総公司は、これら企業連合体と共同で子会社「中国液化天然ガス」を設立、広東省に供給する天然ガスの生産と加工を行う。
中国海洋石油総公司はインドネシアの「タングー液化天然ガス・プロジェクト」の権益を獲得した。
タングー・プロジェクトは、ベラウ鉱区、ムトゥリ鉱区、ウィリアガール鉱区により構成され、中海油有限公司はムトゥリ鉱区の権益の44%、ウィリアガール鉱区の権益の42%を獲得、英国石油(BP)からプロジェクト全体の権益の12/5%を買収した。
▲国内にもこれだけの資源がある
中国は世界第5位の石油生産国であり、しかも計230億トンの埋蔵量が国内で確認されている。
原油年間生産量は167億トンに上るが、石油消費量の激増により、国内生産だけでは需要に追いつかない。
だが新油田が次々と発見されるのも、中国的特徴である。たとえば黒竜江省・大慶油田周辺の盆地には2500万トン超の埋蔵があることが最近わかった。この埋蔵は海拉爾盆地にあり埋蔵面積は四平方キロ。数年以内に開発に目処を立てるという。この海拉爾盆地だけで一億トンの埋蔵が確認されれば年間産出100万トンになろう、と強気の見通しだ。
中国石油化工総公司と米国のエクソン・モービルが調印した福建省の製油化学コンビナート工事は投資額が30億ドルを超える。中米双方は、世界規模の製油科学工業一体化生産施設を共同で開発し、石油製品の販売会社を合弁で設立し、福建省でガソリンスタンド600店を展開する予定。
中国最長の製品油パイプライン「蘭州―成都―重慶」パイプラインが正式に竣工した。この「蘭州ー重慶パイプライン」は全長実に1250キロにおよび、甘粛省、陝西省、四川省、重慶市を繋ぐ。年間500万トンの製品油を運搬する。
また中国海洋石油公司と米フィリップス石油中国公司は、中国最大の海底油田である蓬莱油田が昨年末から正式に稼動したことを発表した。
これは「蓬莱19−3」と呼称される油田で、フィリップス石油が99年5月に渤海沖で発見した。石油埋蔵量はおよそ6億トン。
生産がスタートしたのは第一期工事で完成したプラントで、1日3万5千〜4万バレルの原油が産出される。第二期工事が終了すれば同油田の生産量は一日15万バレルに達する。
中国石油天然ガス集団公司は国内資源の探査・開発で著しい成果を上げた。
この5年間の新規確認石油埋蔵量は22億4000万トン、天然ガスの確認埋蔵量は1兆4722億立方メートルである。
生産能力は原油で新たに五千万トン、天然ガスで160億立方メートルが増加した。
なるほど、国内開発と同時に国外にも手を伸ばす。それは国家利益をまもり発展させる手段として当然ではなるが、中国のエネルギー政策の、あまりに迅速な、矢継ぎ早の布石を見ていると恐ろしさを感じるのである。
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(おしらせ)飛び石的に地方講演があり、今週は二回ほど休刊します。また3月は海外取材のため3月1日―10日ごろまで休刊。ただし海外から一、二回ほど発行することがあります。
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