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≪ニューヨークタイムス≫の社説を載せます。
ニューヨーク・タイムズ 社 説・論 説
★ 米資本主義の別の顔
(フレッド・ホックバーグ元中小企業庁副長官、7月25日付)インテル
の創業者アンディー・グローブ氏は、米国で今、企業の経営者でいるこ
とは「ばつが悪く、恥ずかしい」と語った。
最近の米国の雰囲気を象徴する話だ。
成功を収めたほかの企業と同様、インテルも創業当初は革新的な手法
や製品、起業家精神を促進する経済構造、中小企業庁のような機関の支
援の中で発展していった。そしてインテルは、米国の発明の才を発揮す
る企業の手本へと成長した。
歴史的にも、米国の中小企業経営者は、常に基本に忠実だ。経営を通
して何か価値あるものを創造し、職を増やし、利益を上げることに集中
する。こうした原則から離れたことが、現在、米企業がぬかるみにはま
り込んでいる原因だ。
株式市場での評価を高めることを至上目的としたため、多くの企業は
自らの優先課題をゆがめてしまった。長期的な視点を持ち、株主にとっ
ての会社の価値を上げていくことよりも、四半期ごとの収益予想の達成
を重要視するようになってしまった。
その結果は、巨大企業の内部崩壊や何千人規模のレイオフ、退職基金
の消滅だ。こうした事態は米企業に対してだけでなく、自由市場の資本
主義という米国のブランドそのものにも暗い影を投げている。
しかし、国内外で悲観論が聞かれるものの、ほとんどの企業は公正明
大な経営を行い、財政内容を正確に記録している。さらに重要なことは
、大企業に見られる現象が、そのまま米経済にもあてはまると考えるの
は、間違っているということだ。
1990年代、新しい職種における純益の80%以上は大企業からではなく
、さまざまな中企業から生み出された。同年代の終わりまでには、労働
者の半数が中小企業に勤めるようになった。こうした中小企業の努力が
、90年代の記録的な経済成長を支えたのである。
世界中の政府要人や産業界の指導者たちは、わたしたちが小規模の起
業家をどう育成、維持していったかを学ぶために、米国を訪れた。しか
し現在、米資本主義のそうした側面についてわたしたちは、世界に示せ
るようなことをしていない。
ブッシュ政権は中小企業庁を内閣から外し、予算も20%以上削減する
という提案をした。さらに困ったことに、同庁の貸付財源の半減を狙っ
ている。今年は中小企業向けに同庁の保証付貸付金として、総額94億ド
ルが利用可能となっているが、来年は50億ドル以下で提案されている。
ブッシュ政権は、最低でもこの貸付金財源を現行水準に戻すか、増額
すべきだ。また米経済が動揺している時でもあり、わたしたちが世界経
済に対して発するメッセージには、中小企業をお手本の中心に据えるべ
きだ。
それが、真の米国資本主義の土台だ。わたしは、自分の行動を恥じてい
るなどと言う中小企業経営者を見たことがない。彼ら自らが築き上げた
企業に、大きな誇りを感じている。
≪米国に見られる大企業病≫
この社説は、大いに学習すべき内容を含んでいます。ばくち場と化した
かのある株式市場。企業経営者の倫理観の欠如。そして、最も大事なこ
と、何のために会社を経営するかといった哲学をどこかに置き忘れたト
ップの人たち。今、アメリカの資本主義制度そのものに懐疑を示す人た
ちが多くなってきています。問題は、制度そのものにあるとは思いませ
ん。この前も書いたように、もしアメリカの資本主義が衰退にむかうと
するなら、それはアメリカ人が思い上がった考え方を変えずに謙虚さを
忘れ、傲慢になった時です、と。日本人が「ジャパン アズ ナンバー
ワン」などと煽てられ、自らを省みずにバブルを創り崩壊させ、ただ欲
望のみに走った時正に崩壊のプロセスに落ち込んだのです。日本の大企
業病はアメリカにも伝染していったようです。かずかずの不祥事、会計
疑惑、倒産の増加、日本のは、大いに学ぶべきことがあり、私達も勉強
しました。私も家族をニューヨークに住まわせ、アメリカのシステムを
目の当たりに時間と労力をかけ理解につとめたものです。今こうして、
アメリカ資本主義制度の崩壊を見せられると残念でなりません。アメリ
カは80年代日本的経営を勉強してアメリカ的経営を確立させ、90年
代の繁栄の基礎を作ったのです。たとえばトヨタの「かんばん方式」で
あったり、QCサークルであったりしたわけです。日本的経営のよさを
取り入れたアメリカは独自のシステムを作り、日米逆転を果たしたので
す。歴史とは皮肉なものです。今度は90年代のアメリカの良さを取り
入れた日本が21世紀の早い時期に今度はアメリカを追い抜くのです。
少なくとも私はそう信じています。さて、アメリカは現在の苦境を乗り
越えられるんのでしょうか。非常に難しいと考えています。人間は非常
にわがままにできています。一度経験した成功体験を忘れようとはしま
せん。そこにある心的な症状は「独善」です。「私が一番」。謙虚さを
忘れた人たちは問題をすり替え、他人のせいにすべてを押し付けていき
ます。しかししかしです。表面にあらわれる事柄とは別個に何時の世に
も変わらぬ哲学を持ち続ける人たちが存在するのです。これはアメリカ
も日本も同じです。世界共通のことなのです。今の資本主義を支えてい
るのは、一部の大企業ではありません。数々の中小企業がこの社会を根
底から支えているのです。ブッシュ共和党政権が社説に見られるように
大企業よりにシフトし過ぎると、大きな問題を抱えたまま、それこそ戦
争に活路を見出すしかなくなっていくかもしれません。非常に危険な状
態にいるのです。インテルも最初は零細企業だったのです。今おおくの
企業家が初心を忘れ、目の前にある欲望に惑わされています。早く、ア
メリカの指導者がこのことに気づき改革を進めることを祈念します。日
本と同じ道を歩まないためにも。バブルは多くの人たちを堕落させます
。日本のI.T.バブルも多くの若者を誤った考え、誤った人間関係へ
と引き込み、反省の意がみえません。少しでも「儲かる」ほうへといと
も簡単にひとを平気で裏切っていきます。そこに真摯な考えは皆無なの
です。残念でなりません。しかし、そういった若者を作ってしまった、
多くの「大人」こそ問題にするべきなのかもしれません。