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党再生を懸けて、民主党の菅直人代表が国会で小泉純一郎首相に論戦を挑んでいる。公約違反を突かれ小泉首相は「大したことない」と発言、久しぶりに与野党の対立がもどってきたようだ。非自民連立政権成立から10年の節目に再び政権交代を実現できるのか。菅代表にその見通しを聞いた。【松田喬和】
――「大したことない」発言は、小泉改革の限界を露呈し、政治の流れを変える潮目になったのではないですか。
論戦相手に言い過ぎたというような失言とは全く違い、自分のやったことについて自分が言ってしまった言葉だ。それだけに、小泉さんの本音が表れた。小泉改革の行き詰まりを象徴するような発言だった。まさに潮目だ。
――今国会では、小泉首相と1月23日、今月6日の衆院予算委と12日の党首討論の3回直接対決しています。小泉首相の答弁をどう見ますか。
もともと小泉さんの得意技ははぐらかしと切り返しだ。例えば「構造改革なくして景気回復なし」というので、そのメカニズムの説明を求めてもはぐらかす。それに加え、「では民主党はどうなんだ」と切り返すことで、はぐらかしを分かりにくくする。自分が逃げているのに攻め込んでいるように見せる天才だった。そのやり方は1月23日でも見られた。ところが、「大したことない」発言以降は切り返しがなくなり、逃げと先送りと「仮定には答えられない」だけ。議論にならなくなった。
――小泉首相に政治哲学がないからではないですか。
私は哲学とまで言わなくても、政治家はひとつの状況に対して進むべき方向性を示して、現実をその方向に動かせればそれでいいと思う。小泉さんには当初、「今の日本は行き詰まっているので、構造改革をやらないといけない」という思いはあったのだろう。ところが、彼が考えていたやり方では結局、何も改革できないことに気がついてきたのが最近だ。
だから「大したことない」発言となったのだが、ただもうひとつの潮目をあえて言えば、すでに01年11月にあった。当時、小泉さんは道路公団改革が行き詰まり、思い切って当時の鳩山由紀夫代表率いる民主党と組んで、自民党内の抵抗勢力と勝負することを少し考えた。小泉さんと鳩山さんは極秘に意見交換していた。同21日の党首討論で鳩山さんは小泉さんにエールを送り、小泉さんも「与党だけの内閣ではない」と応じた。ところが実は、小泉さんは党首討論の前日、道路族のボス、古賀誠前幹事長ら抵抗勢力と手を打っていた。結局、小泉さんは一昨年暮れには「自民党をぶっつぶしても改革する」という思いは捨てていた。
その後、北朝鮮訪問や民主党内のゴタゴタで、行き詰まりがはっきりするのが結果的に先延ばしになったに過ぎない。
――野党結集はこれからどんな展開になりますか。
55年体制成立以降、日本で政権交代があった唯一の例は93年の細川護煕政権樹立だが、学ぶものと、繰り返してはいけない教訓の両方がある。プラスの意味で学ぶべきことは、野党が結集しなければ与党をひっくり返せないということだ。特に小沢一郎自由党党首はそれを実現した最大の功労者だったし、評価している。
しかし、当時は中心になる政党があり、他党と協力して支持を広げていったというよりも、選挙が終わってみたら自民党や共産党以外の政党が集まれば過半数になるので細川政権ができた、という格好だった。
基盤となる強い政党を持たなかったことが、政治改革は実現したものの次の段階に細川政権が踏み出せなかった構造的原因だった。従って、今度はしっかりした野党第1党があり、そこにいろいろなグループが参加して政権交代を実現するというオーソドックスな方法を目指したい。そう考えると、小沢さんが言うように大きな政党を作ることで国民の期待感が高まるというのは一般論としては妥当だ。ただ政党だけで政権交代という壁を乗り越えられるのか。
93年の政権交代が可能だったのは、政治改革をせよという大きな国民的うねりがあったからだ。中でも各界の人が参加した「民間政治臨調」というグループの存在は大きかった。政党はそれに従って動いた。例えば、旧社会党にとって党利党略からすれば選挙制度改革は決してプラスではなかったが、大きなうねりの中で動くしかなかった。私は小沢さんにも「両党だけで壁を乗り越えることは大変だ。国民世論が広がる中なら、合意できることは増える。国民的うねりを作ることと合わせて進めていこう」と話している。
小沢さんは93年に大変な力を発揮した人なので、「おれ流にやればうまくいくのに」という思いが強いかもしれない。しかし、それが成功しなかったこともある。小沢さんがちょっと急ぎすぎじゃないかと思う時には、私も率直に言っている。
――自社さ政権はどう総括しますか。
自民党が政権の外にいる状況が、少なくともあと1年続いていれば、自民党は崩壊しただろう。大変残念だ。自社さ政権の歴史的評価はまだ完全には定まっていないと思うが、薬害エイズ問題の解決や水俣病問題の最終決着など、個々の問題ではいろいろないいものを残したと今でも思っている。ただ大きい目で見れば、自民党を結果的に政権に戻してしまったという意味では、はたしてよかったのかなという反省も残る。
――国民的うねりはどう作りますか。
自民党が行き詰まっていることは明らかだ。民主党も今ひとつだと思う人の間で、「改革知事連合」などさまざまな動きが出ていると思う。私は大変いいことだと思う。そのような動きが各方面から出てきて、93年のようになってほしい。
大統領制であればうねりの中から1人候補者を擁立し当選させればいいが、議院内閣制では衆院で過半数の240人以上の国会議員集団を作らないと政権は取れない。知事連合が衆院選でも候補者を推薦する集団になってもいいし、他にも既存の政治を変えることを目指すグループが生まれてくるのもいい。そのようなグループと今ある政党のいろいろな組み合わせのネットワークの中で、過半数を達成できればいいと考えている。
そこで、民主党としては、そのようなグループといい意味で一緒に動けるように、分権推進型予算案の提案を含めて、政策面、行動面で協力しあえる形を考えている。また、北川正恭三重県知事、浅野史郎宮城県知事、堂本暁子千葉県知事、田中康夫長野県知事との直接的、間接的な対話を通して共有できることはだんだんはっきりしてきた。
――地方選挙で「脱政党」の動きが出ています。歓迎しますか。あるいは政党はもっとしっかりしろとの意味でしょうか。
両面だ。私は、民主党にとってかどうかは別にして、社会的には歓迎すべきだと思っている。それは、既存の政治行政が完全に行き詰まっているので、それに代わるシステムや人材を発掘しないといけないということを表しているからだ。既存の権力構造や利益構造に染まった人を見分ける力が国民はものすごくついてきた。民主党がそのような国民と連携できるかが今後の課題だ。
――東京都知事選にはどう臨みますか。
野党第1党として、我々の考えにふさわしい人を出すというのが基本的スタンスだ。
外形標準課税の導入や排ガス対策など石原慎太郎知事の政策には評価すべきことはたくさんあるが、ただひとつ石原さんには「本当にあと4年東京都民のために知事をやりたいのですか」と問いたい。首相になる可能性を残すために都知事のポストを利用する考えは許されない。
――イラク問題への日本の対応はどう考えていますか。
査察の継続が必要だ。査察強化により平和的に大量破壊兵器を廃絶させることだ。武力行使については、新たな国連決議がない限り反対という立場だ。新決議が採択された場合には、基本的にはそれに従うべきだと考える。しかし、決議案では武力行使を限定的にしているのに、フセイン政権転覆を自己目的化しているような武力行使であれば、賛成できかねる。
――政府の米国との協調関係重視は米国しか北朝鮮への抑止力がないからですが。
それなら、小泉首相はそのように国民にきちんと説明すべきだ。私も北朝鮮問題はイラク問題以上にシリアスだと考える。私は北朝鮮が(1)核兵器開発を永久に破棄する(2)拉致事件解決に最大限努力する(3)改革開放政策を続ける――という3点を約束すれば、日米韓で(1)金正日(キムジョンイル)体制の崩壊を軍事的に求めることはしない(2)日本は国交正常化してその後の経済支援を約束する(3)南北交流を活発化する――の3つをワンパッケージで提案すべきだと言っている。党首討論でも提案したが、小泉さんはまともに答えなかった。外交でも小泉さんには意見がない。