現在地 HOME > 掲示板
> 国家破産２２ > 450.html
★阿修羅♪
|
現在地 HOME > 掲示板
> 国家破産２２ > 450.html
★阿修羅♪
|
|
パリ ２月23日（ブルームバーグ）：今そこにある危機よりも、さらに先の「一段と高い成長率」を−−。22日閉幕したパリＧ７は、世界経済に微妙に影を落とすイラク情勢からあえて目をそらし、中長期的な構造改革に向けた各国の努力に焦点をおいて結束を前面に押し出すことで、首脳レベルとは異なる「財務相・中央銀行総裁会議」の独自性を強調した。その背景には、協調性のアピールで市場に安心感を与えるという思惑だけでなく、欧米各国の「複雑な関係」もあったようだ。一方で、「蚊帳の外」の日本は、世界デフレ懸念や中国問題を提起し、何とか存在感を示した。
シンプル・イズ・ベスト
共同声明では、焦点となっていたイラク情勢について「地政学的な不確実性が高まっている」とひと言触れられただけだった。そのうえで、「われわれの経済の基礎的な強さと、より力強く成長する能力に引き続き確信を有している」とし、あえて強気の姿勢を強調。市場の混乱を予測するようなメッセージ発信による悪影響も考慮して、「シンプル・イズ・ベスト」に徹した。イラク紛争が起こるのかどうか。起こった場合には市場がどのような動きをするのか。見当もつかないなかで、踏み込んだ議論ができなかったというのが実情だ。
塩川正十郎財務相は、紛争が実際に起こり長期化した場合の議論について、「相当深刻な影響が出てくる」としながらも、各国が協力して世界経済を引っ張っていくという程度の議論に終始した、と振り返る。逆に紛争が短期間で解決した場合には、経済に悪影響よりも若干の刺激を与える可能性があるとの意見も出たという。当の米国も、世界から反発が出ている武力攻撃に入る前に、経済への影響をことさら強調することで足を引っ張られたくないとの思いがあったのも事実。各国の思惑が絡んで議論にあえて「フタ」をしたように受け取れる。
米仏同盟
武力行使を強行するか、査察を継続するのか。イラク問題をめぐって強硬派の米英と慎重派の仏独の溝が深まっているというのが「首脳レベル」での構図だ。代わって、「Ｇ７レベル」で目立ったのは米仏同盟。米国が打ち出した大型減税を柱にした総額6700億ドル（約80兆円）規模の総合経済対策に対して、欧州中央銀行（ＥＣＢ）のドイセンベルク総裁は「米国が再び双子の赤字問題を抱えることで欧州だけでなく世界に影響が出る」と指摘。これに対してフランスのメール財務相は「友人である米国と同じ考えを共有する」と全面支援を買って出た。
このほど正式に就任したばかりのスノー米財務長官は、米大手鉄道会社会長からオニール前財務長官の後任として抜擢された。メール財務相も同じく産業界の出身。シラク大統領にその手腕を買われて、大手鉄鋼会社のトップから経済財政運営に身を転じ、減税策を実施した実績もあるなど個人的な共通項があるのは事実。とはいえ、首脳レベルの緊張感と比べると拍子抜けしたような展開だ。財務相に同行した幹部の１人は、日本から見ると米欧の関係は全く読めない要素があると漏らす。結果として、Ｇ７では際立った対決姿勢も見られず、徹底した「楽観主義」のもとで議論が繰り広げられたと言える。
悲願達成に布石
金融政策を中心に物が言いやすくなる−−。日本側の予想通り、今回の会合では、世界経済の「マイナス要因」として日本に批判を集中させてきた各国の矛先も多少収まった。各国経済の下ぶれリスクも強まり、人のことを言ってはいられないというのが実情。量的緩和や銀行保有株の買い取りなど「実験的」とも言える政策を進めてきた速水優日銀総裁も「初めて明るい空気を感じた」と最後のＧ７を総括し、胸をなでおろした。塩川財務相は、日本が現在陥っている状況を逆手にとって「世界デフレ懸念」を指摘。危機感の薄い各国に「いったんデフレに陥れば対応は難しくなる」と警告を発した。
「デフレを輸出している」とする中国の資本取引や金融・為替の自由化の議論提起も日本ならでは。地元に中小企業経営者を多く抱える塩川財務相は、国会や記者会見で中国問題を何度となく指摘してきた。財務省は、当の中国が参加しない会合で「結論」を引き出すことは当初から想定していなかった。各国に問題提起をし、その後の議論につなげることが狙いだ。世界貿易機関（ＷＴＯ）に加盟した中国を、さらに世界経済の表舞台に引っ張り出し、将来的に人民元の切り上げにつなげたいという「悲願」の達成に向けて布石を打ったと言える。
パリ 下土井 京子 Kyoko Shimodoi
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。