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日経金融新聞
\5,036/1ヶ月 (内消費税\239-)
https://www.nikkei4946.com/np_j/index.cgi?c=0C0@&bt=0
米国の大手銀行・証券会社の二〇〇二年第四四半期(十―十二月期)決算は、株安という逆風に見舞われた中でも多くが増益を確保した。しかし今回の好決算は個人消費の強さや人員削減などの合理化効果に支えられて達成できた側面が大きい。経済環境が急速に良くなるとは見込みづらいだけに、今後も経営のかじ取りは難しそうだ。
最高益に胸張る
「景気低迷というハンディを乗り越えて最高益を稼ぎ出した」。一月下旬にあった十―十二月期決算の発表にあたり、ウェルズ・ファーゴのアトキンス最高財務責任者(CFO)は胸を張った。
数字はそれを裏付ける。六・四半期連続で一株利益は過去最高を更新し、総収入も順調に拡大している。業界で断トツの取扱高を誇る住宅ローン利用者に対して他の金融商品を勧める「クロスセリング」が絶大な効果を挙げたという。
個人部門の好調ぶりは同行に限らない。JPモルガン・チェースでは同部門の利益が五四%増え、バンク・ワンも五一%伸びた。利益を押し上げたのは株価の低迷と、金利低下で個人の消費意欲がさらに高まったことだ。
株安を嫌って個人マネーが雪崩を打って預金に流れ込み、大手十行の昨年末時点の預金残高は一年前に比べて九百六億ドルも増えた。〇・五―一%程度の預金金利で集めた資金を金利の高い住宅ローンや消費者金融に回せば利ザヤが稼げる。取引が増えれば増えるほど利益が膨らむ構図だ。さらに「金利低下によって起きた住宅ローンの借り換えブームも追い風になった」(サントラストのヒューマン会長)。
「法的問題」メド
銀行にとってプラス要因がもう一つ重なった。不良債権をバランスシートから切り離す最終処理額が大手十行の合計で前年同期比〇・五%減り、これまでの二ケタ増ペースに歯止めがかかった。五割近くも減ったワコビアでは「通信など経営不振企業の処理が進んだ」と説明している。
「二〇〇二年を過去の話として語れるようになり、ほっとした」。シティグループのワイル会長は決算発表で最初にこう述べた。懸案だったアナリストの中立性を巡る問題やエンロンとの不透明取引を巡る訴訟への備えなど、「法的問題」にメドが立ったためだ。同問題の処理に十―十二月期は引当金を総額で十三億ドル積み増した。
フリート・ボストンやUSバンコープも同様の問題で負担がかさんだ。シティと同額を負担したJPモルガンは同じ期の最終処理額(約十二億ドル)を上回る水準だ。好調な個人部門が収益を押し上げたのは間違いないが、それだけでは大手十行の純利益が八%増えた理由を説明しきれない。USバンコープが一億ドルの債券売却益を計上するなど、多くが含み益を使って利益をねん出したようだ。
債権処理に警戒
不良債権の最終処理額も七―九月期との対比でみると三%増え、水準はなお高い。バンク・オブ・アメリカのハンスCFOは「処理額は今後も増えたり減ったりする」と警戒を緩めない。
「収益の源泉である利ザヤは一段と縮小する」。独立系調査会社クレジット・サイツのアナリスト、ヘンドラー氏はこう予測する。「資産運用利回りが下がりそうな半面で、調達コストである預金金利には低下余地がなくなりつつある」という。利ザヤは昨年一―三月期をピークに縮小傾向がはっきりしている。住宅ローンの借り換えが先細りになる公算も大きい。対応策としてナショナル・シティは一億―二億ドルの経費削減に取り組むことを決めた。
個人部門を巡る状況が次第に厳しさを増す中で、法人関連部門が今後も上向かないと業績には急ブレーキがかかりかねない。先行きに危うさを抱えて、手放しで好決算を喜べる状況にはない。
(ニューヨーク=豊福浩)
【表】大手米銀の昨年10―12月期の純利益
〓〓 単位:百万ドル、カッコ内は前年同期比増減率、%、▲はマイナス 〓〓
シティグループ 2,429 ( ▲37.3 )
JPモルガン・チェース ▲387 ( ― )
バンク・オブ・アメリカ 2,614 ( 27.1 )
ワコビア 895 ( 21.6 )
ウェルズ・ファーゴ 1,466 ( 24.1 )
バンク・ワン 842 ( 55.6 )
フリート・ボストン 261 ( ― )
USバンコープ 850 ( 22.2 )
サントラスト 340 ( ▲4.6 )
ナショナル・シティ 381 ( 9.8 )
合 計 9,690 ( 8.3 )