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インフレ目標 「劇薬」を飲む
http://www.mainichi.co.jp/life/family/syuppan/economist/030225/2.html#01
なぜ今、議論されるのか
日銀がマイルドなインフレの目標値を設定・公表し、その目標達成のため、無制限の国債買いオペや株式・土地の購入など思い切った金融政策をとるべきだという「インフレ目標」政策が浮上している。深尾光洋・慶応大学教授はデフレ脱出の手段として、日銀・政府が「強力な政策」をとることを提言。だが、導入をめぐっては賛否両論が渦巻いている(32ページ、アンケート)。「劇薬」だからである。野口悠紀雄・青山学院大学教授は「企業改革こそが必要」と指摘する。デフレの深化という日本経済未踏の地――財政を含め、複合的に、思い切った手をとらざるを得ないことだけは間違いない。
ふかお みつひろ 深尾 光洋 (慶應義塾大学商学部教授)
本当に必要なことは、有効な政策を実施してデフレから脱却することであり、デフレ脱却の目標としてインフレ目標を採用することではないことをまず指摘したい。
デフレの怖さ
デフレは、経済の供給能力に比較して需要が少なく、資本設備や人が大幅に余剰になることで発生する。1995年の超円高、97〜98年の金融機関の破綻に伴う厳しい信用収縮で、日本経済には大幅な需給ギャップが発生し、その結果、物価が継続的に下落するようになってしまった。現状では、GDP比で5〜6%、金額にして30兆円程度のデフレギャップがあると判断している。これだけ大きなデフレギャップになると、通常の金融財政政策による景気刺激でギャップを埋めることはきわめて困難である。例えば、減税のケインズ乗数(国民所得をどれだけ増加させるかという倍数)はほぼ1程度であるため、所得税と法人税をゼロにしてやっとギャップを埋めることができる。しかし、財政赤字を2倍にするほどの減税は、政府の信用を完全に失墜させるため、絶対にすべきではない。
一方、デフレの下では、同じ数量を販売しても、価格が下がるため売上金額は
減少していく。このため、借金の返済が困難になり、不良債権が発生する。不良
債権問題はさらに悪化し、銀行部門は実質的に国有化されるだろう。信用力が低
下した企業は、投資を行って新たな事業を興し、雇用を創出することができなく
なり、失業が発生する。失業を恐れる家計は消費や住宅投資を減らして、貯蓄し
ようとする。失業の増加はホームレス、自殺、犯罪の増加をもたらし、日本の社
会を蝕んでいく。財政赤字はさらに拡大し、日本政府の信用は低下を続けるだろ
う。 (以下はエコノミスト本誌で)