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UBSウォーバーグ証券会社・経済調査部チーフエコノミストの白川浩道さんは今日のポイントとして、「G7会合について」を挙げる。
<G7会合を見る上での「重要な点」とは?> 今日、明日とパリでG7会合が開催される。G7会合で何らかの意味ある決定がなされるのであろうか。 G7会合は、その歴史をみても明らかなように、為替市場に関する意見交換を行い、ミスアラインメントに合意できた場合には、協調的なアクションの可能性を探る、ということを、その基本的な性格とするものである。重要な点は、参加国が、「現在の為替市場には何らかの要因による著しい不均衡が生じており、これを政策協調によって是正することが、当事国の全ての国益になる」という判断ができなければ、何も起こらないということだ、と言う。その意味では、G7会合の後に何らかの意味ある決定が出てくることは、「それ自体、極めて稀なことであることを常に念頭に置かなくてはならない」と語る。
<本来は、日本円の価値下落を織り込むべき> 現在の為替市場にミスアラインメントは生じているのであろうか。米国における双子の赤字の拡大からすれば、米ドルの価値はもっと下落すべきである、ということになるのであろうか。しかし、「問題は簡単ではないだろう」。これまでも主張してきたように、日本の対外債権ポジションは、名目成長率の低迷が継続すれば 、今後4−5年のうちに激減する可能性が十分にある。為替市場が十分にフォワード・ルッキングならば、「本来は、日本円の価値下落を織り込んでいくべきである」とも言う。バックワード・ルッキングならば、米ドルの下落が妥当であるということになり、フォワード・ルッキングならば、円の下落が妥当であるということになる。このように、現在の為替市場でミスアラインメントが生じているかどうか、についての判断は、日本(あるいは日米)の中長期的な成長率見通しについてどのような立場を取るか、に大きく左右される。結局、「ミスアラインメントがある、ない」の議論は1日半程度のG7会合で決着をみるような性質のものではない、と言う。
<スノー新財務長官の下、財政刺激策の内容見直しか> 第2の問題は、「米国政府の為替政策の行き詰まりである」としている。米国にとっての魅力ある政策オプションとは、「財政刺激策の積極化と強いドル政策の堅持」であろう。米国における製造業の付加価値生産シェアが既に10%台前半に低下していることからすれば、「ドル安誘導の魅力は高くない」。むしろ、財政出動で国内非製造業部門 の業況を維持する一方で、ドルの信認を維持する、というやり方である。しかし 、米国内では、ブッシュ政権が打ち出した財政刺激措置に対する評判が極めて悪い。「景気刺激効果が限定的である一方、中長期的には生産性の低下等を招く」 等の批判である。この結果、「ブッシュ政権はスノー新財務長官の下で、財政刺激策の内容を見直さざるを得なくなる可能性すらある」と見る。そうなると、「米国も緩やかなドルの下落を望む必要が出てくる」。そこで米国の為替政策は、「当面、方向感を打ち出しにくい可能性が高い」と見ている。
<コンティンジェンシー・プラン再確認が主要議題へ> 今回のG7会合も、「為替相場に関する政策協調をまともに議論するような状況にはない」と言う。「地政学的リスクの大きさと、世界的な株価下落などが生じた場合のコンティンジェンシー・プランの再確認が今回のG7会合の主要議題となろう」。日本については、日銀新総裁の決定が間に合わなかったことで、日本の金融政策の方向性に関する議論も予想以上に乏しいものになる、と言う。