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「契約者の理解が得られないままではダメだ」−。金融庁は19日までに、与党3党の反対にあい、株安で苦しむ生命保険会社が契約者に約束した運用利回り(予定利率)の引き下げを認める保険業法改正案の今国会提出を断念したもようだ。背景にあるのは、4月の統一地方選への影響を恐れる政治の思惑。ただ、生保の経営破綻(はたん)が銀行のシステム不安につながりかねない状況が解消されたわけではなく、引き下げの火種は残ったままとなった。
予定利率が引き下げられると、契約者が受け取る保険金額は削減される。金融業界の都合で一方的に財産を奪うととられる内容だけに、契約者の反発は必至だった。
公明党の冬柴鉄三幹事長が口火を切り、与党3党の幹事長・国対委員長会談で「国民や国会のコンセンサスが醸成されているとは思えない」と述べ、予定利率引き下げに慎重な姿勢を示した。
与党側が懸念するのは、4月の統一地方選への影響。デフレ脱出の明確な処方箋(せん)も示せないまま、契約者から「生保に甘く、契約者に冷たい」と反発を買えば、地方選挙での苦戦を自ら呼びこむことになるという危機感がある。
与党3党は3月の法案提出を見送り、「議論を棚上げして、統一地方選後に仕切り直す」という方針で一致した。
これまで議論を主導してきた金融庁も、今国会への改正法案提出を断念したもようだが、予定利率引き下げをあきらめたわけではない。
そもそも、予定利率引き下げは、株価低迷などで生保の資金運用の利回りが予定利率を下回ることで発生する損失(逆ザヤ)を解消し、生保の経営破綻を回避するための方策である。
ひいては基金や劣後ローンなどで生保へ多額の資金を拠出する銀行が損失をかぶることを避け、「金融システム危機を未然に防ぐ」という金融庁の使命を達成するための手段だからである。
いわゆる「銀行救済」の批判も根強いが、「予定利率引き下げを議論するだけで、契約者に不安が広がり解約が増える」と危惧(きぐ)する生保業界にとって、今回の先送りは主張が通った形だ。
ただ、金融庁が予定利率引き下げの意思を持ち続けている以上、先送りには「予定利率が引き下げられるかもしれない」という不安が選挙後も続くという意味もある。
予定利率引き下げの火種が残されたまま、生保はさらに長期間、解約急増の不安にさらされることになりそうだ。