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国の商法〜資産売却の裏側(上)〜
政府は、国や特殊法人が保有する土地、建物などの資産の売却を進めている。しかし売却計画の達成に四苦八苦し、厚生労働省所管の特殊法人では「投げ売り」が常態化している。資産売却の裏側から「国の商法」の問題点を探ってみた。
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体育館やプールが1050円か10500円。
厚労省所管の特殊法人、【雇用.能力開発機構】が2004年3月の独立行政法人移行を前に安値で地方自治体に施設を売却していることが国会で批判にさらされている。
売却対象の雇用.能力開発機構の「勤労者福祉施設」は全国で2070.昨年末までに自治体などに売却した629施設のうち、売却価格が1.050円のところは2施設、10.500円は357施設、105.000円は220施設だった。
629施設の建設費用には計603億円もかけたのに、売却額はわずか計四億円強。
民主党の長妻昭氏は国会で「99.3%も値引きして投売りしている」と坂口厚労相を追及した。
安値のカラクリはこうだ。
2070施設のうち神奈川県のスパウザ小田原、東京の中野サンプラザなど10施設以外は、自治体の土地の上に建てた施設。
厚労省は施設の鑑定評価額(時価)から解体撤去費用を引いた額を売却額としたが、古い施設単体ではほとんど評価されず、解体撤去費用が時価を上回る。そこで国有財産の処分方式を参考に、時価が100万円未満だと1.000円、1000万円未満だと10.000円、1億円未満は100.000円の「最低価格」を設定し、消費税分を上乗せして自治体に売却している。
施設の建設費、修繕費は雇用保険三事業として事業主が負担する雇用保険料(月収の0..35%)が財源で累計で6500億円が支出された。2070施設の売却代金は04年度に雇用保険に戻るが、額は最大でも百数十億円とみられる。
施設は利用率が低く不採算なところが多い。比較的経営が良好な中野サンプラザも2001年度は利用者負担抑制の名目で雇用保険から2億5千万円を繰り入れてようやく黒字を確保した形で実態は「赤字」だ。
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雇用保険での施設建設は1970年ごろから始まったが、旧労働省OBは「経済が右肩上がりの時は雇用保険のカネも余っていた。そこへ自治体や政治化の陳嬢が相次いだ」と明かす。雇用保険三事業は毎年予算を使い切ることを前提に事業主から集めているので、不採算施設の建設に歯止めがかからなかった。
建設を中止しても施設の保有を続ければ、修繕費、自治体に払う土地借料などで毎年数十億円が雇用保険から出ていってしまう。(中略)
問題は施設の建設、保有から撤退する決断が遅れたことだ。完全失業率は1998年に4%の大台に乗って以後じりじりと上がっている。しかし、厚労省は2000年度まで雇用保険から施設建設費の支出を続けていた。
早めに撤退して関連支出をなくしておけば、その分を離職者の職業訓練や雇い入れ助成などの雇用対策に振り向けられた。政策転換が後手に回った代償は大きい。
同様の問題はほかの特殊法人でも起きている。
厚労省所管の年金資金運用基金が厚生年金などの積立金で全国に建設した保養施設「グリーンピア」の大半は売却のメドがたっていない。
郵政公社に引き継がれる簡易保険福祉事業団には「かんぽの宿」があるが、施設の今後の扱いは不明だ。