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東京 ２月18日（ブルームバーグ）：日本銀行の速水優総裁は18日午後の定例記者会見で、一部で銀行保有株の買取枠を２兆円から拡大すべきだとの声があることについて「拡大することはまったく考えていない」と言明した。
総裁は「国会では、野党から（日銀の２兆円の銀行保有株買い取りについても）やるべきではない、という声もある。（２兆円という限度枠も）いろいろ考えて決めた限度だ。銀行による市場での保有株売却の可能性を勘案しつつ、日銀の財務の健全性を確保しつつ、今の非常事態で、銀行の保有株を何とか減らすためにやったことだ」と指摘。買い取り枠を拡大する考えがないことを強調した。
竹中平蔵経済財政・金融担当相が「指数連動型上場投資信託（ＥＴＦ）は絶対にもうかる」と発言したことや、日銀にＥＴＦ購入を求める主張があることについては「この間の（日銀の）銀行保有株買い取りは株価を上げるためにやったことではない」と言明。
そのうえで「２兆円の銀行保有株買取枠は、125兆円の日銀の資産のなかではそれほど大きくないが、リスクがある資産をそう持つべきではないと思う。銀行保有株の買い取りは５年以上経ったときに、状況を見て手放していくことを条件にしている。そのほかの株式を買うつもりはまったくない」と述べた。
国債保有に集中するのは偏り
国債買い入れの増額については「日銀の資本引当勘定は５兆1000億円程度で、自己資本は８％近くあるが、長期金利が１％上昇すると、日銀には約１兆円の損失が出る。あまり集中的に国債保有を増やすことは、財務の健全性の建前から言ってもやや偏るし、今これを増やしてく必要はないという判断で、先日の決定会合で金融政策の据え置きを決めた」と言明。
総裁は「その代わり、何か起こったときは（金融調節方針の）なお書きによって、15−20兆円の当座預金残高目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行うと決めており、金融調節の動きをよくみていく」としたうえで、「金させ出せば必ず経済のプラスになるというものではない」と語った。
財政と国債買い入れオペをセットにした政策協定の是非について問われ、総裁は「日銀は財政の影響を含め、総合的に情勢を勘案し、最も適切と判断した政策を機動的、弾力的に実施してきた。今後も誤りなきよう自主性を発揮して金融調節を進めていく」と言明。
そのうえで「日銀法では、金融政策は政府の基本方針と整合的になるよう、連絡を密にすることが定められている。日銀は、政策上で自主性を発揮してきたが、政府の基本方針と整合性を保つように努めてきたし、今であれば、デフレ克服に最大限努力していきたい」と述べた。
自己資本充実のやり方を監視
大手行の自己資本強化策については「いろいろな形で自己資本充実に動き出している」と評価。そのうえで、「まず（自力で）これをやって、どうしてもダメで資本が足りない場合は、公的資本の再注入が必要になるかもしれないが、まずは自分たちでやれることをやるのが重要だ」と強調した。また、「（自己資本充実の）やり方については、あまりおかしなことをしないようにウオッチしていかないといけないし、金融庁もやっていると思う」と述べた。
パリで21、22日開かれる７カ国財務相・中央銀行総裁会議(Ｇ７)については、「（メディアは）Ｇ７、Ｇ７とお騒ぎになるが、１日の会議であり、そのなかで世界的な経済問題をいろいろ話し合うので、日本のことばかり話しているわけではない」と指摘。
そのうえで「日本については、これまでよりもずっと（各国の）関心が薄くなるのではないか。これまでは日本だけがデフレだ、デフレだ、と言われてきたが、他の国も皆、同じ方向に動き出している。日本が先輩みたいな形になるのかもしれないが、Ｇ７のこれからの議論についてわたしの立場から今コメントするのは差し控える。これはまったくわたしの私的な感じだ」と述べた。
東京 日高 正裕 Masahiro Hidaka
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