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UBSウォ−バ−グ証券会社・経済調査部チ−フエコノミストの白川浩道さんは今日のポイントとして、「日銀の独立性を高めるべき」を挙げる。
<旧大蔵省OBによる新総裁就任で決着か?> 大詰めを迎えた日銀総裁人事は、「旧大蔵省OBによる新総裁就任といった形で決着をみる可能性が上昇している」と語る。そして、政府と日銀の間の「アコード」は、「日銀が中長期国債の持続的な買入れ増加を行っていくという、まさに、哲学なき公的債務マネタイゼーションの加速、となって現われてくる公算にある」。時間稼ぎにしか過ぎない「愚策」が展開されようとしている、と言う。これに対し、白川さんは「日銀の独立性をもっと尊重すべきではないだろうか」と主張する。日銀にだけ任せておいたらデフレが深刻化するのではないか、という一部のエコノミストの議論は誤りとして、「現実はその逆ではないか」と言う。なぜなら、日銀が一金融機関として自らのバランスシートの健全化を図ろうと考えたら、「運用資産の分散と引当ての強化による自己資本増強」を打ち出さざるを得ないと考えられるからである。
<信用乗数を回復させる政策を積極的に推進すべき> 日銀が定義する、日銀の自己資本比率のチャートがある。これは、準備金、引当金を含めた日銀の広義の自己資本を銀行券の平均残高で除したものである。そして、「足元では既に8%割れとなっている」と指摘する。実体経済に効果がないにもかかわらず、自らのバランスシートを節操なく膨張させてきたことが自己資本比率の低下となって現われている。 中央銀行として、経済と物価の安定を図りつつ、自己資本比率を上昇させるためにはどうすればよいであろうか。答えは、「信用乗数を回復させる政策(=M2+CDといった広義のマネーサプライを増加させる政策)を積極的に推進すること」である。チャートからみれば明らかなように、M2+CDと名目GDPの間には依然として比較的安定的な相関関係が存在(M2+CDの流通速度は一定のトレンド線の回りを動いており、大きな乖離は認められない)しており、「信用乗数を回復させることができれば、日銀のベースマネー供給は実体経済や物価にそれなりの効果を発揮する可能性があると考えられる」からである。
<「銀行のバランスシート健全化策」で信用乗数を回復へ> 信用乗数を回復させる政策の基本が「銀行のバランスシート健全化策」であることは、改めて指摘するまでもないことである。日銀にとっては、銀行株式のオフバラ化支援となるETFの購入、貸出債権流動化商品の購入、あるいは、不良債権の切り離しを推進するための産業再生機構への直接出資、といった政策は、「まさに魅力のある政策」であろう。「当座預金に振り向けている20兆円の資金のうち 、10-15兆円程度をこうした政策に活用することができれば、金融・産業構造改革のイメージは大きく変化してくるはず」と言う。
<総裁人事が日銀の独立性をさらに脅かすものなら・・・> しかし、こうした日銀の動き(白川さんにとってはまさに正しい動きと映るが)を封じ込めるのが政府だと言う。日銀は淡々と国債を買えばよい、長期金利の上昇は避けるべきである、日銀による自己資本強化も許さない、というのが政府の基本スタンス。日銀に信用リスクのある資産を購入させる一方で、自己資本の増強も許容していくことが筋ではないだろうかとして、こう警告する。「今回の総裁人事が日銀の独立性をさらに脅かすものとなるのであれば、日本経済の未来は当面開けてこないであろう」