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by 前田正吾さん(ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント ファンド・マネージャー)マルテックス・インベスター・ジャパン提供(12日)
ファンド・マネージャーに泣き言は許されない。株式相場の低迷が続く環境下でも、コツコツと企業訪問を重ねて、個別銘柄の発掘を行い、運用成績の向上をめざすのがファンド・マネージャーの役割だ。 「国内で強い企業が海外でも強いとは限らない」。
こう断言するのはゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント取締役の前田正吾氏。同社が設定・運用する株式投信「牛若丸」のファンド・マネージャーでもある。
日本企業凋落の原因は収益性の軽視にあり
前田氏の目には最近の日本企業の凋落ぶりが歯がゆいものに映る。NEC、松下、シャープ、三菱電機、東芝・・・国内携帯電話端末のマーケットには日本を代表する電機メーカー10社以上がひしめき合い、激しいシェア争いを演じているが、世界の携帯電話端末市場に目を向けると、シェア上位に並ぶのはいずれも外国勢でノキア(37%)、モトローラ(17%)など上位5社で77%を占め、日本メーカーをすべて合わせてもシェアは15%にすぎない。
かつて米国さえも「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と賞賛した日本企業。一体どこで道を誤ってしまったのか。前田氏はこう指摘する。「国内の各市場における競合企業数が多い。携帯電話市場の例をみても、世界の15%程度という限られた日本市場のなかで、多数の日本企業が明確な戦略を持たず、過当競争の下で低収益に甘んじている。その一方で、世界市場は世界の大手企業に奪われるケースが目立つ」。
日本の製造業は、収益性を重視したかたちでの事業再編は遅れているため、この戦略性のなさが株式市場の低迷につながっている、と前田氏はみる。「日本企業は、バブル時に拡大した多くの低採算の事業を捨てきれておらず、低マーケット・シェアであっても、戦略的な撤退を行うケースは少数にとどまる」というわけだ。
外国の投資家からよく指摘されるのが日本企業の収益力が低いことだ。2002年度の日本企業の予想ROEは4.6%だが、21.0%の米国と比べると確かに低い。日本企業が低採算の事業を多く抱えていることが低収益の理由であることは間違いなく、これが日本株式市場の低迷にもつながっているのだろう。
日本企業復活のカギは事業集約による収益性の向上
しかし1990年から株式市場が低迷するなかでも着実に収益・株価ともに上昇している企業も存在する。たとえばロームは90年代前半にリストラを行い、集積回路、半導体素子などに事業を特化することでEPSは5倍以上に増えた。また、船井電機は自社ブランドを捨てOEM供給に特化することで収益力を高めた。
株価が上昇した企業の背景には、企業収益の成長の裏付けがある。「利益を伸ばす企業が存在するのと同時に、負けて退場する企業および事業が存在する。パイのサイズが変わらなくとも、退出企業の分だけ勝ち残り企業のビジネスは増える」と前田氏は語る。危機感を持って事業再構築に取り組む企業が増えることで、個別銘柄ベースでの投資のチャンスも増えるのだ。