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ニューヨーク 2月11日(ブルームバーグ):現在の米国株式相場の低迷をどう説明してもよいが、「弱い経済」は説明にならない。
1月の失業率が5.7%に低下するなど、経済指標からみると米経済はそれほど弱くなく、過去との比較でみると平均的な水準だ。仮にそうした状況になかったとしても、3年連続下落している株価が依然下げ続ける理由を経済指標から説明することはできないだろう。
調査会社ラファー・アソシエーツのエコノミスト、アーサー・ラファー氏は先週、オンライン証券会社T.D.ウォーターハウス・グループのファイナンシャル・プランナー(FP)に対し、「問題は米経済ではない。問題は資産価値だ。恐らく、過小評価されているのだろう。ひとたびイラク問題が決着をみれば、景気は走り出すだろう」と語った。
10年前との比較
過去の多くの場合、株式相場は似たような景況下で上昇を経験してきた。 10年前を振り返ってみると、米国は現在のようにリセッション(景気後退)からの回復局面にあり、1992、93年の成長率はそれぞれ3%、2.7%、失業率は 92年末時点で7.4%だった。そうした景況に不満を感じた有権者が92年の大統領選で再選を目指していた当時のブッシュ大統領に代えて、経済問題を前面に打ち出した民主党のクリントン候補を選出した。
しかし、91年末から93年末で比較すると、ダウ工業株30種平均、S&P 500種株価指数、ナスダック(店頭市場)総合指数ともに上昇。投資家は過熱もなく冷え込みもない状況と称し、景気は金融当局に利上げを促すような過熱したペースではなく、拡大が続いていた。
資産運用会社ストロング・キャピタル・マネジメントのエコノミストでファンドマネジャーのミラー氏は「2000−2002年は1990−92年の状況に酷似している。ただ、今の方が厳しくなっているのは株式市場の状況だ」と指摘。同氏は10年前と異なる点として、テロの脅威、企業の不祥事を挙げる。
株価が割高と指摘する声も多い。確かに、S&P500種株価指数採用銘柄の株価収益率(PER)は、このところ29倍前後と高水準で推移していた。しかしブルームバーグのデータによると、92年当時のPERは22−26倍で、今とそれほど大きな開きはない。また現在は、向こう1年間の利益予想を基にしたPERは16.5倍まで低下している。
明るい視点
資産運用会社M&Tアセット・マネジメントでビジョン・ラージ・キャップ・コア・ファンドの運用を担当するソーン氏は「米株投資は妙味ありと考える。デフレとの戦いに勝利を収め、設備投資と企業利益の伸びが戻ってくる」とみる。ミラー氏は「2003年が予想通り(3%かそれをやや上回る)潜在成長率を達成し、低インフレを維持すれば、企業業績の改善は続くだろう」とみており、「これは株式市場にとって朗報だ」と語る。
ではなぜ、市場関係者はそう考えないのか。弱気相場で大打撃を受けた投信会社のジャナス・キャピタル・グループが1つの具体的な答えを示している。同社のファンドマネジャー、ヘイズ氏は投資家向けの書簡で、「1990年代後半にハイテクや通信業界といった主要分野で過剰投資が行われた結果、米経済は依然それを消化しきれないでいる」と指摘。さらに「証券規制当局による調査というリスクが今も続いていることが、最高経営責任者(CEO)の間で精神面での障害になっている」と説明している。
だが恐らく、話はそんなに複雑ではない。90年代初めは、現在のように大きな上昇相場のはざまにあったのだ。10年前は次の上昇相場を待ち焦がれていたのであり、今は依然として直近の上昇相場の調整局面にあるということだ。(チェット・カリアー)
(カリアー氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です))
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