現在地 HOME > 掲示板 > 国家破産21 > 626.html ★阿修羅♪ |
|
厚生労働省が所管する中小企業退職金共済制度が、資産内容の悪化に悩んでいる。退職金を確実に支給するためには、資産の健全化が急務。このため、一般企業向けの退職金共済(中退共)は昨年11月に資産の予定運用利回りを3%から1%に引き下げる資産健全化に着手。建設業向け(建退共)など特定業種向けでも、同様の予定利回り引き下げが避けられない情勢だ。
制度は、中小企業が従業員に支給する退職金掛け金を、国が関与して外部に積み立てる仕組み。企業が倒産しても積立金は保全され、従業員は退職金を受け取ることができる。企業側には税制上の優遇措置や、加入後の国による掛け金助成措置などもある。
中退共は昨年11月で加入者数が約265万人、資産総額はほぼ3兆円に達した。建退共も200万人を超し、9500億円近い資産を保有している。しかし、景気低迷で掛け金収入は減少。超低金利による資産運用利回りの低下などが重なる“ダブルパンチ”を受けて、資産内容は悪化の一途だ。
このため、中退共は12年度から14年度(実績見込み)の3年連続で収益(掛け金や運用収益など)が費用(退職金給付や経費など)を下回る赤字続き。将来の退職金給付のために今年度末時点で必要とする資産額(責任準備金)は、約3兆1000億円に対し、総資産は約3兆円と積み立て不足に陥っている。
そこで資産健全化の切り札として導入されたのが、予定運用利回りの引き下げ。加入者に約束する予定利回りを引き下げると、責任準備金もその分少なくてすむからだ。
厚労省によると、中退共は3%から1%への引き下げによって、「資産健全化へのめどがついた」という。ただ、依然として建退共は4.5%、清酒製造業向けは2.3%、林業向けも2.1%と利率は高止まりしている。制度を健全に運営していくためには今後、予定利回り引き下げが避けられなくなっている。
【中小企業退職金共済】中小企業を対象に、加入企業の相互共済と国の支援による退職金制度。一般企業向けと、建設、清酒製造、林業の3つの特定業種向けがある。掛け金は企業側が全額負担し、税法上、損金または必要経費扱いされ、勤労者退職金共済機構がそれぞれを個別に運営する。