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昨年末時点で、国民の貯蓄残高は8兆7千億元に達し、前年同期に比べ17.8%増加した。昨年通年の増加幅は1兆3千億元となり、1998年以降で最も高い伸びを示した。こうした貯蓄の伸びは過去と何が異なるのか。また、経済発展にいかなる影響を与えるのか。
貯蓄種別で見ると、伸びは定期預金、普通預金ともに顕著で、伸び率は普通預金が大きかった。中央財経大学金融学部の史建平主任は「普通預金の伸びは株式市場の低迷と関連があるだけでなく、大多数の消費者が10万元クラス、数十万元クラスへと消費能力を蓄える時期にあることが、貯蓄の伸びを支えた新たな要因だ」と指摘した。
このほか、預金者の構成から見ると、中小預金者の割合が高いが、彼らが保有する金融資産は少ない。中国銀行研究所の黄金老博士は「こうした傾向は都市部と農村部との人口の比重や所得格差が背景で、『小康』の実現を急げば、不均衡は徐々に解消していくだろう」と分析している。
史建平主任は、昨年の貯蓄の伸びは、経済発展、収入水準の向上に関わっているほか、万一のための資金づくりを動機として挙げることが可能だろうと語った。記者は中国工商銀行の北京市内の支店で預金者6人に取材したが、余剰資金は1人が一部を株式に投資する以外、残る5人がすべて銀行に預けると回答した。合弁会社に勤める劉さん(女性)は、自分と夫の給与収入から30%に当たる2千〜3千元を貯金することが可能で、将来的には子供の教育費や住宅ローンの支払いに充てたいと話していた。
劉さんのような状況はごく一般的だ。住居、医療、老人福祉などの制度改革が進むにつれ、人々は収入の使い道で万一への備えを重視するようになった。中国人民銀行調査統計司が2000年から2002年の第4四半期に2万人を対象に行った調査によると、「最近3カ月に行った貯蓄の主要目的は何か」との問いに対し、「老人介護」「病気や失業、事故に備えて」と答えた人が最も多く、社会保障改革と貯蓄動機が密接に関連していることが分かった。これに次ぐ回答は教育費で20%ほどを占めた。最近3年間でこうした貯蓄動機を挙げる人は増加傾向にある。
一方、貯蓄の伸びは資金が消費や投資に直結しないことと密接に関連している。1990年代中期以前の高度消費期を経て、基本的な耐久消費財市場は飽和しつつある。しかし、新たな成長点である自動車や住宅などを購入するための10万元以上の消費能力を蓄えるにはまだ時間がかかる。一方、投資面では個人の投資手段が限られ、債券市場が発達しておらず、ファンド業もようやく滑り出した段階だ。株式市場のリスクは予測が困難であり、一般市民は余剰資金を銀行に預けるしかない状況が生まれている。
貯蓄の伸びは、消費や投資の陰りを意味し、内需拡大に不利な影響を与えうることを示すものではあるが、間接金融が主体となっている国情から見て、貯蓄は経済建設に十分な資金を提供していると言える。カギは銀行システムの効率をいかに高め、豊富な資金からさらに大きな効用を引き出すことにある。黄金老博士は「中国は1960、70年代の日本と状況が似ており、高い貯蓄を抱えている。日本の銀行はこれら資金を国内製造業の支援に充て、日本が製造業大国となる礎を築いた。ゆえに高貯蓄そのものは問題ではなく、資金の使用効率を高めていくことこそ重要だ」との認識を示した。
別の角度から見ると、十分な貯蓄は人々が将来的な改革によって招かれる不確実性に対し、心理的準備を整える一方で、物理的な受容力を備える意味合いがある。黄金老博士は「今後数年間貯蓄額は持続的に伸びるだろう。さまざまな改革が徐々に進み、消費環境と市場秩序が改善され、投資手段も健全に整備されれば、貯蓄は市場による調整のもとで適切な規模や構造を形成していくだろう」と指摘した。
「人民網日本語版」2003年2月10日