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東京 2月10日(ブルームバーグ):現在は最高年利が29.2%に規制されている出資法の貸出上限金利の見直しが今年6月に迫っている。個人破産の件数が過去最高を記録し、貸し倒れ費用も急増、また、あの手この手の顧客取り込み作戦を展開したが、新規顧客の減少に悩む消費者金融業界。専門家の間では現状から4ポイント低い年25%までの引き下げであれば「大手各社の収益への影響は限定的」(格付投資情報センター)との見方が強い。
現在の上限金利は年29.2%で、日歩8銭の計算だ。これが仮に日歩7銭に引き下げられると、年25.55%になる。三菱証券の三島拓哉シニアクレジットアナリストは「日歩6銭(年21.9%)や日歩5銭(年18.25%)では影響が大きく、現実的でない」と見ており、上限金利は年25.55%よりも低い、年25%を予想している。
また、三島氏は、仮に上限金利を年25.55%に引き下げることとなっても、大手消費者金融4社(武富士、アコム、プロミス、アイフル)については「まだまだ収益力は高い」と分析している。
同氏の試算によると、プロミスは新規の貸し付けに年25.55%の金利を適用しているため、上限金利の引き下げによる影響が最も低い。一方、最も影響を受けるアイフルでも、営業収益と営業利益段階で、それぞれ300億円弱づつの減収減益要因となるが「1000億円台の営業利益は維持できる」と指摘した。
「ヤミ金融を増やす」
自民党の金融サービス制度を検討する会の相沢英之会長は、ブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、「金利をもっと下げろという意見と、もっと下げたら、法定金利を上回る金利で貸し付け、違法な取り立てを行うヤミ金融を増やすことになる、という意見がある」としたうえで、「(金利が)高すぎるから思い切って下げろという声はあまりないのではないか。絶対に引き下げなければならないという情勢ではない」との考えを示した。
また、相沢氏は、3年前に上限金利を40.004%から29.2%に引き下げた背景として「20%台にしてもらいたいという声があった。そのほか調べると大手などの適用金利は27−28%で、25%までいくと実情としては無理だと思えた」と当時の状況を振り返った。
貸金業の貸し付け金利を規制する法律には、出資法と利息制限法の2つがある。それぞれ上限金利は年29.2%と年20%に規制している。どうしてこんな違いが生まれるのか――。「立法趣旨」が異なる、というのが最大の要因という。
利息制限法は、民法の「特別規定」で、司法の場で請求できる金利。出資法の上限金利は、これ以上の金利を請求した場合には刑事罰を伴う刑法の一種だ。消費者金融会社は利息制限法の年20%を越えても、顧客が任意に支払ったとして年29.2%までなら請求できる。だが、顧客が支払いが不能となり、裁判所へ申し出た場合には利息制限法の20%以内の金利が適用されることになる。
相沢氏は、この利息制限法の利息と出資法の上限金利の間に位置するグレーゾーン金利については「クッションとしてあるのも1つの考え方」とした。
商工ローン問題がきっかけ
前回の上限金利引下げは、行き過ぎた債権回収行為で商工ローンが社会的に批判を浴びた後に行われた。金利の高さが注目され、結局、1999年12月に改正出資法が成立。このとき、2003年6月までに資金需要や経済・金融情勢などを勘案し、必要な見直しを行うことも決まった。2000年6月から年29.2%の上限金利が実際に適用された。
三島氏は「引き下げが決まり、それが実施された時点で、新しい上限金利を上回る金利となっている現状の貸付金については、借り入れ期間中は金利が据え置かれると思われる」と予想しており、大手各社の収益に影響を与えるとは見込んでいない。
しかし、消費者金融各社は、上限金利がさらに引き下げられると、貸し倒れリスクの高い顧客には今後、貸し出しができなくなる危険性があると主張している。合法的な消費者金融会社からお金を借りれなくなった顧客は、法定金利を上回る金利で貸し付ける、いわゆる“高利貸し”のヤミ金融から、お金を借りることになり兼ねず、ヤミ金融被害が増える原因の1つと懸念している。
引き上げの検討も
貸金業者にとっては、3年前に上限金利が40.004%から急激に29.2%に引き下げられたことで、経営が苦しくなり、倒産や看板を下ろした中小零細業者が増えたといわれている。
また、貸し倒れ費用の急増などによるコスト増を考えると、29.2%では貸し付けできない顧客も増えているという。貸金業者の間では、今回の見直しでは、上限金利の引き下げばかりでなく、引き上げも検討されてしかるべき、との声が挙がっている。
都道府県ごとの貸金業協会を会員とする全国貸金業協会連合会(全金連)は、1999年の出資法改正時と同様、今回も上限金利の34.675%への引き上げを求めている。34.675%は日歩9銭5厘の計算で、これが損益分岐点と考えているためだ。
健全な金利水準は
全金連に登録している業者のうち99.6%が中小零細業者。全金連事務局の土屋雅五局長は「29.2%への引き下げにより、これらの業者の経営状況は深刻な状態になっている。合法的な貸金業者にとっては(前回の)引き下げにより与信が厳しくなり、消費者のためにも健全な経営が行える金利への引き上げが必要」と説明した。
しかし、岡三証券の服部実アナリストは、「(銀行間の資金融通を行う短期金融市場の)金利がゼロに近い状態での引き上げは通らないのではないか」と予想している。消費者金融業者の間でも、上限金利を撤廃し、金利は市場原理で決めることが望ましい、という考えもあるが、引き上げとはならなくても、最低でもさらなる引き下げは阻止し、年29.2%での据え置きには留めたいところだ。
R&Iは、上限金利が「25%を大幅に下回るような引き下げが行われると、格付けにマイナスの影響を及ぼす可能性がある」としている。
武富士の株価午前終値は前週末比80円(1.29%)安の6130円、アコムは 20円(0.51%)高の3910円、プロミスは40円(1.07%)安の3700円、アイフルは30円(0.63%)安の4750円。
東京 伊藤 小巻 Komaki Ito