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東京 2月7日(ブルームバーグ):公的年金積立金の運用の在り方を検討している社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の年金資金運用分科会は7日、厚生労働省内で会合を開き、株式の運用を続けるかどうかの7回目の審議を行った。
会合では、今年3月の「基本的な考え方」の取りまとめに向けて、複数の委員から株式運用の継続を求める声が相次いだ後、日本経団連・国民生活本部主査の高梨昌三委員が、「04年の財政再計算まで、基本ポートフォリオを変更すべきではない」と発言し、委員内の意見集約が図られた。しかし、従来から全額国債運用に変更すべきだとの主張を繰り返してきた連合の小島茂委員が、「公的年金はリスクをとるべきではない。基本ポートフォリオや、移行ポートフォリオが妥当かどうか再度検討するべき」と指摘し、この日も結論が出なかった。
同分科会では2月中に最低1回以上の会合を開く計画。結論のとりまとめに向けて、さらに議論を深める意向だ。
アクティブ運用
この日の同分科会でも外部の有識者を招き、意見を聞く機会が設けられた。横浜国立大学の浅野幸弘教授は、株式運用を継続すべきだとの立場を鮮明にしたうえで、「公的年金は委託でアクティブ運用すべきだ」と主張。年金資金運用基金が自らアクティブ運用を行うと銘柄選択や議決権の行使などの場面で政治的な判断が介入するため問題だとの認識を示した。
これに対し、年金資金運用基金の寺田投資専門委員が「アクティブ運用をすべて足してみると、ベンチマーク(運用指標)よりパフォーマンス(収益率)が悪くなる」、「市場に対するインパクトという面から考えてもパッシブ運用が必要だ」などと反論。浅野氏がまた「公的年金は、国民経済の基盤とも言える株式市場の機能を強化する役割を果たすべきだ。アクティブ運用にかかわるコストなど運用総額全体からすれば微々たるもの」と述べる場面もあった。
結局、横浜国立大学経営学部教授の米澤康博委員が、「パッシブ運用イコールTOPIXと考えるのでなく、ベンチマークそのものの幅を広げていけばいいのではないか」と語り、場をおさめた。
変容を始めた日本経済
もう1人のゲストとして同分科会に招かれた野村証券金融研究所・投資調査部の芳賀沼千里ストラジストは、「デフレ経済と株式投資」と題して、19世紀後半の米国や、1930年代の米国のデフレと株価動向を詳細に分析、物価循環や景気循環の超長期データを用いて、現在の日本のデフレ状況を検証した。
芳賀沼氏は現在の日本デフレについて、1)担保主義の金融機関、2)規制、3)為替--など日本特有の要因によるところが大きかったとの認識を示した。そのうえで芳賀沼氏は、厚生労働省の「毎日勤労統計調査」を示して、 2001年以降は、特別給与(ボーナス)、所定外給与(残業代)に加え、所定内給与の減少がみられると説明、雇用体系の変化に伴って、「少なくとも産業構造の転換を図っていけるだけの幅が出てきた」とした。
また芳賀沼氏は、企業が以前より収益の極大化に前向きな姿勢を示し始めているとの見解を語った。同氏は、メーンバンク制度が事実上崩壊したことで企業の株主が年金や外国人投資家に変わってきたと指摘、企業業績に対する株主の要求も以前より厳しくなっていると指摘した。また企業の債権者である銀行もリスクに合わせて貸出金利の設定を行い始めていることを挙げ、「収益性の低い企業が生き残っていくのが難しくなってきた」と解説した。
東京 鷺池秀樹 Hideki Sagiike