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危ない企業は? 竹中平蔵金融・経済財政相の強硬路線に合わせ、「51社リスト」など問題企業に対し、ついに金融庁の恐怖の特別検査が始まった
東京三菱銀行を皮切りに、昨6日始まった大手12行に対する金融庁の特別検査。大アマ資産査定に再びメスが入り、「51社リスト」や企業のお目付け・監査法人が要注意の「特記事項」を付ける問題企業などを厳重チェックする。大手銀6グループの株含み損が昨年12月末で4兆円にも拡大し、GDP(国内総生産)も1年ぶりにマイナス成長となり、景気腰折れに。都心のオフィスビルの空室が7.75%と、早くも「2003年問題」が顕在し、不良債権の増大に拍車がかかるなか、恐怖の特別検査であぶり出される『危ない企業』は?
金融庁の特別検査は、銀行の2002年3月期決算に合わせて実施されたのが最初で、今回は2回目となる。
特別検査は一昨年9月に破綻(はたん)した大手スーパー、マイカルを教訓に始まった。
「取引銀行はマイカルを破綻が差し迫った状態ではない『要注意先』に分類していたが、新生銀行の引き金を契機に突然破綻した。銀行の大アマ査定が問題となり、特別検査を行うことになった」(金融庁関係者)
前回の特別検査で対象になった融資先は149社。このうちゼネコン、流通、商社、ノンバンクの不振4業種が7割近い98社を占めた。
検査の結果、半分近い71社の債務者区分が格下げされ、うち34社が「要注意先」から「破綻懸念先」以下に区分された。
この時の特別検査で破綻に追い込まれたのが、青木建設(平成13年12月に民事再生法適用を申請)だった。ゼネコン関係者は解説する。
「青木建設は、あさひ銀行などから債務免除を受けて生き残りを図ったが、再建計画の期間が20年と異常に長く、特別検査では計画の甘さを指摘された」
「そこで、あさひ銀行は自己査定の見直しを迫られ、青木建設向け債権を『破綻懸念先』に格下げした。それで資金パイプが切れ、倒産した」
今回の検査は、竹中平蔵金融・経済財政担当相が昨年10月にまとめた「金融再生プログラム」に基づいて実施する。
資産査定に加え、金融支援などを受けている融資先の再建計画も厳しくチェックする。検査対象の企業数は、前回より3割ほど増えて200社ほどになるとみられる。
再建計画は、公認会計士などの専門家からなる「再建計画検証チーム」が精査する。
その結果、計画が非現実的と判定され、青木建設のように「破綻懸念先」に格下げされると、倒産(法的処理)に追い込まれる可能性がある。
「危ない企業はどこ?」と検査対象に重大な関心が集まるが、市場の注目は企業会計のお目付け役・監査法人が「特記事項」の監査意見を記載した企業群に集まる。
「特記事項」とは、経営にかかわる重要な事象について、監査報告書の欄外に重ねて記載することで、投資家に経営状態悪化の警告を発する。
大手商社審査部の担当者は「特記事項の文章自体は当たり障りない表現を使うが、嫌なものだ」と前置きして言う。
「特記事項を記載されたこと自体が『危ない会社』を意味する。特記事項の企業が倒産する確率は極めて高い。我々は取引先の信用判断では、まず特記事項の有無を見ることから始める」
昨年1年間に倒産した上場企業は、ゼネコンの佐藤工業、日産建設など29社に上る。
今年もすでに、家具小売業の宝船(埼玉県)、洋菓子のタカラブネ(京都府)の2社が倒産しており、いずれも「特記事項」が付いていた。
「特別検査では、『51社リスト』のなかでも『特記事項』がついた大企業群が対象になるのはいうまでもない」(監査法人幹部)というのが、専門家の見立てである。
東京証券取引所に上場する3月期決算企業のうち、昨年の9月中間決算で「特記事項」が付された企業は107社。東証1部が85社、同2部20社、東証マザーズ2社となっている。
「特記事項」の点で市場が注目するのは、不採算部門を切り離して会社分割するゼネコンのハザマと、同様に分社化が有力視される熊谷組、それとダイエーである。
熊谷組の「特記事項」は厳しい。芹沢会計事務所の中間監査報告書では《景気低迷、公共投資の削減等により建設業界を取り巻く経営環境は厳しさを増しているため、このような状況が当社の経営計画達成に影響を及ぼす可能性がある》と記載されている。
「特記事項で、経営計画達成を危惧(きぐ)する表現が出てくるのは極めて異例。熊谷組の経営計画期間は10年間と長い。金融再生プログラムでは企業の再建期間は3年と定めており、再建計画見直しは必至だ」(建設担当アナリスト)
ハザマの朝日監査法人による中間監査報告書は《追加情報には、「新ハザマ創生計画」(第71期〜第75期)の遂行状況及び繰延税金資産についての記載がある》という一文があるだけ。
追加情報の項目をみると、《「新ハザマ創生計画」(第71期〜第75期)を鋭意遂行中であり…》と記載されている。
建設担当アナリストは「ハザマの問題点を指摘し、投資家に注意を促している。新ハザマ創生計画を鋭意遂行中というのは、苦しい状況のなかで努力しているという意味。順風満帆ではないということ」と指摘する。
ハザマと熊谷組は無論、『危ない企業』ではない。それぞれメーンバンクのみずほと三井住友が3月期決算を前に、分社後の再編策として、経営統合の「結婚相手」探しを模索している。
最後に、ダイエーの昨年8月中間決算で、監査法人トーマツが付した中間監査報告。
《会社はダイエーグループ「新3カ年計画」の達成を最重要課題として認識し、今後も同計画の達成に向け主力3行を始めとした金融機関の理解と協力を得て取り組んでいる旨の記載がある》
官民一体の支援策も、歳末商戦の不発と、ヤマダ電機の家電売り場からの完全撤退などで、再建計画の再度の練り直しを迫られている。
このほか、昨年9月中間決算で「特記事項」がついたのは、長谷工コーポレーション、三井建設、住友建設、藤和不動産、大京、ダイア建設、トーメンなど経営再建中の「51社リスト」企業など常連組が名を連ねる。
「これらは、再建計画を精査する今回の特別検査の対象とみていいだろう」(監査法人幹部)
「特記事項」は2003年3月期でなくなり、来期からは「ゴーイング・コンサーン」(企業の継続性)に代わる。
「ゴーイング・コンサーンは、1年後までに経営破綻の懸念がある場合、投資家に危険性を知らせるもの。主要国でこの規定がなかったのは日本だけ。それで日本の監査報告書が海外から信用されない原因となっていた。これも会計基準のグローバル・スタンダードの結果」(公認会計士)
特記事項は「経営に不安がある会社」を表したが、ゴーイング・コンサーンは「企業の継続能力」にまで言及する。
「継続能力に疑いあり」の烙印(らくいん)を押された企業は、「一巻の終わり」となる。
特別検査に続くゴーイング・コンサーンの導入で、不振企業の首は確実に絞められていく。