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UBSウォ−バ−グ証券会社・経済調査部チ−フエコノミストの白川浩道さんは今日のポイントとして、「世界的なデフレ循環について 」を挙げる。本日付けの日経金融・視点論点に掲載された寄稿「世界的なデフレ 循環の話」をベースに加筆した。そのポイント(ほぼ原文通り)のみを予め示すと以下のとおりーー。
<世界デフレ脱却には「ショック型の需要」が不可欠>
(1)米国資産バブルの崩壊は、日本、北欧、アジア諸国、ロシア等が90年代に経験したバブルの崩壊と異なり、規制や制度上の歪みを伴わない、純粋な期待バブルの崩壊であった。それは、市場主義への挑戦を意味するとともに、米国型ビジネス・モデルに対する信頼を損なった。市場は、今後、かなりの長期間に亘って 、米国経済の生産性の低迷に怯えることになる(実際、昨日公表されたデータでは、昨年Q4の米国労働生産性が前期比−0.2%となり、前年比でも+5.7%から +3.8%にスローダウンした)。
(2)世界経済のパラダイム・シフトをもたらすような米国資産バブルの崩壊が、中国を中心とする新興工業国の供給能力増大と同時に発生したことは、先進国経済にとってまさに悲劇であったと言えよう。ディス・インフレは、企業や個人の債務リストラを通じて、世界的な需給ギャップをさらに拡大させる。先進国経済は デフレ循環の中にある。
(3)こうした状況下、先進国当局にはデフレ循環を断ち切る政策の発動が求められている。しかし、負債デフレの連鎖が働いている状況――人々が、物価はなかなか上昇せず、自分達の債務負担は簡単には解消しないであろう、と考えている 状況――では、従来型の金融・財政政策の効果は薄い。金融の量的緩和は、貯蔵 手段としての現金あるいは最も安全性が高いとみられる国債に対する需要を拡大 させるだけであろう。また、一方の国が通貨安政策を採用することは他方の国に 厳しい輸入デフレ圧力が生じることを意味するため、「金融政策の国際協調」は 必ずしも現実的ではないことを理解すべきである。他方、財政刺激策は、将来の 増税負担に対する懸念を強めることによって、その効果が大きく減殺される可能 性が高い。
<サービス業規制緩和等、産業構造転換が緊要>
(4)IT需要の拡大など、いわゆる”ショック型の需要”が生じない限り、世界経済 に明るさは戻らないであろう。先進国当局は、当面の間低成長が継続することを 前提に政策運営を行わざるを得ない。これは日本も同様である。そして、政策でなすべきことは、産業構造転換に資するような供給サイドの強化である。@サービス業に関する規制緩和の促進、A労働市場流動化策、B金融仲介機能回復策、などが重要である。
<金融仲介機能回復に資する政策実施が日銀の責務>
(5)最後に、そうした観点に立てば、日銀がすべきことは、金融の量的緩和を拡大させることではない。金融仲介機能の回復に資する政策を実施することである 。それは、銀行における不良債権や株式のオフバラ化を促進することである。財政政策運営に機動性がないことを前提とすれば、日銀は、ETFの購入やRCC 、産業再生機構への直接出資を検討すべきであろう。
太田龍の時事寸評:米国に、本当の問題はイスラエルだ、イラクが敵ではない。米陸軍退役准将ジェームス・J・デービット [週刊日本新聞]