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東京 2月7日(ブルームバーグ):個人破産の増加が消費者金融業界を揺るがしている。2002年の自己破産の申請件数(速報)が統計を取り始めて以来、最高の21万4634件に達したことで、消費者ローンのデフォルト(支払い不能)も増え、貸し倒れ償却額が急増しているのが最大の原因だ。
最高裁の調べによると、自己破産の申請件数は前年比で実に33.8%と大幅に増加。12月も2万1900件と単月で史上最高となった。この自己破産の増加に直撃されているのが、長期停滞する日本経済を尻目に右肩上がりの成長を続けてきた消費者金融業界だ。
自己破産の件数は90年までは年1万件前後だった。その後急激に増え始め、95年から毎年、史上最高を更新している。景気低迷のなか、失業や収入減で住宅ローンなどの支払いを滞らせ、消費者金融で借金を重ねた挙句、返済できなくなる人が急増しているためだ。
これを反映して消費者金融各社の貸し倒れ償却額が急激に増えている。業界1位の武富士では2003年3月期の貸し倒れ償却額を970億円と前期比23%増と予想している。2位のアコムは812億円と同50%増、3位のプロミスは 667億円と同21%増、4位のアイフルは636億円と同23%増との見通しを立てている。
「自己破産は35万件になる」
ドイツ証券の大木昌光アナリストは「自己破産の件数がどこまで増えるかについては、見方が分かれているが、35万件ぐらいで止まるのではないか」とみている。同氏によれば、米国の自己破産が年間150万人であることから、人口比から日本でも75万件が自己破産してもおかしくない。しかし、日本の貯蓄率の高さや労働意欲の強さを考慮して、非常に大ざっぱな見通しとして35 万件いう数字を導き出した。
大木氏は「今期は武富士、アコムが減益、プロミスが微増益、アイフルが増益という予想を出しており、ほぼその通りになるだろう」と語る。しかし、 2004年3月期については、「償却率(貸出残高に対する償却額の比率)が今より1%上昇すると各社とも減益になる」とみている。
仮に自己破産が年35万人に増えると、単純計算では、中間期で年率4−5%程度だった大手の償却率は8%程度に上昇するという。この結果、消費者金融は大幅な減益になる。だが、大木氏は、自己破産が今後増加したとても、消費者金融の貸し倒れ償却は一定限度にとどまり、さらに拡大していくとはみていない。
「夜逃げ」より自己破産を選択
それというのは、この1−2年の間に、弁護士広告の解禁や自己破産手続きの簡素化によって、貸し倒れ償却の3大理由の一つだった「夜逃げ」が少なくなり、そうした人たちが自己破産を選択するようになったとみられるためだ。
確かに自己破産の申請が容易になったことで短期的に貸し倒れ償却は急増する。しかし、その急増分も2、3年で一服するため、償却率が8%にまで上昇することはないというわけだ。とはいえ、長年2−4%で推移していた償却率が大幅に上昇しており、成長の一途だった消費者金融の高収益体質に変調を来たしているのは確かだ。
今春には現在29.2%の貸出上限金利の引き下げが国会で検討される予定だ。商工ローンの厳しい取り立てに対する社会的批判が高まった3年前に出資法の上限金利が40.004%から一気に約10%引き下げられた。この際、3年後に、この金利を再度、見直すことになったためだ。今のところ、今回の見直しでは、このような大幅な引き下げはないとみられている。ただ、消費者金融各社にとっては頭の痛い問題が続く。
武富士の株価は前日比60円(0.98%)高の6160円、アコムは前日比20 円(0.52%)高の3850円、プロミスは20円(0.54%)高の3690円、アイフルは10円(0.21%)高の4830円。(午前10時25分現在)
東京 竹内 カンナ Kanna Takeuchi