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小泉首相の棒読み答弁は3月危機の裏返し 「週刊メールジャーナル」  
投稿者 TORA 日時 2003 年 2 月 07 日 09:51:09:

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2003/2/5 No.170    週刊メールジャーナル  読者数9157人(前回)
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小泉首相の棒読み答弁は3月危機の裏返し
形式的な代表質問では意味がない
            本誌編集発行人・ジャーナリスト 川崎 明

 通常国会が開催し連日衆・参院での代表質問が続いているが、小泉首相の棒
読み答弁に批判が高まっている。

 このことはマスメディアも筆を揃えているので、本誌が重ねて論評する必要
はないが、こんな“意味薄”な議会にしてしまったのは、政党とマスメディア
の共同責任だということをハッキリさせておきたい。

 衆院でも、参院でも同じような質問が繰り返されるのを聴けば、小泉首相の
弁解も一理あると認めざるを得ない。

 与・野党政策の相違が明確にならないのは自民・民主両党の議員構成が似た
りよったりだからであり、代表質問といっても党全体の統一意志を示すもので
ない限りは迫力を欠く。

 民主党岡田幹事長の再質問、再々質問というパフォーマンスは、久し振りに
質問テクニックの面白さを見せたが、これも実は、国会対策委員会、議院運営
委員会の裏取引の結果であることが解かってしまえば白けてしまう。

 代表質問が単なる新顔のリーダーの顔見世興業にならないように工夫が必要
だ。民主党からくら替えした保守新党の熊谷代表は、この機会にその政治判断
の理由を選挙民や政党支持者に対して説明する必要があったが期待に反した。

 政治理念や政策転換の説明をしなくても政党くら替えができるという、いい
加減な政治状況こそ構造改革しなければならぬ。

◆“棒読み答弁”は政局混乱回避の手段

 そもそも、政府と立法府との政策をめぐる攻防の場、政策論議の場にならな
いのなら、延々と代表質問を続ける意味がない。

 早く予算委員会に移行したほうがいい。議員1人ひとりがよく勉強して、そ
の結果をもとに予算委員会でシリアスな質疑を展開した方がいい。

 形式重視の国会運営に問題がある。同じ日に同じ内容の施政方針演説を衆院、
参院双方で繰り返すという、時間と経費のムダ遣いもそのひとつ。

 その点でいえば、上院、下院全議員の前でジェネラル・ドクトリン(一般教
書)を発表する、アメリカ流の方が優れている。

 「たいしたことではない」と、“ホンネ答弁”を繰り返させないためには、
木で鼻をくくったような“棒読み答弁”をさせるしかないと、首相周辺が決め
たのは分かるが、そのことで、“ホンネレベル”の論議がなされないことの損
失は計り知れない。

 「改革の成果が現れるにはまだ時間が必要」という答弁一辺倒にしてしまっ
たのは、政党とマスメディアのミスリードと言っていい。

 それとも、いま、3月危機を目前にして、政府がありとあらゆる手段を総動
員してシステムクラッシュを回避しようとしている最中、小泉首相の軽はずみ
な発言で政局混乱を招かないよう、与野党暗黙の了解で国会運営をしているの
であろうか。

◆3月危機を前に形式的代表質問を続ける暇はないはず

 そうだとしたら、ことはもっと重大だ。
 年明け以来、為替と株価市場では政府による異常なほどの市場介入が目立つ。

 生保業界の予定利率引き下げ問題では、その先に、大手銀行の自己資本比率
ダウンに端を発する金融クラッシュを避けようという、行政意図が透けて見え
る。

 小泉首相の政治姿勢について、一部の議員が辛らつな批判をしても、「その
挑発には乗らない」とばかり、紙を見ながら顔を上げず、全く同じ棒読み答弁
の繰り返しが続いている。

 その背景には、予断を許さない、緊迫した経済情勢が続いていることが、あ
るからではないか。

 このような日本丸沈没の危機に際して、ひたすら形式的政(まつりごと)を
踏襲・継続していることこそ大問題だ。
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週刊メールジャーナル 2003年2月5日 第170号(水曜日発行)
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