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UBSウォ−バ−グ証券会社・経済調査部チ−フエコノミストの白川浩道さんは今日のポイントとして、「外債かETFか(パート2) 」を挙げる。一昨日の「アドバイザー」では、日銀の流動性政策が「量から質へ」に転換する可能性を指摘した。すなわち、資金供給のメニューが、外債やETF等に拡大する可能性である。さらに、日銀総裁人事との関係では、基本的には、「中原氏であれば外債」、「福井氏であればETF」との見方が可能であることを述べた。今日はそのフォローアップ(ほぼ原文通り)として、次の諸点を検証しているーー。
<外債・ETF購入への課題とプロセス>
(1)中央銀行として正当化できるか 外債やETFへの購入対象資産の購入は、日銀にとって魅力のあるものであろうか。答えは恐らくイエスである。中央銀行の使命は通貨の信認の維持である。通貨の信認は、最終的には、日銀のバランスシートの健全性の問題に帰結するが、 ここでの1つの重要な視点は、日銀として、運用資産のリスク分散を図る時期に来ている可能性があるということである。日銀は、既に4−5年前から、国債に傾斜し過ぎた金融調節を行っている、との批判を海外中央銀行から受けてきている。政府の要請によって、公的マネタイゼーションを加速させていくと、最後には、為替相場と国内債券相場の同時的な下落を招くリスクがあるという考え方である。BOE(英中銀)などは、既に、日銀が不動産市場に絡む証券を購入すべきであると指摘している。米国FEDも、日銀は社債購入を展望すべきである、との議論を展開したことがある。日銀が国債から購入対象資産のメニューを広げることは、むしろ海外からは評価される可能性の方が高いのである。
(2)手続き面に問題はないか 外債やETFの購入は現行の日銀法で可能であろうか。これも答えはイエスであろう。まず、外債購入に関しては、外為の売買(第40条)の中に「日銀が自ら行う外国為替の売買であっても、国際金融面での協力に該当するものと財務大臣が認定し、財務大臣が承認すれば可能」といった趣旨の規定がある。すなわち、 外債購入については、政府・財務省が、それを国際金融面での協力措置と認定してくれれば良い、ということになる。他方、ETFについては、金融調節のための手段と位置付けることはできない(第33条の通常業務規定では読めない)ため、個別株の買取りと同様、第43条(他業の禁止の例外規定)を適用するしかない。しかし、これも政府の承認があれば可能である。従って、外債購入、ETF購入ともに、手続き面でのハードルはない。
(3)財務省の承認は得られるか それでは、実際に、財務省が日銀による外債購入やETF購入に対してOKを出すであろうか。財務省が、日銀の外債購入やETF購入をOKする際の判断基準は4つある。それらは、@債券市場を壊すことにならないこと、A日銀の縄張りが相対的に拡大し、財務省のプレゼンスが低下することにならないこと、B日銀による国庫納付金が大きく減少しないこと、C追加的な財政出動が要請される可能性が低下すること、というものである。
▼6日のポイントA/日銀がETF購入に踏込む可能性が上昇
UBSウォ−バ−グ証券会社・経済調査部チ−フエコノミストの白川浩道さんは今日のポイントとして、「外債かETFか(パート2) 」を挙げる。
<財務省が外債・ETF購入コストを容認できるか、がカギ>
上記(ポイント@)の基準のうち、@からBについて考えると、外債購入については@、Aの基準に抵触する。また、ETF購入については、@、Bの基準に抵触する。ここで 、@(債券市場を壊すことにならないこと)については、「日銀に並行的に輪番増額を要請し、日銀にそれをある程度受け入れてもらうしかない」と語る。従って、外債購入は、基本的には外為政策に関する縄張り争いの問題に、またETF購入は、国庫納付金問題(ETF購入に伴う日銀の引当て強化による納付金の減少)に、それぞれ帰結する。そして、財務省は、これらのコストと、C(追加的な財政出動が要請される可能性が低下すること)の基準とを比較することになる。すなわち、「追加的な財政刺激策を要請されないように、日銀の外債購入やETF購入によるコストには目をつぶるか」ということである。
<ETF購入なら株式市場にプラスのインパクト> 外債購入とETF購入のいずれが、株価により大きなインパクトがあるであろうか。「それは恐らく、ETF購入であろう」と見る。なぜなら、外債購入の場合には、「米国の財政赤字ファイナンスを助けざるを得ない状況にある」といった、ネガティブなメッセージを出さざるを得ないからである。華麗なる円安誘導とは行かない可能性が高い(日銀の外債購入がドル安を招くリスクもゼロではない)。「ETFの場合には、銀行のバランスシート健全化、株式市場の需給改善、といった、プラスのイメージを打ち出すことが可能である」。政府・財務省とすれば、相対的に 、ETF購入の方を承認しやすいのではないだろうか。「 リスク分散派である福井元副総裁の次期総裁就任の可能性が上昇していることと 合わせれば、日銀がETF購入に踏み込む可能性がじわじわと上昇してきている と読まざるを得ない」