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混合経済といえば聞こえは良いが、このところの政府による市場介入はいささか行き過ぎたものがある。
1月下旬に米国のイラク攻撃懸念からドルが下落し、117円台まで円高となったところで、当局は「隠密介入」に出たことを明らかにした。これでドル円は120円を回復したから、一応の成果を見たことになる。政策の結果円安となるのが好ましく、介入してまで円安にはしない、と財務省幹部が言っているさなかの出来事だ。また、株式市場でも、日経平均が8000円を割れば政局、との見方が出る中で、何とか株価押し戻しを図った。
逆に債券市場では、10年国債の利回りが0.75%まで下げたのを見て、「速すぎる金利低下」を不安要因と、政府はすかさず介入に出た。今度は金利を押し上げる方向での介入だ。その一方で秋の大型補正を見込み、その国債を引き受けてくれそうな日銀総裁を選ぶ、との人事話まで飛び交う。
経済の安定を図る上で、相場の急変が足かせとなるのは好ましくない。しかし昨今の市場介入は、ドルが全般に下げ、世界規模で金利、株価が下落する中で、日本だけが実施している。それも相場安定といった範囲を超え、政府にとって都合の良い方向に無理やり相場誘導しようという姿勢が突出している。
本来、市場での取引において、参加者は平等な情報条件の下にチャンスとリスクを分かち合う。ところが、政府という圧倒的な力を持ったものが突然参入し、相場を操縦すると、運不運をこえて投資成果が大きく左右される。それだけ市場参加者にとっては、大きな不確定要素となり、市場の機能を後退させる。政府自ら東京市場の空洞化を促進させている。
また、市場は政策の矛盾をついて動くことがあるが、これを封じ込め、相場が落ち着いてしまうと改革へ向けての危機感も後退する。そうなると経済の安定化にもそぐわない。(千)