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松下電器産業を除く大手電機メーカー8社の2002年10―12月期連結決算と、2003年3月期の業績見通しが4日、出そろった。大規模な人員削減によるリストラ効果や、システムLSI(大規模集積回路)など一部の半導体で収益が回復したため、各社とも利益は大幅に改善した。ただ、通信部門の不振や世界的なデフレ進行などで、本格的な「V字回復」は2004年度以降にずれ込みそうで、今後「ハイテク再編」が本格化する可能性もある。
■通期見通し■
10―12月期は富士通を除く7社が営業利益で黒字を確保し、なかでもソニーは「スパイダーマン」がヒットした映画部門や、「プレイステーション2」などゲーム部門がけん引し、売上高と税引き後利益で過去最高を更新した。
一方で富士通とNECは、ともに売上高の約3割を占める光ファイバー関連など通信部門の不振が響き、2003年3月期の売上高を下方修正した。NECは初の無配に転落し、富士通の税引き後利益は2期連続の赤字となる。
業績好調なソニーも「個人消費の低迷は予断を許さない」(徳中暉久副社長)と、2003年3月期の業績の上方修正は見送った。東芝や日立製作所も「デフレによる価格下落を、リストラ効果とDVDなど一部の好調な製品で何とかカバーしている」(東芝・島上清明副社長)状況で、まだ完全な「V字回復」には至っていない。
■経営改革■
各社は2001年度までに相次いで打ち出した万人規模の人員削減を今年度中にほぼ完了しており、これ以上の人員削減を行う余地はなくなっている。このため各社は売り上げが減っても収益を上げられる事業再編を加速させている。
日立は昨秋に液晶ディスプレーを分社化し、来年度からの中期経営計画では、売上高の2割にあたる約1兆6000億円の不採算事業から撤退する。「総合電機」の看板を下ろし、「これまで経営環境の変化に対応できなかった」(庄山悦彦社長)遅れを一気に取り戻す。
NECは企業向けIP(インターネット・プロトコル)電話で沖電気工業と、富士通は液晶ディスプレーで台湾メーカーとそれぞれ提携する。有望な成長分野は単独で育てるという「定石」を見直し、積極的に他社と組む。
意思決定を速め、市場の変化に対応するための組織・経営改革も進んでいる。NECは昨年11月の半導体事業の分社化に続いて社内カンパニー制を見直す。ソニー、東芝、日立は相次いで「委員会等設置会社」に移行し、取締役会を米国型の仕組みに改める。
■今後の見通し■
マルチメディア総合研究所が、今年の国内パソコン出荷台数は昨年をさらに下回る1100万台と予想するなど、ハイテク関連製品は一部を除いて低迷が続くと見られる。デフレが世界的に進み、イラク情勢の緊迫化や国内の株式市場の低迷などの不安要因もあり、業界では「本格的な回復は2004年度以降」(富士通・高谷卓副社長)という見方が強い。
来年度以降はリストラ効果による利益のかさ上げも見込めず、中国などアジア諸国の追い上げもより厳しくなることから、内外メーカーを交えた抜本的な再編が進むという見方も出ている。(読売新聞)