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金融庁が生保と銀行救済のために画策している保険業法の改正に対し、実効性を疑問視する声が高まっている。今回の改正は、生保が契約者に約束した運用利回り(予定利率)の引き下げを破綻(はたん)前でも可能にすることが柱。しかし業界内では、予定利率引き下げは、契約者の生保不信を増幅しかねないタブーでもある。自民党内からは強制引き下げ論まで浮上しているが、実効性は不透明だ。
金融庁がまとめた保険業法の改正原案では、(1)予定利率を3%まで引き下げることができる(2)引き下げ手続き終了まで、契約者の解約は禁止する−などとしている。実際の運用利回りが予定利率を下回ることで発生する逆ざやを最小限に抑え、生保の体力低下=不信が解約を後押しする事態も防ごうという考えだ。金融庁は与党との調整を経て、3月中に改正法案を国会に提出することにしている。
しかし、保険業法改正に対する保険業界の感情は複雑だ。「予定利率を引き下げれば、経営は楽になる」(大手生保)と歓迎する気持ちがある一方、「契約者との約束を守らない生保が信用されるはずがない。結局、解約が可能になる手続き終了後、契約者が逃げていくのでは」(保険アナリスト)と、資金流出への不安も拭(ぬぐ)い切れない。
このため、保険業法が改正されても、結局、予定利率は引き下げられないというのが一般的な見方となっている。
ただ金融業界には、生保経営を生保にまかせておけない事情もある。生保が銀行から受け取っている基金や劣後ローンの額は数千億円レベル。住友生命保険で5350億円、三井生命保険が3455億円、朝日生命保険が3230億円といった具合だ。仮に大手生保の一角が破綻すれば、銀行も多額の損失を被り、金融システムが危機にさらされる可能性がある。自民党内には「金融庁が生保に勧告を出し、強制的に予定利率を下げさせて、破綻を回避すべき」との声が渦巻く。
永田町にはこうした強行論がある一方で、解散・総選挙を意識し、有権者でもある生保契約者の機嫌を損ねたくないとの思惑もある。
一方、金融庁は契約者の理解を得るために、銀行による基金や劣後ローンの一部放棄や、生保経営陣の退任を義務づけることも視野に入れる。また、大手生保の経営形態である相互会社から、資本調達や経営統合が容易な株式会社に転換する際の手続きの簡略化も検討中。基金を償却したうえで、資本金を出資しなければならないという従来の手続きを、基金を直接資本金に振り替えて株主になることができるように変更することで、株式会社化を促進しようとしている。
しかし、いくら対策をうっても、予定利率を下げられる契約者の痛みは変わらない。また、金融庁が強制引き下げに踏み切れば、契約者の怒りの矛先は金融庁に向かうはずで、「金融庁は汚れ役を嫌う。保険業法を改正しても、結局、強制はできないだろう」(大手生保)との見方もある。
即効性のある生保救済策は見つかりそうにないようだ。