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コメルツ証券会社東京支店・ファンダメンタルリサ−チ部ストラテジストの宮島秀直さんは、土曜日、スペースシャトル「コロンビア」が大気圏突入と同時に爆発した事件に関して、「事件の直後に甚だ不謹慎とは存じます」としながらも、多くの問い合わせに応えて、あえてマーケットへのインパクトを予測した。過去のNASA大惨事におけ る米国株式市場の株価変動ケース、今回の米国を取り巻く国際情勢、米国内の国民感情、さらには、ヘッジファンド、投信などが発信しているコメントなどをもとに、同惨事が与える米国株式市場へのインパクト予測（現段階の）を行なった。以下に、報告（ほぼ原文通り）をご紹介するーー。
（１）1986年スペースシャトル・チャレンジャー、67年アポロ・ジュピターの墜落事 件後の株価は双方とも安定 86年1月28日に発生したスペースシャトル・チャレンジャーの爆発炎上事件の場合を 見ると、株価は翌日に＋0.48％（S&P500）と確りしており、その後一週間の株価変動 を見ても+1.42％とプラスの領域にあった。 ちなみに、1967年のアポロ・ジュピターの発射後爆発炎上事件の後も、株価は堅調に 推移（むしろ一週間で2.8％上昇した）。 従って、過去のアポロ宇宙計画における 事故の後、株式市場が短期・中期ともに動揺したケースは少ないといえる。
（２）事故後のブッシュ大統領の呼びかけで国民の結束意識が更に高まった 事故後、ブッシュ大統領が即座にキャンプデービットからホワイトハウスに戻り緊急 記者会見を開き、国家的惨事に対する結束を呼びかけたことは、元来、こうした事件 を切っ掛けに「国家」を意識し強く団結してきた米国民の心理を強く共鳴さ せた。 先週行われた大統領一般教書演説後、国民の間では「イラク侵攻」への賛成 意識が 高まっていたが、下記のイラク新聞報道の件などと併せて、今後は国民が一層「イラ ク侵攻」を後押しする世論が形成される可能性が高い（株式市場にとって は、方向 性が明確になることで上昇ポテンシャルが高まると考えられる）。
（３）イスラエル軍出身飛行士の死亡に対するイラク大手新聞の「天罰」報道に先進各国でも批判集中 湾岸戦争時にイスラエル空軍パイロットとしてイラク空爆に加わって重要な戦果を挙 げたイラン・ラモン氏が、今回の事故で亡くなったことについて、イラクの「バベ ル」などの主要新聞が一斉に「天罰」と報道した姿勢については、イスラエル国内の みならず、 米国、英国、フランス、ドイツ等からも批難の声が上がっており、微妙 な情勢にある先進各国の対イラク武力行使に影響を与える（武力行使への賛成）こと が予想される。上記（２）と同じ理由から、この動きはイラク侵攻の方向性を明確化する切 っ掛けのひとつとなることが予想される。
（４）ヘッジファンド、投信に大きな戦略・戦術変更の兆し無し 日曜日以降、欧米のヘッジファンド、投信などに同事故にする認識をE-Mailにて尋ね たところ、「市場が事実上服喪する期間が訪れる可能性があり、その期間は売買が控 えられ株価もやや揉み合う可能性も有る。しかし、こうした停滞は長期は続かず、市 場はイラク情勢に神経を尖らせる状況に戻る」との回答が圧倒的だった。 「米国株式市場にとって、国民が惨事に対して結束することはプラス要因」との見方 も多く、今後1ヶ月間を見た場合は、この惨事も含めて “イラク武力行使”に向け て、 米国民の心理ベクトルがより一層収束し株式市場の方向性が明確になる可能性 が高 まると思われる。
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