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「米国のイラク侵攻がひと区切りついたら商品市況は下落するのか?」ーー。過去数週間で、機関投資家から寄せられたなかで最も多かった質問の1つだと言う。これに対し、コメルツ証券会社東京支店・ファンダメンタルリサ−チ部ストラテジストの宮島秀直さんは、「過去30年間のCRB指数にも明らかなように、国際紛争と商品価格の中長期的な上昇には明確な因果関係は証明できない」
<背景に年金による商品ファンドへの大規模シフト> さらに、特に今回の国際商品相場の上昇に限っては、「より長期で本質的な『運用難』を背景とした年金の大規模な商品ファンド(原油、金、希少金属などを対象にしたデリバティブでヘッジして運用する一種のファンド。正式名:マネージド・フューチャード・ファンド)への投資拡大が大きく影響している」と言う。もっとも、米国年金のうち総勢2700を超える確定給付型年金(従来型)の62%で積立不足が発生、2003年には3500億ドル以上の積立不足額の補てんを余儀なくされる。商品ファンドへのシフトは、「深刻な現状を投影している」ことも看過できない。
<商品ファンドの純資産総額は約790億ドルへ急拡大> 昨年5月までは緩やかに減少傾向にあった商品ファンドへの資金流入は、10月以降変化し2003年1月第2週までで純資産総額は約790億ドル(17%)と大幅に増加した。昨年10月以降、最も商品ファンドを買い増したのは年金で、総額350億ドル購入している。「同時期、年金は運用パフォーマンスが悪化したヘッジファンドを220億ドル程度売却していることから、ヘッジファンドを見切りした資金の大半が商品ファンドにシフトした」と見ている。さらに、130億ドルの資金が、株式や債券を売却して商品ファンドに向けられた。「1995年には投資家別保有額シェアが15%に満たなかった年金が、今回の投資拡大の結果、21%に達したのは大きな勢力変化と言える」
<株式市場にとっては、2つの面でマイナス要因となる> こうした年金の投資行動を踏まえ、宮島さんは次のようにコメントする。「『商品価格はイラク侵攻の集結とともに下落し、リターン・リバーサル相場(株価は逆に中期上昇)に入る」という考え方は、今回の場合、やや株式市場にとって楽観的過ぎると思われる」。年金によるこうした投資行動の影響は、株式市場にとっては、「投資資金フロー」と「企業収益」の2つの面からマイナス要因となる、と見ている。まず、年金基金による商品ファンド投資拡大の決定は、株式投資額の縮小につながる。また、商品市況が経済活動の活性化とは異なる現在のような理由(ヘッジ投資)で上昇または高値を維持した場合、製造業はこれらの原材料価格の上昇を販売価格に転嫁できず収益の圧迫要因となることが予想されるからである。