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道路関係四公団民営化推進委員会の最終答申・意見書について
投稿者 日時 2003 年 1 月 30 日 15:25:50:

                  2003年01月30日発行 第228号 特別
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 ■■■    日本国の研究           
 ■■■    不安との訣別/再生のカルテ
 ■■■                       編集長 猪瀬直樹
**********************************************************************

                 http://www.inose.gr.jp/mg/index.html
━━━━ニュース!━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

        道路関係四公団民営化推進委員会の情報は
           こちらでごらんいただけます。
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 道路関係四公団民営化推進委員会の最終答申・意見書について、読者のみな
さまよりお寄せいただきましたご意見・ご感想を2回にわたり、特別号として
配信いたします。

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 「道路関係四公団民営化推進委員会の最終答申・意見書に対する
  読者からの反響」 第二回

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■加藤 毅(会社員)
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 道路公団民営化委員会の討議の経緯は、「ニュースの考古学」の愛読者であ
る小生は新聞紙面では伝わらない部分も理解でき、高い関心を払っていました。
紆余曲折を経て答申に至るクライマックスは、下手な芝居よりよほど劇的であっ
たと思います。

 多大な労を厭わず答申に漕ぎ着けた委員各位には、深く敬意を表したいと思
います。

 小生は基本的に答申の内容に全面的に賛成です。何より事務局の老獪な抵抗
に屈せず、委員会設置の原点と目指すべき方向を見失わなかったこと、答申に
実効性をともなわせるべく各提言には極力抽象的表現を排除し、具体的に数値
目標を置いたこと、そして憲法を彷彿とさせる「前文」を置いたことなどは、
どれをとってもこれまでの官製委員会の「常識」を覆すものばかりで、大いに
溜飲が下がりました。

 いわゆる抵抗勢力はあの手この手で答申の骨抜きや潰しを狙っています。代
表的な戦術は「首相が任命した委員が構成する委員会に斯様な重要案件は任せ
るべきではない。最終的には国民の代表である国会議員が国会で討議すべき」
「道路は国民共有の財産で民営化は馴染まない」「目先の採算ではなく、ロー
マ帝国を見習い国家百年の計で対応すべき」などの標語でキャンペーンを張っ
ています。いずれも正論でしょう。とくに、革新的な答申がすんなり通ってし
まっては直接の利害者である土建業界や地方自治体にとっては死活問題であり、
いっぽうで官僚や政治的な出番を失う国会議員にとっては、自らのレゾンデー
トルを失うことに繋がりかねず、反対運動にも一層力が入るでしょう。

 あれだけ委員会が紛糾したことからも明らかなとおり、今回の答申は完璧と
言えるものではないかもしれません。民営化が万能でないのも事実でしょう。
しかし、この国を覆う閉塞感を打破するにはこれまでどおりの「先送り療法」
ではなく、荒療治しかないことは明らかです。

 とくに、眼下のデフレのみならず医療保険や年金制度の潜在的な破綻を目の
前にして、われわれ中・若年世代は国の未来に明るい希望を持てずに閉塞感に
浸っています。これ以上、必要性の薄い公器がどんどん建設され、将来世代の
負担が積み上がっていくことに無関心ではいられません。「できるだけ国民は
選挙に行かず眠っていて欲しい」と、前首相は迷言を吐いていましたが。

 いままでわれわれは、声無き声を持つ大多数の賛成(反対)は大きな声を持
つ一部の利益団体の反対(賛成)論の前に無力であるという事にあまりにも慣
れてしまっていました。小生は、政党政治を全面的に否定できるだけの知識と
信念を持ち合わせてはおりません。が、政党間、派閥間、或いは省庁間の貸し
借り・暗黙の了解等により密室で議論が進み、なぜか意見が収斂していくこれ
までのやり方に比べ、審議の過程を透明にしたうえで世論の支持を得つつ最終
的に内容のある結論を答申された結果、国会審議で下手に手を入れ難くさせた
点で画期的な事だと思います。

 政策の実効性を確認(=いわゆるPlan, Do, Check)するには揺ぎない意志が
なければ、とてもつとまりません。そして税金(公的資金)を投入する場合は
競争力のある費用であることが担保されていなければなりません。あらゆる意
味で今回の民営化委員会の採った措置は、時代の要請に応えるものであったと
感じ入っています。これを潰そうとする抵抗勢力の暗躍に対しては、マスメディ
アも世論のバッシングを浴びせさせることに躊躇すべきではないと思います。

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■小澤 純(自営業)
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 猪瀬直樹様には、まずはご苦労様でしたと、お礼を申し上げます。

 なんといっても第一の功績は推進委員会を公開にされたことです。この当た
り前のことが、いままでまったくなされなかった、それを疑問にも思わなかっ
たわれわれも間抜けだったなあーと思います。何事もいつのまにやら決まって、
工事が始まってしばらくすると、革新政党から反対運動が起きるが結局は出来
てしまう。典型的なのが、中部国際空港。常滑沖にもっていって、いままで小
牧市にあって交通が非常に便利であったのが、今度の空港は200万市民にとっ
て便利になる人は一人もいないのに。公共事業の無駄とか無駄でないとかの話
でなしに、より多くの人が便利になるか不便になるかの観点でいえば、まった
く問題にならないです。ましてや万国博覧会は、愛知県瀬戸市、小牧空港から
20分位のところ、それをわざわざ2時間もかかる常滑沖へもっていって、外国
のお客さんを、そこへ降ろして瀬戸市まで来てもらうという。信じられない話
でしょう。道路関係四公団民営化推進委員会のように、はじめから建設する、
しないの議論から公開でやれば問題点が浮きぼりになり、つくることになった
時でもよりいい物が安く出来ると思うのですが。

 名古屋高速道路の件で一言、最近、楠インターチェンジから小牧まで延長さ
れたのですが朝夕と五、十、日の〆切日の渋滞がまったく解消しない、高速道
路のなかった時は楠の交差点は市内から小牧へ走る道路は渋滞しなかったので
す。高速道路ができたため出口から大量の車両が交差点の手前へ降りてくるた
め、一本道路を無理やり割り込ませたかたちになったため大渋滞、それでも小
牧まで延長にすれば解消するはずだったのが全然解消しない、それは楠の交差
点を1メートルでも先に進めば350円余分に取られるため、ほとんどの車両
が楠の出口で降りるので、下の道路の信号が工事中の時のように一回送りにな
るために年中無休の工事中なみになってしまったのです。この解決法は交差点
を越える豊山まで(スピードをだしていれば1分位)650円の市内料金で行
ければ、即解決すると思いますよ。また朝、市内へ入る時も豊山から650円
の市内料金にすれば大幅に渋滞は緩和されるとおもいます。

 いままた、国道22号線の上に一宮から名古屋市内に入る立派すぎるくらいの
高速道路を建設中ですが、都市高速の説明会に行った時に猪瀬様から教わった
費用便益分析を彼らに聞いたら、一日6万台走る車両のうち、高速道路ができ
れば2万台は高速道路を走るから、いまの渋滞は解消すると言う話ですが、同
じような楠インターチェンジで実証済みのため、いまのままでは渋滞は解消し
ないと思います。一区間位サービスで同じ料金にしてくれないと、渋滞のため
の時間のロスと燃料代と大気の汚染とは膨大な損失になると思いますよ。むし
ろ高速道路がなかった時のほうが渋滞しなかったと言うことになる。彼らは誰
の為に高速道路を建設しているのだ。

 猪瀬直樹様のような人が大勢出てこないと日本はよくならないと思いますよ。
これからも色々教えてください。有難うございました。

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■匿名希望(無職・政府系金融機関OB)
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1.はじめに

 道路関係四公団民営化推進委員会が、ご多忙な委員のもとで約半年間にわた
り計150時間に達する熱のこもった審議の結果、最終答申・意見書をまとめ
られたことについて、まずこの間の委員各位の献身的なご努力に対し心から敬
意を表したい。本委員会が当初から公開の場で開催され、審議内容をオープン
にされたことは極めて画期的なことであり、国民の目に見えるかたちで議論が
進められたことは大変よかったと思っている。

 本委員会の審議過程をつぶさに拝見するとともに、最終答申・意見書を熟読
させていただいた「感想」として、つぎの2点を指摘したい。

2.感想

(1) 本委員会のあり方 ――委員長の態度と「両論併記」の問題――

 本委員会は、総理の任命による有識者7名によって構成され、道路関係四公
団の民営化問題について議論したうえで、今後の進むべき方向について、客観
的な立場から「指針」を示し、政府に提言することにあったと考える。

 しかし、本委員会の最終段階における騒動については、テレビで一部始終が
報道されたのを見て、一国民として失望した。委員長の態度は理解しがたいも
のであり、あのような態度が許されるのだろうか、大いに疑問に思う。もし民
間企業の社内の会議において、あのような事態が起きたらどうなるか考えてみ
ると、委員長の今回の行動には大いに疑問を持たざるを得ない。

 本委員会の審議過程において、当初、「両論併記」についてはまったく触れ
ていなかった。仮に、その可能性があるのであれば、当初の段階において徹底
的に議論しておくべきであった。民営化委員会の設置法の「施行令(政令)」
では「委員会の議事は、委員で会議に出席したものの過半数で決し、可否同数
のときは、委員長の決するところによる」と規定されており、「過半数決定」
にしたがうということになっていたはずであり、それにもかかわらず最終段階
にきてから、強固に「両論併記」を主張するというのはおかしいと言わざるを
得ない。最初から与党の一部議員(特に自民党)に顔を向けた審議を行い、結
論を出すのであれば、本委員会を設置して議論する必要はなかったのではない
か。本委員会設置の原点に立ち、あくまで有識者としての立場で中立的に議論
してこそ本委員会の存在意義がある。

 総理が「本委員会は関連の法律が成立するかどうか心配する必要はない」旨
発言されたが、これは当然のことである。本委員会の結論がどのようなもので
あれ、それを受けとった後、政府がその結論をいかに法案化し実現していくか、
政府が責務を負うべきであり、それを国民が注視している。

(2)最大の問題点の取り扱い ―― 新しい高速道路建設問題――

 本委員会の結論に対して、与党自民党の道路族と呼ばれる議員が強く反論し
ている点は、「今後一切高速道路は建設できないのではないか」という点であ
る。「道路建設は採算性のみで判断すべきではなく、政治的な判断が求められ
るものであり、とくに地方においては、この点が重視されるべきである」と主
張している。これに対して、5人の委員側は、「必要なものをすべて建設して
はいけないとは言っていない」旨強調している。

 しかし、本委員会の結論は基本的に採算性を重視しており、新たな道路建設
がいかなる場合に可能なのかが必ずしも明確でないので、この点が、一般国民
からみてもっとも分かりにくい点である。

 最終答申・意見書によれば、「新会社は、公益性にも配慮しつつ、自社の経
営状況、投資採算性等に基づき判断し、自主的に新規建設への参画を決定する」
とあり、さらに「新会社の採算を超える建設投資は、合併施工方式等国・地方
公共団体等の費用負担を前提にした新たな制度により対応する」とされている。
基本的には「採算性」を重視することを前提にしているが、これによっても、
今後とも新たな高速道路の建設が可能となる余地があるというのであれば、そ
れはどのようなケースなのか、その点について、抽象論ではなく、もっとわか
りやすく具体的に説明する必要がある。

 一般論として、道路網が整備された都会に対比して、地方の道路建設は公益
性の観点からも重視されるべきであることは理解されるので、できれば、この
点について、道路族議員と本委員会委員との間で、テレビなどの公開の場で徹
底的に議論し合っていただき、それを国民がつぶさに見聞きして的確に判断で
きる材料を提供していただきたい。本委員会委員の主張と反対勢力の反論が、
それぞれ別々に報道されているが、同じ土俵の上で正々堂々と徹底的に議論し
合っていただきたい。

 私自身、本委員会の最終答申・意見書を基本的に支持する立場にあるが、よ
り理解を深めるためにも、これに反対する立場の人びととの間でわかりやすく、
忌憚のない意見交換を展開して、国民の一層の理解を得ることが肝要であると
考える。

3.むすび

 道路関係四公団の問題は小泉政権の改革の大きな柱となっており、約40兆円
もの巨額の債務を抱え込んだ実態をどうにかしなければならない、すなわち現
行スキームを改善しなければならないということについて、異論を唱える人は
いないと思う。

 同時に、いわゆる「政官業の癒着」について大胆にメスを入れて大手術する
必要があるが、本委員会の結論がひとつの突破口となることが期待されており、
途中で頓挫することのないよう国民全員が注視していくことが肝要である。同
時に、小泉政権も、抵抗勢力の動きに対し決して弱腰になることなく、国民の
応援をバックにして、当初からの一貫した方針を貫徹していただきたいと期待
している。

 本委員会の結論を実現するためには関係法案の立案・審議・採決というステッ
プが必要であり、これは国会の役割であるため、本委員会の直接の影響力が及
ぶ範囲に限界があることは理解するが、本委員会の考え方を多くの国民が支持
(世論調査でも過半数が支持)していることを忘れることなく、つねに国民の
ほうに顔を向けた議論を進めていただきたい。

 小泉内閣メールマガジン(2002年12月19日号)に石原大臣が次のとおり書い
ている。

「民営化推進委員会の意見を重く受け止め、速やかに実現可能な具体案を作成
し、実行に移していくことは、総理もおっしゃるように、まさに政治の責任な
のです。」

 この言葉を国民は信じ、本委員会が投げた「ボール」を受け止めた小泉政権
の動きを注目しているが、道路関係四公団の民営化問題の推進は前途多難であ
り、今後とも本委員会の果たすべき役割は大きく、それを国民は強く期待して
いる。

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