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日本銀行で、追加の財政支出を前提に国債買い増しなどの金融緩和を進める「合わせ技」論議が高まってきた。世の中におカネが回るようにするには日銀の金融政策だけでは限界があるとの見方からだ。ただ、政府・与党内で期待感があるインフレ目標策をかわす狙いも透けて見える。
●反作用
20日の経済財政諮問会議で、速水優日銀総裁の発言が関係者の注意を引いた。金融政策が効果を発揮する条件の一つとして、「民間需要を引き出す適切な財政運営」をあげたからだ。山口泰日銀副総裁も23日のインタビューで「政府が新たな財政措置を決断し、市場環境に変化が出るような場合に側面支援することは可能だ」と述べた。
財政と金融政策の同時出動論は、日銀内でかねて議論されてきたものだ。量的金融緩和で銀行に資金を出しても貸し出しにつながらず、実際のおカネの回り具合を示す通貨供給量(マネーサプライ)の伸びは鈍い。02年を通してほぼ3%台にとどまっていた。とすれば、銀行貸し出しとは別の道である財政出動を増やすのが手っ取り早い、という理屈だ。
ただ、ここに来てトーンが上がってきたのは、政府・与党の一部から1〜3%のインフレ目標策を求められたことへの反作用という側面がある。インフレ目標を念頭に政府と日銀による協定(アコード)を提唱する竹中経済財政相は追加金融緩和を強く期待するが、日銀内には「財政と金融の同時出動こそがアコード」(幹部)との見方がある。
白川浩道・UBSウォーバーグ証券チーフエコノミストは「一般に財政出動には慎重になりがちな中央銀行の傾向からすれば、かなり苦しい対応だ。効果が薄く政府債務が積み上がれば、最後は中央銀行が穴埋めするしかなくなる」と見る。
●変調
財務省の林正和事務次官は27日の記者会見で、財政・金融政策の同時出動論について「予算編成で我々が精いっぱいの努力をしたことを理解してほしい」と述べ、抵抗感を漂わせた。
たしかに、昨年末の03年度予算編成過程では、歳出の半分近くを国債に依存した現状に、手詰まり感が漂った。しかし、今月に入り、自民党の麻生太郎政調会長、古賀誠前幹事長らが財政支出を訴えるなど、様子が変わってきた。「財政に話が来なければいい」(財務省関係者)との計算は狂い、焦点は03年度補正予算を組むかどうかに移りつつある。
日銀幹部らが想定するのは、米国のイラク攻撃と国内の金融不安の二重の打撃だ。3月ごろ、大規模な景気刺激に向けた論議が一気に高まる――というシナリオだ。
ただ、市場はそうは見ていない。29日、新発10年物国債の利回りが一時、過去最低の0.770%まで低下(債券価格は上昇)したのも、「財政出動はないとタカをくくっている」(市場関係者)からのようだ。日銀内にも「このままでは、財務省側に利用されるおそれもある」などと、財政の枠組みが変わらないままに国債の買い支えだけを求められることへの懸念が出ている。