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製造業復権 小型株から?――日経金融新聞スクランブル
「徐々に活況を取り戻しつつある」との声が聞かれる。もちろん相場全体の話ではなく、中小型株相場の話だ。28日の日経ジャスダック平均株価は続落したが、新興市場関係者の表情は暗くない。
今年の株式公開第一号、オックス情報の初値は公募・売り出し価格を37%上回りストップ高で取引を終える幸先のよい出だし。コスモ証券の佐藤博商品部長は「ハイテク株などがテーマ性を持って中小型相場をけん引し投資家心理は改善している」とみる。
大和総研が先週、都内で開いた小型成長株セミナー。厳しいマクロ経済環境が予想されるなか、成長が見込まれる小型株を探そうと機関投資家が大勢集まった。目玉の一つは江沢厚太アナリストがまとめたカメラ付き携帯電話などについての業界リポートだった.。
2005年のカメラ付き携帯電話の世界の需要台数が1億3400万台(2002年の七倍強)、携帯電話の3割強がカメラ付きになると予測。「多機能化で中心となるのは、技術で先行する日本企業。ただし様々な事業部門を抱える大手企業への収益寄与度は限定的で、業績面のインパクトが大きいのは小型企業」と結んでいる。
国内メーカー各社は海外勢の独占状態だった欧米、アジア市場を攻略すべく、カメラ付きを武器にする構えだ。同時に海外メーカーもカラー化を推進。アナリストのもとには、機関投資家から「携帯とデジタルカメラの業界動向をまとめたリポートが欲しい」との要望が相次いでいる。
実際、昨年末から一部の関連銘柄は急騰している。レンズ射出成型機製造のソディックプラステックは昨年末終値から三週間あまりで株価が倍増。レンズ検査装置のフォトニクスは同期間で9割上昇。携帯電話画面のバックライトに使われるLED(発光ダイオード)で世界シェアトップのシチズン電子株も堅調だ。
多少割り引いて考える必要はあるだろう。新興市場特有のわずかな材料に目先筋の資金が飛びつく傾向がみられることは事実で、昨年末に仕込んだ投資家は一部売却を始めたという見方もある。ただ、今回の中小型ハイテク製造業人気には、3年前のIT(情報技術)バブル期と比べて業績の裏付けがしっかりしてきている面があることには、注目してよいのではないか。
光源装置製造のインターアクションは先週、2003年5月期の単独経常利益の見通しを従来の2億3000万円から3億1000万円に上方修正した。自社の撮像素子を用いたデジカメ用の検査装置の需要が急増したのが背景だ。
真空成膜加工のジオマテックはきめ細かい画面が表示でき、同業の競争が激しい液晶表示装置(LCD)の方式を避け、消費電力が少なく低コストでつくれる自社の得意な手法に絞り込んだ。その結果、コスト意識の高い欧州携帯メーカー向けの採用が拡大し2003年3月期の連結経常損益は大幅に改善しそう。
インベスコ投信投資顧問の得能修シニアファンドマネジャーは「日本発で世界的に通用する新しい製造業が見つけやすくなってきた」と話す。大型ハイテク株の値動きの重さが目立つなか、小粒な企業群に「製造業復権」を託した投資家も増え始めている。
課題は需要拡大の恩恵を享受している間に、収益の安定性を多少なりとも高めつつ、次の成長分野を開拓していくことだろう。
目先の収益急増を呼んだ「単品経営の強み」が、「収益源の少ないぜい弱な経営」と評価を急変させる可能性は常にある。市場の注目点が当面の受注増から長期的な成長力に移る局面が、いずれ訪れる。
携帯電話の成功に安住しない企業が増えれば、短期資金に左右されない本物の中小型株相場がやってくる。(加藤貴行)