現在地 HOME > 掲示板 > 国家破産20 > 206.html ★阿修羅♪ |
|
財務省が発表した02年の貿易統計(速報)で、中国が日本の輸入相手国としてトップになった。安い労働力と大量生産によって「世界の工場」として地位を築いた中国の輸出圧力は、日本にとどまらず米国やアジア各国でも増大しており、「世界へのデフレ輸出」との警戒も出ている。ただ、02年に日本が4年ぶりに貿易黒字を拡大できたのは中国向け輸出の大幅な伸びによるところが大きく、「輸出大国」と「一大消費市場」という二つの顔をもつ中国の存在感は日本の貿易の中で今後もますます大きくなりそうだ。
日本の02年の輸入額のうち中国からの輸入シェアは18.3%。すでに「メード・イン・チャイナ」は衣料品や玩具、靴などの分野で店頭を席巻している。
「安さだけでなく、商社の技術指導で品質も高まっている」(大手スーパー)との指摘もある。このスーパーでは輸入品の3分の1が中国製品で、5年前には最大の輸入元だった米国と入れ替わり、輸入元トップだ。
しかも輸入の勢いはこうした伝統的な雑貨衣料分野にとどまらない。02年に中国から輸入した製品のうち33.5%は機械機器で占められた。急増しているのはコンピューターなどの事務用機器(前年比81.7%増)、半導体などの電子部品(同21.5%増)などハイテク関連だ。
中国からの輸入額は99年から4年連続で増加し、首位に立った。日本貿易振興会の薮内正樹・中国北アジアチームリーダーは「1ドル=79円台まで円高が進んだ95年、日本から中国への直接投資が急増した。これがきっかけになって中国での工場建設が盛んになり、中国の製造力を強めた」と分析する。
中国を「工場」として活用する日本企業の動きもすっかり定着してきた。パソコン大手のNECは03年3月末までに、国内で販売する個人向けパソコンの70%にあたる約120万台の生産を中国に拠点を持つメーカーに委託し、完成品を輸入する。04年度には輸入比率を85%まで引き上げる。
通信機器メーカーのユニデンは27日、トランシーバーなどの無線通信機器の生産をフィリピンから中国の生産子会社に切り替えると発表した。移転理由は「人件費を半分以下に抑える」だ。
●「日本製」世界で陰り
中国の輸出品は日本だけでなく、世界各国に流入を続けている。国際金融情報センターによると、輸入総額に占める中国製品のシェア(01年)は米国が9.3%(前年比1.1ポイント増)、韓国が9.4%(同1.4ポイント増)。
人件費の安さを背景に安価な製品を世界中に輸出している中国の動きに、黒田東彦・前財務省財務官は「中国はデフレを『輸出』している。人民元が上昇するか、中国が自らの政策で国内のデフレを是正する必要がある」と指摘し、世界経済への影響に懸念を示す。
一方、かつて世界の貿易市場を席巻した「メード・イン・ジャパン」の陰りが目立つ。日本製品の01年のシェアは米国で11.0%(同1.4ポイント減)、韓国で18.9%(0.9ポイント減)と低下傾向だ。米商務省が発表した昨年11月の貿易統計では、中国に対するモノの取引の赤字(通関ベース)は104億5000万ドルに対し、対日赤字は64億9200万ドルと貿易赤字の最大の相手は中国に代わっている。