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日本マクドナルドホールディングスの株価がさえない。2001年7月に4700円の初値で上場して以降、株価は下落傾向が続いている。2002年12月期は連結最終が赤字転落すると、昨年12月に業績見通しを下方修正してからは、2000円を割り込む展開が続く。1月20日の株価は1690円。昨年11月に記録した上場来最安値(1660円)に迫る低水準だ。
もちろんマックの場合、業績が好調だった上場時ですら、「4300円の公募・売り出し価格は割高だった」(UFJつばさ研究所の佐々木加奈アナリスト)と言われていた。その後の業績の低迷で株価が大きく下がるのは無理もない。「収益性の指標を考慮すると、まだ割高」(同)との見方が多い。
実質的な利回りは7.1%
ただし、このまま株価が下がり続けると見る市場関係者は少ない。ゴールドマン・サックス証券調査部の河野祥氏は、マックが1株当たり年間30円という配当と株主優待制度を継続した場合との条件つきで、「優待制度目当ての個人投資家が株価を下支えする可能性が高い」と指摘する。
最低売買単位である100株の株主に対し、マックは半年ごとにハンバーガーやドリンク、サイドメニューの無料券を合計18枚送付している。「各分野で最も価格の高いメニューを注文した場合、金額換算で1株当たり年に約90円になる」(河野氏)。年間30円の配当と合計すると、実質的な配当は120円。7.1%の高利回りだ。
マックとしては、個人投資家が株価を支えている間に、業績回復の糸口をつかみたいところ。だが、そのシナリオの実現は難しそうだ。多品種のメニューを作りたてで提供できる新調理システム「メイド・フォー・ユー」の全店導入は2005年末とかなり先の話。2003年は不採算店176店舗を閉鎖し、客層に応じた個別対応を行うが、低価格戦略ほどのインパクトはない。
さらに、マックの競争力の源泉として成長を後押ししてきた「世界共通仕様」が、むしろ日本での改革を阻む、足かせとして作用し始めた。
地域の好みに対応できない
典型はメニュー政策。「ハンバーガー」や「チーズバーガー」などの世界共通メニューでは、ミートパティ(パンに挟む肉)やバンズ(パン)の配合や重量など、メニューのスペックは世界共通。このため、原材料の集中購買で仕入れ価格を下げることができた。しかし、これは一方で、消費者が一番口にする機会の多いメニューで、地域の好みに対応できない弱点にもなる。
現に日本のマックでは、味や価格などの満足度を他社と比較する消費者調査を行っているが、味の項目だけは「モスバーガー」に100点法で20ポイント近い差をつけられている。「ハンバーガー」の食味を上げるには、パティに含む脂肪の割合を増やしてジューシー感を出せばよいと分かっているのだが、「世界共通」の壁が実行を阻む。
販売促進も同様だ。BSE(牛海綿状脳症、狂牛病)騒動でマックから最も離れた客層が、子供連れの家族。この層にアピールするには、安全性の啓蒙という地道な活動以外に、子供に人気のあるキャラクターの景品をセットメニューにつけ、来店を促すのが手っ取り早い方法だ。だがこの景品も、一部は世界共通仕様で、年に数回は米本社が契約したキャラクターを使う義務がある。その中には、日本で認知度の低いキャラクターも含まれてしまう。
本家の米国マックは2002年10〜12月期、1965年の上場以来初の最終赤字になるなど、業績不振にあえいでいる。中でも大きく足を引っ張ったのは、世界共通仕様のデメリットが大きい日本市場だ。マックの株価低迷は、世界規模でビジネスモデルを見直す段階に来たことを示している。(田中 成省)