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東京 1月27日(ブルームバーグ):27日の短期金融市場では、前週末に続き無担保コール翌日物でマイナス金利の取引が見られた。資金の出し手が金利を払って運用するという異例な取引が表面化していることに関して、市場で思惑が交錯している。金利がマイナスの領域まで広がることで取引が活性化するとの見方がある一方、量的緩和が限界に達したことの表れとの指摘も聞かれた。
大手投資信託会社のファンドマネジャーは、マイナス金利の取引について2つの点に注目。1)一部の外銀が日銀当座預金に信用枠をつくっていることが背景にある、2)マイナス金利の資金が信用力の高い外国銀行の間だけを巡っている−−点で、今議論されている量的緩和の拡大論に疑問を感じると言う。
この日の無担保コール取引ではマイナス金利での取引が前週末より膨らんだ。即日スタートの翌日物が前週末のトムネ(翌営業日スタートの翌日物)と同じ0.01%で350億円成立したうえ、トムネでも同レートで出合いが指摘された。市場参加者によると、調達側の外銀が運用側の外銀に歩み寄ることで意図的に取引を成立させる様子も見られたと言う。
背景にあるとみられる為替スワップでドルを円と交換する取引では、昨年から円の調達コストがマイナス金利になっており、ユーロ円市場ではすでにマイナス金利の取引も成立していた。翌日物であればマイナス0.05%前後の調達も可能で、今回、コール市場でユーロ円市場より高い金利で調達に動いていることの意図が推測されている。
市場活性化
一部の外銀では昨年から日本の国債格下げに伴うカントリーリスクが意識されており、日銀の当座預金残高といえども信用枠の上限を自ら設定している。このため、マイナス金利で円を作っても資金の持って行き場がないとの声が聞かれている。このため、コール市場でマイナス金利の取引が活性化することを望む向きもあったようだ。
日銀の金融市場局金融調節課では、マイナス金利の取引が成立していることについて、「新しい動きであるため、今後の展開を注意深く見ていきたい」としている。今のところマイナス金利の取引は外銀間に限られており、邦銀まで広がる様子は見られない。運用側の国内金融機関に警戒感が広がるなか、農林中央金庫資金為替部のトレーダーは、一部の動きにとどまるのではないかとの見方もあった。
マイナス金利策の実質効果
三井住友銀行市場営業部のトレーダーは、今回のように外銀間で余剰資金がめぐり、日銀当座預金に滞留する現実を見ると、インフレターゲットなど方策を広げてこれ以上の資金を供給することは金融システムを安定化させる効果はあっても、景気回復へは財政出動を伴わない限り実質的な効果がないことを明らかにしたと指摘する。
市場では、マイナス金利が取引の活性化につながるとして、日銀内(オペや当座預金)でマイナス金利を容認しない限り効果は限られるとの見方もある。マイナス金利で調達した資金を利息のつかない日銀当座預金だけに際限なく積み上げる今の状態が続けば、数字の上で量的緩和が達成されても資金のめぐりは一段と悪化するためだ。
期末越えオペ金利が低下
日銀が午前に実施した国債買い現先による期末越えの資金供給オペでは、落札金利が一段と低下した。農林中央金庫のトレーダーは、もともと銀行は手形オペのほうが使いやすく需要が強い事情もあるが、期末に対する安心感が広がっているのは確かだと指摘する。
国債買い現先4000億円(期日4月3日)の入札では、最低落札金利が前回(期日4月23日)より0.001%低下の0.004%、平均落札金利も同0.002%低下の0.004%となった。応札額は8574億円にとどまり、応札倍率は2.14倍と前回(2.31倍)を下回った。期日が期初に設定されたことが嫌気されたとの指摘もあった。
レポ(現金担保付債券貸借)市場では翌日物金利が0.002%まで低下しており、国債を担保として資金を調達する意欲が薄れてきている。マイナス金利の資金流入で国債、短期国債が買い進められ、需給がひっ迫していることも影響しているようだ。
東京 船曳三郎 Saburo Funabiki Editor:Yamanaka