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三井住友VSサーベラス−。あおぞら銀行の株売却バトルは、懐刀の丸山博同行社長(左)を送り込む宮内義彦オリックス会長の思惑も絡み、波乱含み
外資有利か、三井住友か−。筆頭株主であるソフトバンク保有のあおぞら銀行株の売却バトルは、資産査定を認めた米投資ファンドのサーベラス、三井住友フィナンシャルグループの2社に絞られ、大詰めを迎える。だが、あおぞら銀の主要株主、オリックスの宮内義彦会長の影響力や、外資アレルギーが強い金融庁の思惑なども複雑にからみ、3月の最終決着までまだ波乱含みだ。
あおぞら銀(旧日債銀)は24四日に臨時取締役会を開いた。席上、ソフトバンク保有の株式約49%の売却交渉をめぐり、名乗りを上げる4社の幹部が出席し、買収後の経営方針を説明した。
4候補のうち、すでにあおぞら銀株の約12%を保有し、株式買収の優先交渉権を持つ持つサーベラスは、株式の長期保有やあおぞら銀の経営戦略の継続を表明した。
三井住友は、地方銀行との連携強化や、あおぞら銀株の過半数確保を目指す方針を説明し、あおぞら銀側はこの両社に資産査定の手続きに入ることを認めた。
米金融会社のゼネラル・エレクトリック(GE)は、買収株式数が少ない計画だったため、資産査定入りは認められなかった。あおぞら銀側はGEの準備が整い次第、資産査定を認める方針。
独ヒポ・フェラインス銀行は、資金繰りがつかなくなったことで株式の買い取りを断念、買収レースから降りた。
そもそもソフトバンクが巨額のブロードバンド事業費を調達するため、株売却方針を打ち出したのが約1年前である。
ここへきて、レースはサーベラスと三井住友に絞られ、「一騎打ち」の公算が大きくなった。
あおぞら銀は29日に再び取締役会を開き、具体的な資産査定法を協議する。そのうえで両社は資産内容の検証に入り、買収額を提示する。
GE側が買収計画を変更してサーベラスと合流し、共同買収に出る可能性がある。そうなると、三井住友には強力な「ライバル出現」となる。
3月中の売却先決定に向け、レースは詰めの段階に入るが、ソフトバンクを率いる孫正義社長が目指す「公平で後ろ指を指されない決定プロセス」を貫けるか、大きな疑問を投げかける声が金融界に渦巻いている。
あおぞら銀は破綻した日債銀をソフトバンク、東京海上火災保険、オリックス3社連合が平成12年9月に買収した。東京海上、オリックスは約15%ずつ株を保有する。
あおぞら銀には、オリックスOBで「宮内氏の懐刀」(関係者)とされる丸山博氏が社長として送り込まれている。
そこで、宮内氏の思惑が買収レースの行方に少なからぬ影響を及ぼすとみられる。金融ジャーナリストは解説する。
「宮内さんは、あおぞら銀を『小さくても独自性のあるユニークな銀行』に育て、再上場させて上場益を得るのが最大の目的である」
「丸山社長は宮内氏の意を汲んでいる。そこへ、同様に上場益を狙う主要株主のサーベラスが名乗りを上げ、すんなり決まると思われた」
ところが、政界や金融庁では「外資へ譲渡すれば、新生銀(旧長銀)に象徴されるような、あこぎな貸し剥(は)がしが発生する恐れがある」と疑念が噴出した。
「外資支配」を回避するため、三井住友が登場することになり、都銀関係者が説明する。
「外資の買収に難色を示す金融庁関係者が水面下でメガバンクを回り、譲渡先を探した。折しも、竹中平蔵経財・金融相が大手銀の国有化も辞さない超厳格な金融再生プログラムを打ち出して以降、三井住友の株価が急落した。自己資本の増強策が急務だったため、提案を飲んだようだ」
三井住友の自己資本比率は、昨年9月中間決算の際は10.3%と、国際業務に必要な8%はクリアしている。
だが、今後、不良債権処理の加速と貸出資産の厳格査定などで、大幅ダウンが予想される。
8%割れにすると、公的資金注入、それに伴う頭取や役員解任−国有化の危機に瀕する。
資本増強策の一環として、昨年末になって、国内勢として三井住友が参戦したのである。
三井住友が地銀保有分などを含め、あおぞら銀株の50%超を買収して傘下に収めると、買収で一千億円規模の増資効果が生まれる。自己資本比率が0.5%程度引き上げられるとされる。
これに対し、今度はあおぞら銀やオリックスが「三井住友が子会社化すれば経営の自主性が損なわれ、将来の上場益も喪失する」と反発した。
GEとヒポ・フェラインス銀も参戦し、外資連携で一時、三井住友を包囲する構図となった。
そこで、あおぞら銀が昨年12月20日と1月9日に開いた取締役会は大混乱したという。関係者が明かす。
「孫氏は4社の資産査定を受け入れ、買収額を競り合わせたい意向だった。でも、宮内氏は過半数の株を取得しようとする三井住友に強い難色を示した。一部でバ声も飛び交い、緊迫した」
すったもんだの末、ソフトバンクはサーベラス、三井住友と協議を続けることになり、GEも加わる見通しだが、最後はどこが落とすのか。
優先交渉権を持つサーベラスは、三井住友より高い買収金額を示した場合、スンナリ決まる。
三井住友がサーベラスより高い価格を提示した場合も、サーベラスには30日間、買収金額を再考する時間がある。
サーベラスがレース上は優位に立つ。ただし、高額になった場合、サーベラスに資金提供する投資家の理解を得られるかどうかの疑問は残る。
三井住友にも、買収に名乗りを上げた時と事情に変化が生じている。
「この間、三井住友も他のメガバンクと同様に、国有化対策で各種の手の手を打ってきた。奇策と批判された地銀のわかしお銀行との合併や、米大手証券ゴールドマン・サックスへの1500億円の増資要請も決まり、すでに自己資本増強のメドがついている」(大手銀関係者)
「無理して買収しなくてもいい」(三井住友関係者)との声も漏れ伝われるが、なぜ、買収レースから降りないのか。
前出の都銀関係者は「今となっては、三井住友はあおぞら銀にそれほど固執していない」と前置きして説明する。
「苦しい局面で金融庁に手を差し伸べてもらった恩義がある。無風のままサーベラスなど外資で決まれば、政界や金融界の外資アレルギーが再燃する。最後まで争った末に降りれば、アレルギーも少しは緩和され、借りも返せるという意図があるのではないか」
そんな、やや穿(うが)ち過ぎの見方もささやかれる。レースの行方は流動的だが、最後の最後に笑うのは、やはり宮内氏ということか。