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Gサックス、三井住友買収裏にアノ人物 山一破綻時の証券局長迎え、政官つなぎ万全 [株ZAKZAK]
投稿者 あっしら 日時 2003 年 1 月 23 日 18:02:44:


元米高官のルービン氏(左)が一時会長で、松野・元大蔵省局長(中)がアドバイザーのGサックス。市場が不安を抱く三井住友銀行グループの買収懸念に、西川善文頭取はどう答える?
 三井住友銀行グループは米大手証券ゴールドマン・サックスに飲み込まれる? 大手銀や外資系投資ファンド関係者は異口同音に指摘する。何しろ相手は、企業買収のM&Aなど米投資銀行の御三家で、日本上陸で不良債権ビジネスを展開する。旧山一証券を破綻(はたん)させたとされるアドバイザーの元大蔵省(財務省)証券局長の松野允彦(のぶひこ)氏の人脈もテコに、脅威の三井住友買収をいずれ画策するとみる。みずほの1兆円増資などメガバンクが国有化回避に躍起となるなか、巨額の増資を引き受けてもらった三井住友だが、市場は「母屋を取られるのでは」と懸念するが、さて…。

 三井住友銀などを傘下に持つ三井住友フィナンシャルグループは15日、ゴールドマン・サックスに1503億円の優先株を全額引き受けてもらう自己資本の増強策を発表したばかり。

 三井住友の自己資本比率は、昨年9月中間決算時点で10.3%。国際業務を行うのに必要なBIS規制の8%はクリアしているものの、見かけ上はUFJの11.2%、三菱東京とみずほの10.4%を下回り、4大銀行グループで最も低い。

 不良債権処理や株式の含み損で財政事情が悪化するゆえの資本拡充だが、銀行のお目付け役・金融庁の関係者は「今回の資本提携は圧倒的にゴールドマンに有利だ」と断言する。その根拠を次のように解説する。

 「今回の優先株は超低金利のなか、配当率4.5%と異常に高い。三井住友が過去の公的資金注入と引き換えに、国に差し出した優先株の配当率約1.3%に対し約3倍。高配当が今後、経営を圧迫する恐れがある」

 「この優先株は、一定期間後に議決権を持つ普通株に換えられる転換型でもある。全額を現時点の株価で普通株に転換した場合、ゴールドマンが出資比率7%の筆頭株主になる。さらに、ゴールドマンが欧米で行う貸し出しに対し、三井住友銀行が最大21億ドル(約2500億円)を保証するオマケもつく」

 日本で不良債権ビジネスを展開する外資系投資ファンドの幹部も、「不良債権処理加速による国有化を避けたい三井住友は、足元を見透かされてしまった」と前置きして、同じ見立てをする。

 「ゴールドマンは優先株の高配当で稼ぎ、普通株転換後は筆頭株主として株主支配を強めることも可能だ。貸出保証も取り付け、まったく損のない取引になっている」

 メガバンクの三井住友買収に向け、橋頭堡(きょうとうほ)を築いたとの見方が強まるゴールドマン・サックスとは、どんな企業なのか。

 設立は1869年。大手証券会社の冠がつくものの、日本とは違う。

 個人投資家への株の売買という「小売り」はしない。企業の買収・合併(M&A)、再建・上場、資金運用といった「卸(おろし)」のみの投資銀行である。

 政治に強いのも特徴。クリントン政権時に経済担当の大統領補佐官と財務長官を務めたロバート・ルービン氏や、現在のブッシュ政権の新経済担当補佐官に就任したスティーブ・フリードマン氏はいずれもゴールドマンの元会長である。

 ゴールドマンの経営者は代々、米ウォール街の代表として「経済司令官」の役割を果たしてきた。米国を金融大帝国に変貌(へんぼう)させたのがルービン氏だ。

 「米国ではグラス・スティーガル法で、銀行と証券会社の兼業が禁止されていた。この法律を撤廃し、銀行も証券業務をできるようにしたのが財務長官だったルービン氏。これで銀行、証券を兼ね合わせた投資会社という怪物が生まれた」(外資系アナリスト)

 金融大帝国の米国では、「ゴールドマン」に加え、UFJが新設する不良債権分離会社に約1000億円出資する「メリルリンチ」、「モルガン・スタンレー」が「投資銀行の御三家」である。

 グローバルな投資銀行を目指すゴールドマンは、日本をターゲットにしている。まず、旧長銀(新生銀)のリップルウッド・ホールディングスへの売却で荒稼ぎした。

 当時の金融再生委員会が、一時国有化した旧長銀の売却先を決める際、ゴールドマンを「ファイナンシャル・アドバイザー」として採用した。

 「売り手」の国側のアドバイザーだから、国に有利な条件で譲渡契約を結ぶのが義務なのに、資産価値が一定割合劣化した場合、貸出債権を国が買い戻す瑕疵(かし)担保特約を認めた。

 「買い手」側として交渉に臨み、新生銀の取締役に就任したJ・クリストファー・フラワーズは、ゴールドマンの元共同経営者でもある。

 「まったくの出来レース。不良債権ビジネスに疎(うと)い日本は手玉に取られた」(元長銀幹部)

 その新生銀は悪名高い特約の行使で、そごうやマイカル、第一ホテルなどを次々と破綻に追い込み、強引な貸し渋りと貸し剥(は)がしを続け、非難を受けている。

 ゴールドマンに話を戻すと、日本は組(くみ)し易しとみて、次に力を入れたのが倒産ゴルフ場の買収である。

 米ナショナルゴルフグループ買収など、米国で最大規模のゴルフ場を保有しており、ゴルフビジネスはお手のものだ。

 目下、習志野カントリークラブ(千葉)など30コースをもち、尾崎将司選手のCMで知られた日東興業(東京)グループや、30コースを保有するスポーツ振興(大阪)を立て続けに買収し、計60コースをもつ日本最大の「ゴルフ場保有者」になっている。

 不良債権ビジネスでは、高級官僚を「用心棒」として招くのも、外資系特有の手法である。

 昨年7月には、松野元大蔵省証券局長をシニア・アドバイザーに迎え入れている。

 松野氏は証券局長時代に山一証券の「飛ばし」と呼ばれる損失隠しを黙認し、山一破綻の原因を作ったとして国会招致された人物である。

 「今後の銀行買収などに備え、財務省や金融庁にパイプを持つ旧大蔵省幹部OBを招いたという意図がミエミエ。旧大蔵官僚は、銀行買収に協力するという『持参金』付きで、外資系金融機関という新たな天下り先を見つけたことにもなる」(大手銀行幹部)

 その効果が表れたのか、ゴールドマンの「買収への布石」(同)ともいわれるのが、三井住友の増資引き受けである。

 外資系金融機関の幹部は「双方がハッピーな資本提携は絶対にない。飲み込むか飲み込まれるかだ。ゴールドマンは企業買収にたけた金融のプロ集団。護送船団方式で金融当局に保護されてきた日本の銀行が、互角に渡り合える相手ではない。三井住友が飲み込まれるのは時間の問題だろう」とまで言い切る。

 メガバンクは「前門の虎、後門の狼」の状態にある。前門は新たな公的資金注入や、国が保有する優先株の普通株転換による国有化。後門は増資を引き受けるなどした外資による買収である。

 三井住友の「本当」の正念場は、国有化逃れの3月期決算ではない。ゴールドマンによる増資後にやってきそうだ。

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