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UBSウォ−バ−グ証券会社・経済調査部チ−フエコノミストの白川浩道さんは今日のポイントとして、「物価目標潰しと財政政策 」を挙げる。
<与党内でのインフレ・ターゲット潰しの動きの意味> インフレ・ターゲット(物価目標)を潰す動きが目立っている。最近では、野中 自民党元幹事長、麻生自民党政調会長、熊谷保守新党代表、などが揃って、イン フレ・ターゲットに反対(ないしは懐疑的な見方)を表明している。 こうした与党内でのインフレ・ターゲット潰しの動きは何を意味しているのであろうか。それは、「基本的には、財政政策運営に対する不満の現われ」と、見る。「緊縮的な財政政策を維持して、金融の量的緩和を拡大しても、内需への波及効果は小さい」という懸念と言える。地方経済の脆弱性が大きく高まっている状況下、「インフレ・ターゲット、円安誘導」と叫んでみても、「地方では殆どアピールしない、という事実が裏側には隠されている」と言う。インフレ・ター ゲットは「都会における改革派の玩具であり、実体に乏しいもの」との理解が、インフレ・ターゲット反対派の中にはあると見ている。
<財務省国内派による慎重姿勢の明確化も・・・> 今後の展開はどうなるであろうか。同社は、財務省(特に国際金融派)が画策してきたインフレ・ターゲット導入論は徐々に下火になるものと予想する。彼らがインフレ・ターゲットを声高に叫べば叫ぶほど、財政出動の要請が高まるであろう。そして、そうした形勢を見せられた場合、財務省の国内派はインフレ・ターゲットに対する慎重姿勢を明確に打ち出してくるであろう。重要な点として、「そもそも財務省の国際金融派が展開してきた『財政出動なしでのインフレ・ターゲット導入』は現実性を持たない」とし、そうした事実が強く認識されるだけのことと言う。結局、政府・財務省はインフレ・ターゲットの推進に関するコンセンサスを得ることができないばかりか、インフレ・ターゲット論をトーンダウンせざるを得ないと予想する。
<次期日銀総裁は「大胆な金融リフレを断行する人物」とはならず> こうした動きは日銀総裁人事に影響するものと予想する。改革派、抵抗勢力ともに、次期総裁がインフレ・ターゲットの積極的な推進派であることを望まないことになるからだ。インフレ・ターゲットに肯定的であることが次期総裁の条件にはならないのである。政府が次期日銀総裁に望むことは、「政府による財政赤字ファイナンスの持続的な拡大要請に明確に反対しないこと」であり、それ以上にはならないであろう。すなわち、次期総裁が「大胆な金融リフレを断行する人物」とはならない可能性が高まっているということである。
昨日の「アドバイザー」では、首相による日銀総裁選びについて書き、3つの選択基 準(改革意欲、大胆性・柔軟性、組織統治能力)を示したが、そのうち、大胆性の基準については、上記の議論を前提にすれば、現実には、その重要度を低下させる可能性が高い。現在、取り沙汰されている候補者の中では、やはり、福井元日銀総裁が半歩リードしていると読むべきであろう。そして、民間産業界のダークホース的な存在が次期総裁に就任する可能性も十分にある。
<市場の関心は、財政出動の追加へフトする可能性> 市場が、日銀総裁人事に大胆な金融政策の転換を期待しているとしたら、「それは 期待はずれに終わる可能性が高い」。日銀は3月上旬までに国債買い切りオペの増額と当座預金残高の積み増しを実施するものと予想され、その結果、円相場の上 値は抑えられるであろう。また、当社がこれまで主張してきた、「夏場を目処に ベースマネー伸び率ターゲットに移行」といったシナリオの可能性も低下したわけではない。「期待の安定化に資する」ベースマネー・ターゲットは福井氏でもぎりぎり譲れる政策、と見ている。しかし、日銀総裁人事が株価対策の切り札にならないリスクが十分にある。そして、このことは、財政出動の追加に関する議論が急激に進む可能性を示唆している。市場とすれば、「インフレ・ターゲット導入論や日銀総裁人事」から、「統一地方選の行方や、財政政策スタンス変更の可能性」へと、その焦点を移していく必要があると言う。